「期待せずに見てみたら、中田秀夫監督による渾身の「純粋に怖い系」ホラー映画でテンポも良いし発想も面白い。」禁じられた遊び 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
期待せずに見てみたら、中田秀夫監督による渾身の「純粋に怖い系」ホラー映画でテンポも良いし発想も面白い。
「ホラー映画」が流行る要素は、時代の空気によって決まる面が大きいのでしょう。
しかも、「ホラー」というくくりは意外と「深く」て「広い」ものだとも思います。
例えば、本作の中田秀夫監督は、福島第一原子力発電所の事故を描いたノンフィクションのドラマ「THE DAYS」(2023年、Netflix)の監督もしています。ノンフィクションの作品でも緊迫感も含め「ホラー」の名手だからこそ表現可能な映像が多かったりしていて、改めて「ホラー」というジャンルの奥深さを思い知るきっかりになりました。
そんな「ホラー」の名手の直近の「ホラー映画」は、「事故物件 恐い間取り」(2020年)、「“それ”がいる森」(2022年)の2作品で、これらは割とギャグ要素とのミックスで成立していたように感じています。
そんな流れがあったので本作もその系統かと思いきや、渾身の「純粋に怖い系」ホラー映画でした。
物語の基盤もしっかりしていますし、複雑すぎずにテンポも良いので集中力は途切れません。
また、主演の橋本環奈と重岡大毅の演技も良く、特に橋本環奈は出演作が多いのでパターンが見えがちですが、本作での振り幅の大きな役柄を上手く演じ切っていました。
本作では、「貞子」的な立ち位置の「怨霊」である「美雪」が作品の成否にかかわるような重要なカギを握ることになります。これを特殊メイクを施したり、元々の真顔が独特なファーストサマーウイカが演じ、こちらも当たり役で、演出と役者の息がピッタリの、総じて「出来の良いホラー映画」でした。
コメントする