「庭で育つという発想と、その美雪の目が怖すぎる」禁じられた遊び 山田晶子さんの映画レビュー(感想・評価)
庭で育つという発想と、その美雪の目が怖すぎる
幸せそうなオーラが充満している清楚な妻(美雪)が、夫に「裏切らないでね」と唐突に耳打ちした時、ここからホラーが始まっていくんだと予感でき、誰がどうなってしまうのかが気になり、かなり早い段階で背筋が凍る思いがした。庭の画像の撮り方や色合いも「何かが起こるぞ」という古めかしい雰囲気が漂っていて、子供が庭で呪文を唱えるあたりから、益々怖くなるかもという予感を裏切ることのない作品になっている。
美雪が出てくる度に目をそむけたくなるほど怖がっている自分に驚いた。特に「音」のタイミングと「画力」がその効果を押し上げている。
美雪の奇妙な血管や鋭い目など、画面からは、何かしらの訴えが出ていることを感じる。
本作の怖さには技術面だけではない理由があり、(子供の)「遊び」の域を超え大人への恨みが少なからず感じられる点にもある。
実際、話はシンプルではない。実は伏線が張り巡らされており、最後にしっかりと回収されていく。
残暑があるこの秋に、本作の謎を映画館で堪能し、その後、余韻の理由を語り合いたくなるはず。
美雪を演じたファーストサマーウイカの怪演技は、新たな「貞子」級の怨霊を生み出したと言えるレベル。
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