対峙のレビュー・感想・評価
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舞台に合いそうな重厚な会話劇
アメリカで起こる銃乱射事件は、映画の題材にしづらい。なぜこんな悲劇が起こるのかの説明ができない(説明してもこうなんじゃないか?って憶測の域を出ない気がする)し、学校が舞台だと少年少女が殺されるシーンが問題になりそうだからじゃないかと推測する。だから、加害者の親と被害者の親が話し合いの場を持つという設定はなかなかうまい。
でも、思った以上に場面展開はないし、画的にもストーリー的にも地味だし、BGMもなくとても静か。演劇賞をもらいそうな舞台に合いそうな話だった。だからなのか、4人の演技の凄みが際立っていた感じだ。
加害者であろうと被害者であろうと、子どもを亡くしたという意味では同じ立場の4人。ところが事件発生から感じてきたものが全く違う。お互いの息子のことを話す(そして相手の息子のことを聞きたい)という出発点から、4人の話し合いは次第にヒートアップ。相手のことを追及したりなじってしまったり、自分たちの対応は間違ってなかったんだと抗弁してみたり。その過程で事件の概要がわかっていくといううまい作り(それでも事件の全容を伝えていないのが憎い)。
答えが出るようなテーマではないから、最後の展開はまぁ納得のいくものだった(答えがないという意味で)。突き詰めるとキリスト教色が強くなってしまうのも致し方ない。
日本では銃乱射事件がないのでリアリティはないが、アメリカ社会では実際に起きていること。ただ、アメリカでもどうやって受け止めていいのかが定まっていないことが伝わってくる。とても考えさせられる映画だった。
この作品の凄いところは・・・
被害者家族と加害者家族
一見、対極に位置すると思える。
しかし、ながらその家族が、話を進めるうちに私には見えてきたことがある。
それは、どちらも、全くの当事者ではないということ。
被害者でもなければ、加害者でもない、いわゆる、極めて当事者に近しい傍観者であるということ。
傍観者が話し合ううちに反目するベクトルがいつのまにかジョイントしていく様は凄いなと思います。
ただ、思春期の子供を持ってない方には、効果音や音楽もないこと、カメラワークが単調であることなどを考慮すると少し退屈に感じるかもしれません。
同じ室内会話劇でも、「12人の怒れる男亅のようにはっきりした結論が出ない(出せない)だけにもどかしくもある。
万人向けの作品ではないけれど、こういう作品もあっていいかなと思います。
文化映画の様相を呈してるかな。
アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生。多くの同級生が殺害さ...
アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生。多くの同級生が殺害され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。事件から6年。息子の死を受け入れられずにいる2人は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をすることに。教会の奥の小さな個室で立会人もなく顔を合わせた4人はぎこちなく挨拶を交わし、対話を始める……。
「息子さんについて何もかも話してください」
密室で繰り広げられる4人だけの会話
我が子を失った被害者と加害者の両親
それぞれの苦悩が映し出される
被害者側、加害者側
誰の立場にも身を委ねたくなかった
だだ傍観者として
4人の会話を聴いていた
許すことなんてできないけど
話し
自分の心にも向き合うことで
救われるのかな
聞こえてくる音
見えた景色
灯る光はしずかで
4人の会話を聞きながら
救われてほしい
そう願った
俳優 #フランクランツ 初監督・脚本作
対話の流れを見守る
すごい作品です
「mass」
*集まり、集積、不定形の大きな塊
*ミサ、ミサの儀式、ミサの曲
カトリック、プロテスタント、正教会
聖公会、、、
教派のことはよくわからないけど
場所に選んだ教会にも意味があるのかな
息子への愛も思い出も永遠に消えない
この、気持ちをなんとしよう。
被害者と加害者、どっちの気持ちにも共感する。たとえ二度と会えなくても息子の思い出も愛も消えない。それはどちらも同じだから観ている方も苦しい。
ねぇ、これアカデミー賞じゃないの。。?
これはただの銃乱射事件じゃないよ。
高校で起こった銃乱射事件の犯人の両親と被害者の両親による修復的司法を対話のみで描いた作品。
何が起こったか、どんな状況だったのか、そしてつまりそれはどういう事件だったのか、をこの4人の対話のみで語られていくのだけど、全員すごい演技力で人間しか出てこないのに画面から目が離せない。
ものすごい迫力。
何がどうしてそうなったのかを知りたい被害者の両親だが、犯人の両親の語る「彼らの信じていたい私の知っている可愛い我が子」像に納得がいかず、しかし同じ親という立場からの共感せざるを得ない部分、これは主に息子への愛だと思うけど、そういう色んな気持ちが混ざって感情が激しく上下していく様が凄かった。
ずっと何かを憎み続けて生きていくのは辛い。そして人は人の不幸に対して興味を持つけど、それに対しての適切な助けはなかなかしないし出来ない。だから自分の不幸には、自分で自分の気持ちに折り合いをつけるしかない。
最後の彼女の選択はみんなどう思うのだろうか。(私はとてもキリスト教の国の人たちだなと思った。)
BGMはほとんど使われないのもまたいい。
ラストシーンに生きてくる。
監督はコロンバイン事件が起こった時、ちょうど同じような年齢でそれも怖かったけど、パークランドの事件の時にお子さんが2歳で子どもが育つ社会でまだ銃乱射があることに不安を感じて何かできることはと考えて作られたとのこと。
うん。
これは観るべき。
ドキュメンタリー映画よりリアルに感じた。
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