「レア・セドゥが全て」それでも私は生きていく TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
レア・セドゥが全て
シネスイッチ銀座で予告を見て楽しみにしていたこの作品。
レア・セドゥ、主にフランス製作の作品に出演していた若いころは、割と「奔放」だったり「蓮っ葉」な感じの役が多かった印象があります。その後、大きな作品に出演するようになり、美しい容姿で大人の女性を演じるようになり、いよいよ本作ではベリーショートで生活感あふれる役を演じる彼女に感慨深さを感じます。
ただ、作品についての感想は残念ながら「期待したほどではなかった」ですね。。
私、この手の日常系は結構嫌いじゃありません。題材として病気や介護が絡むものも、苦手じゃありません。なんなら、こういう作品に「どうみせてくれるか」と挑むつもりで向かってさえいるくらいです。
まず、余韻がないどころか、むしろ食い気味に展開する編集ですが、嫌いではありません。仕事に、家事と子育て、そして介護にたまに恋愛、日々の目まぐるしい現状に対すると「余韻」なんてあるはずもなく、介護や子育てで時間は溶けるように過ぎ、更には学校や施設からの呼び出しなどあればペースなどないに等しい。そして、気持ちのバランスを取るための恋愛まで、相手の事情(と書いててイラっとしますが)で受け身になる。そんな日常を表すのにはこの食い気味なくらいな編集がよりリアリティがあるように感じます。例えば邦画だと、こういう部分に変なニュアンスを加えて、「泣かせる」などのあざとい演出加えがちですが、それは嘘っぽくて白々しい。だから、本作くらい潔くバッサバッサ行く編集、とてもいいと思います。
ただ、残念ながら脚本は「普通」です。(私も親の介護経験者として)共感したり、おこがましい言い方に聞こえるかもしれませんが同情もします。でも、結局本作に思うことは「レア・セドゥが全て」な感じ。なんだろう、、やっぱり美しすぎるのかな。。と言うか、レアも美しいのだけど、話自体が奇麗にまとまり過ぎているのかも。
例えば、同じフランス映画で、日本では数か月前に公開された、フランソワ・オゾン監督、ソフィ・マルソー主演の『すべてうまくいきますように』。ソフィーも美しかったけど、あっちの方がキャラクターも内容も起伏があって印象に残るし、しっかり作品になっていたように思えます。
比較作品を出したり、ちょっと批判めいてしまいましたが、何と言うか期待しただけに「惜しい」んですよね。とか言って、単に私が「サンドラの恋愛相手の男」に嫉妬しているのかしら?なんて、勿論冗談ですよ。悪しからず。