「息子への愛も思い出も永遠に消えない」対峙 ねねこさんの映画レビュー(感想・評価)
息子への愛も思い出も永遠に消えない
この、気持ちをなんとしよう。
被害者と加害者、どっちの気持ちにも共感する。たとえ二度と会えなくても息子の思い出も愛も消えない。それはどちらも同じだから観ている方も苦しい。
ねぇ、これアカデミー賞じゃないの。。?
これはただの銃乱射事件じゃないよ。
高校で起こった銃乱射事件の犯人の両親と被害者の両親による修復的司法を対話のみで描いた作品。
何が起こったか、どんな状況だったのか、そしてつまりそれはどういう事件だったのか、をこの4人の対話のみで語られていくのだけど、全員すごい演技力で人間しか出てこないのに画面から目が離せない。
ものすごい迫力。
何がどうしてそうなったのかを知りたい被害者の両親だが、犯人の両親の語る「彼らの信じていたい私の知っている可愛い我が子」像に納得がいかず、しかし同じ親という立場からの共感せざるを得ない部分、これは主に息子への愛だと思うけど、そういう色んな気持ちが混ざって感情が激しく上下していく様が凄かった。
ずっと何かを憎み続けて生きていくのは辛い。そして人は人の不幸に対して興味を持つけど、それに対しての適切な助けはなかなかしないし出来ない。だから自分の不幸には、自分で自分の気持ちに折り合いをつけるしかない。
最後の彼女の選択はみんなどう思うのだろうか。(私はとてもキリスト教の国の人たちだなと思った。)
BGMはほとんど使われないのもまたいい。
ラストシーンに生きてくる。
監督はコロンバイン事件が起こった時、ちょうど同じような年齢でそれも怖かったけど、パークランドの事件の時にお子さんが2歳で子どもが育つ社会でまだ銃乱射があることに不安を感じて何かできることはと考えて作られたとのこと。
うん。
これは観るべき。
ドキュメンタリー映画よりリアルに感じた。