劇場公開日 2023年6月2日

「巨匠の凡作」怪物 タカシさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0巨匠の凡作

2023年6月2日
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前作のいかにも巨匠な自らのシマで取ったような退屈さはないけれど、かといって圧倒されるほどでもない映画。君は良い子のような圧倒的な演技と全く思わない。
タルコフスキーのストーカーが好きなのはよくわかった。先週観たtarでもオマージュしていた。いじめられっ子と裏でつるんで、助けないような子供は大人になってもそんな人になるんだろうな。子供の同性愛とかより、そこが気になってしまう。助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがないと思うがどうだろう。

後半40分ぐらいの答え合わせがつまらない。依里君がいわゆるフェミニンなセンスであることから、トランスジェンダーという認識で合っているのか。私の小学生時代からフェミニンなファッションはメンズに充分浸透していたので、恐らく親のセンスとしてフェミニンな服を着ている子はいたので、判断が難しい。このように判断をすること自体が差別的だと思う人もいるだろうが、映画の表現力のなさを観客が慮る必要はない。息子のクィア性に気付かない安藤サクラより、はっきりとその事を知り、動揺して恐らく虐待をしている中村獅童の視点の方を導入したほうが、子供の性をどう観ればいいのかという、更に踏み込んだ論点に進めるのにしないで、聖なるLGBTとしてふんわりと置きっぱなしにする。この映画の男子同士のキャッキャに同性愛を感じられなかった。これぐらい誰でもありそうなのに。だからこそ、予告でLGBTを描いた映画というのは伏せて置いたのかな。

好き嫌いは置いといて、tarやエゴイストは同性愛者の権力性や商品としての性に踏み込んで、聖なるLGBT像を打ち壊そうとしているが、この映画では子供というのを足して、聖なる子供・LGBTにしてしまっている。天国としてのラストにも二人とも天国に行けるような人間だったかと疑問が残る。安藤サクラの息子は地獄に落ちるべきである。最初の段落に戻るが、自分はいじめっ子グループとつるんで、自分が可愛くて表向きには助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがない。体操着袋に当たるんじゃなくて、いじめっ子に殴りかかりましょう。

タカシ
Mさんのコメント
2023年10月22日

この映画では同性愛かどうか大した問題じゃないように思いました。どうでもいいというか。
なんかそれに関する賞をもらっていましたが、その賞に対して監督は違和感はなかったのでしょうか。
「表向きには助けてくれない男」の件、まったく賛成です。
ただ、裏であっても、自分の味方をしてくれた子に対しては、本人はうれしかったのではないかなという気もします。

M
タカシさんのコメント
2023年6月4日

コメントありがとうございます。一昔前のイノセントとしての同性愛なんでしょうけど、それを打ち破ろうとする作品はいくらでもあるので、周回遅れな作品に見えてしまいました。瑛太と彼女のやり取りなども、もっと掘り下げるかと思いきや、彼女は週刊誌がうるさいから見切ったとしか見えないのも何だか面白くないです。

タカシ
満塁本塁打さんのコメント
2023年6月3日

言い得て妙ですね。なんか戦前の全体主義感じます。駄作は駄作かと・・

満塁本塁打