「迫力満点の映像で、特攻精神や自己犠牲と断固として決別した様なストーリーも素晴らしい」ゴジラ-1.0 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力満点の映像で、特攻精神や自己犠牲と断固として決別した様なストーリーも素晴らしい
山崎貴 脚本監督による2023年製作(125分/G)の日本映画
配給:東宝、劇場公開日:2023年11月3日
ゴジラが銀座の街を破壊する映像に少しつくりもの感はあったものの、全体的に物凄く迫力のあるゴジラで、これなら海外に出しても恥ずかしくない映像であり、とても嬉しかった。
ゴジラの背びれが光りながら一段と高くなり、エネルギーを充分に充満したその後に一気に強力な放射熱戦を吐くという新たなゴジラの造形に、リアリティと共にど迫力を感じ、拍手!地上を歩く際の重量感も良かったが、それ以上に高速で海を泳ぎ、巡洋艦を破壊しつくゴジラの海上での凶暴性表現も素晴らしいと思った。
庶民の命を粗末にし、重要な情報を隠微する日本政府的精神の糾弾しそれお民間の力で克服することを意図している様に思われる脚本も、とても良かった。特攻隊で逃げて生き延びた元飛行士の主人公神木隆之介が、他人の赤ちゃんを託されて育てている浜辺美波と戦争で破壊された故郷で出会い、家族を形成し愛を育んでいくという物語も、とても良く寝られた設定で、ひたすら感心。
ゴジラを前に何も出来ず仲間を死なせてしまった過去にずっと苦悩していた神木隆之介。そんな彼が、意を決して「震電」(B-29爆撃機を迎撃するための戦闘機で、時速740km目指して開発中であったらしいが実戦に間に合わず)に乗り込みゴジラに戦いを挑んでいく姿は、カッコ良く見惚れてしまった。いつも見るたびに感心させられる彼の演技だが、今回も新たな神木隆之介を見せつけてくれた。
ヒロイン浜辺美波の可憐さもまさに今旬であったし、ゴジラにより宙吊りにされる電車の中での彼女の絶体絶命的状況も、ゴジラ映画の王道らしくて、実にお似合いだった。ゴジラの熱線を浴び葬式まであげた彼女が、病院で何とか生きていたとの展開も、脚本の組み立てが上手いせいで意外感もあって恥ずかしながら感涙。ただ、彼女の首に出来ていた黒い痣は、ゴジラの細胞が巣食っている様にも思え、単なるハッピーエンドではなく、次回作?への布石なのだろうか。
そして、なんと言っても、ゴジラに特攻攻撃すると思わせておいて、直前にパラシュートで脱出するというのが、今だ邦画ひいては日本社会にはびこる特攻精神や自己犠牲の賛美との決別という意味で、清清しく感じた。山崎貴脚本、素晴らしい!
監督山崎貴、脚本山崎貴、製作市川南、エグゼクティブプロデューサー臼井央 、阿部秀司、
企画山田兼司 、岸田一晃、プロデュース山田兼司 、岸田一晃、プロデューサー阿部豪 、守屋圭一郎、協力プロデューサー上田太地 、山内章弘、チーフゴジラオフィサー大田圭二、
ラインプロデューサー櫻井紘史、撮影柴崎幸三、照明上田なりゆき、録音竹内久史、特機
奥田悟、美術上條安里、装飾龍田哲児、衣装水島愛子、ヘアメイク宮内三千代、音響効果
井上奈津子、VFX山崎貴、VFXディレクター渋谷紀世子、カラリスト石山将弘、編集宮島竜治
選曲藤村義孝、音楽佐藤直紀 、伊福部昭、助監督安達耕平、キャスティング杉野剛、スクリプター阿保知香子、制作担当横井義人、プロダクション統括會田望。
出演
神木隆之介敷島浩一、浜辺美波大石典子、山田裕貴水島四郎、青木崇高橘宗作、吉岡秀隆野田健治、安藤サクラ太田澄子、佐々木蔵之介秋津清治、田中美央堀田辰雄、遠藤雄弥齋藤忠征、飯田基祐板垣昭夫、永谷咲笑明子。
こんにちは
共感をありがとうございます。
「日本社会にはびこる特攻精神や自己犠牲の賛美との決別という意味で、清清しく感じた。」
清々しいですよね、生き延びることを賛美する、で映画が輝いたと思います!