「(追記情報あり)原作重視の観点か、広島県枠かでも評価は異なりそう…。」ミステリと言う勿れ yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(追記情報あり)原作重視の観点か、広島県枠かでも評価は異なりそう…。
今年314本目(合計964本目/今月(2023年9月度)24本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
※ 当方、18まで広島市在住です。
…ということで、ひさびさの広島県枠といったところでしょうか。
もとはテレビ版かドラマ版があるようで、その知識がある程度前提にされているフシはありますが、映画の放映時間に余裕があり、自己紹介パートなどもあるためこれら作品を見ていなくても鑑賞のハードルは低いかなといったところです。
また、謎解きの範囲も合理的な範囲におさまっており(趣旨的に誰が犯人だの何だの書き始めるとネタバレなのですべてカット)、ここも良かったです。
一方明確に気になった点として、
・ 広島市自体がほとんど出てこない(序盤の広島県立美術館、原爆ドーム、宮島くらい?)
・ そこそこ広島弁がきつい(ある程度の知識がないと聞き取れない部分もありそう)
…があります。
ただ、今週(9月3週)の中では対抗以上には入ってくるのでは…と思え(競馬新聞ではないけれど)、多くの方に見ていただければ…と思います。
映画の趣旨的に誰が犯人だの何だのといったことをうっかりでも書くと問題になりかねず、さっそく採点にいきましょう。
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(減点0.3/遺言の執行に関して描写が不十分)
・ 相続について無関係な人は相続人にはなれません。にもかかわらず、弁護士の方が入ってくるのは当然の規定ではなく、民法上の規定(1006条、遺言による遺言執行者の指定 または、 1007条以下の「遺言執行者の選任」(家裁に請求))によるものです。
※ 弁護士の方が指定されることが多いですが、遺言書に書いてある場合、絶対的欠格事由(未成年者、破産者)以外であれば、司法書士・行政書士が担当することもあるようです(行政書士は、不動産登記が絡まない限り基本的に受任可能です)。
また、遺言書の検認に関しては1004条に規定があり「遺言者の管理者(発見者)等は、家裁に連絡して遺言の検認を必要とする」「封印がある場合、立ち合いを必要とする」といった規定があります(これに違反して勝手に開封等行うと、1005条で5万円以下の過料)。
※ 民法は実体法と呼ばれるもので、具体的な罰則規定が書かれる法律ではないので、この罰則規定の記述は案外「例外的な記述」です。
この部分が全部抜けているため、弁護士は「当然に」できるという解釈をされる可能性もありますが、相続に無関係であるなら当然に割り行ってくる余地は「なく」、「遺言書で指定された場合」か「相続人の協議で遺言執行者を選任した場合」に限られます。
※ 複数選任することも可能(1017条)。この場合、その業務は「その指定された方の過半数の同意により決する」ものとされます(ただし、遺言に特段の意思表示がある場合、そちら優先。同1017条)。
(減点0.2/広島弁についてある程度の前提知識が要求されてしまう)
実際、この映画が描写するような「ドロ沼相続事案」なので、言葉遣いも荒いです。広島弁といえば「~けん」などが代表的ですが、映画の趣旨上、普通出てこないような表現まででます。
「ワレ何しとんじゃい」 → この「ワレ」は「あなた」の意味’(つまり、お前、(そこで)何してるんだ」程度の意味)
「おんどりゃー」 → (この映画の場合)「なんだこの野郎」程度の意味です。
「店がつぶれる」(これって広島弁??) → 「お店が倒産する」の意味です。
(減点0.1?(減点なし?)/ラストの東新広島での見送りのシーン)
最初に広島市内がちらっと登場し、のちに宮島も映ることから、舞台となる家(これらの描写以外は、基本的に家の中以外出ません。ただ、この家がどこにあるのかも具体的に描写はされない)は、広島市内に近いものと思います。
ただその一方、ラスト、主人公が「もう東京に帰るから」と見送りされるシーンがなぜか東広島駅だったりします(のぞみの停車なし、朝6時の便が東京に直通する以外は、基本的にこだまかごく一部のひかりで、すべて新大阪どまり)。
この一族、いったいどこに家があるんでしょうか…(海田町あたり?呉市あたり??)
※ 海田町でも呉市でも、見送るなら広島駅(全のぞみが停車)のほうが早いです。
(減点なし/参考/広島県立美術館→原爆ドームへの路面電車による移動)
これは、少なくとも1回の乗り換えを必要とします(映画内でも発言あり)。
※ この場合って、路面電車は降りるごと清算なんでしたっけ?(乗り継ぎ割引とかあるんでしょうか?)
(なお、いわゆる「1日乗車券」というのはあります(大人700円))。
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(追記)
(減点なし/参考(多くの方が疑問に持たれるところ)/遺言に条件期限を付することはできるか)
これ自体は可能です(例えば、息子が何とか大学に合格して進学したら100万円を贈与する、といったもの)。ただ、可能ではあるものの、法律論は別に贈与税といった「税金関係の処理」が面倒な状況になるので、通常はそのような条件期限を付するような遺言は書かれないのが普通です(法の趣旨を潜脱するような状況になるため)。
ただ、極端に違法不法性が強いものは無効と解される可能性があります(例えば今すぐ関係者全員そろってナイフで●しあって勝者が全額得る、といった違法不法な内容を推奨するような行為)。
この映画はそのギリギリな部分もあります(ただ、法律的にはともかく、不動産がどうこうというあたり、民法177条との関係など怪しい部分も多く、正直「こんな遺言書が出てきても困る」といった事案ではあります)。