劇場公開日 2023年11月3日

「東宝と市川南が悪い」ゴジラ-1.0 メンチ勝之進(新)さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5東宝と市川南が悪い

2023年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

山崎貴監督作品ということで見る予定はなかったのですが、X(旧Twitter)で「意外とドラマ部分がよい」という評価が散見されたもので、まさかとは思いつつも監督も成長することもあるのかと、騙されたつもりで鑑賞しました。見ないでアレコレ言うのはただのイチャモンですからね。
感想としては

  相変わらずセリフと演出が不自然でイライラするが
  クライマックスはそれなりに盛り上げたし、ま、いんじゃね?

くらいの感じでしょうか。元の期待値が低いこともありますが『SPACE BATTLESHIP ヤマト』や『永遠の0』よりはマシという印象です。
なお本作では曳船が活躍していますが、現在の職場が関連していることもあって親近感をもち 0.5 点加点しました。

ところで『永遠の0』でも感じたことですが、山崎監督は戦争映画を見たことがないのでしょうかね。
たとえば日本の軍人が自分を「私」と呼ぶの、ものすごい不自然ですよね。
一人称は「自分」、二人称は「貴様」というのがごく普通だと思います。
ほかでも「戦場から帰った」(うろ覚え)とかではなく、パラオとかラバウルとかそれらしい戦地の名前にするだけで随分「らしいセリフ」になるのに、そういうのも相変わらずできてないですし。

とはいえ、そんなことはこれまでも多くの映画ファンが指摘してきたことで、昨日今日にはじまったことではありませんからね。
何より山崎監督はもともとCG屋さんで、演出をやらせること自体が最初から酷な話なのです。
ぶっちゃけた話、山崎監督には円谷英二の役回りを任せ、本多猪四郎にあたる演出家を用意すればいいだけのこと。

したがって、本作に限らず山崎映画の下手な演出に責めを負うべきは東宝であり、本作の制作総指揮にも名を連ねいまや日本映画界を代表する大プロデューサである市川南氏である、そのように指摘したいと思います。

メンチ勝之進(新)
メンチ勝之進(新)さんのコメント
2023年12月26日

ジョン・ドゥ様

コメントありがとうございます。
軍人の一人称=自分については、金語楼の落語でかなり使われていますので、ガンダムよりはずっと古いと思います。

また、リンクがはれない仕様ですので直接 URL を指定できず恐縮ですが、「軍人 自分」などのキーワードで検索するとこの件についての研究が幾つか見つかります。
これらによりますと、必ずしも「自分」以外が使われなかったということではないにせよ、軍人をあらわす役割語としてそれなりに定着した表現である、とは見てよさそうです。

逆に言えば、軍人らしくない軍人としては「自分」を使わないというのはありなのかもしれませんね。

メンチ勝之進(新)
ジョン・ドゥさんのコメント
2023年12月22日

メンチ勝之進(新)さま
ご説明ありがとうございました。

同じ作品を観ていても各々の感性や趣味嗜好で気に障る・障らないとうことが起こるということでしょうかね。
ちなみに私は主人公のくどい不幸アピールと子役の下手さ以外は特に気になりませんでした。

あと、軍人の一人称が気になったので手持ちのDVDを幾つか見たところ以外に「自分」は少なかったです。
『雷撃隊出動 』1944年
『太平洋の鷲』1953年
『独立機関銃隊未だ射撃中』1963年
若輩者が上官に対して使う事例がありましたが、同格や格下に対しては「わたくし」「おれ」「ぼく」などが多かったです。
私も「自分」のイメージが強かったのですが、その原因はガンダムだったような気がします。

ジョン・ドゥ
メンチ勝之進(新)さんのコメント
2023年12月18日

一点書き忘れておりました。

当方の前のアカウントですが、コメントでは直接 URL を記載してリンクが張れないようですのでユーザID 109569 メンチ勝之進をご参照願います。

メンチ勝之進(新)
メンチ勝之進(新)さんのコメント
2023年12月18日

ジョン・ドゥさま

はじめまして。
ご質問された内容は返答することが大変に困難ではありますが、しかしこの問題の本質を穿っておられる鋭いご指摘だと思いますので、できるだけ誠実に返答申し上げます。

(映画.com はほかのSNSのようにコメントに対する返信の方法がないようなので普通にコメントの形で送信します)

よいセリフ、よい演出というのは「違和感がない」「ひっかかりがない」ということです。
ですので、セリフや演出がよい映画は、おおむねそのことが意識に残りません。違和感なく登場人物の心情や物語に没入することができるからです。

なかには『カサブランカ』(1942)のような、映画史に残る名ゼリフをいくつも残した名作もないことはありませんし、『コマンドー』(1985)のようなカルト的に名(迷)セリフを愛されてる作品もありますが、本作のセリフの不自然さを批判しているレビュアーの大半はそこまで要求しないでしょう(少なくとも私自身はそうです)。

ですので、これという作品を絞って挙げるのはきわめて困難で、率直に書けば「特に技巧を求めているわけではなく、他と同じくらい、普通にできてればいいんですけど」くらいの感じです。

それと、このレビューを書いた後に気づいたことを付記しますが、脚本が下手というのではなくセリフが下手、人物の感情表現(演出込みで)だけが突出して下手なんですよ。
物語の展開とか構造とか設定はふつうにうまかったり違和感がないのに、セリフ周りがどうにも不自然なので目に付く、ひとこと言いたい、ということがあるように思います。

そしてその不自然さや違和感を看過できる人とできない人、そこで評価の差があるのではないですかね。

メンチ勝之進(新)
ジョン・ドゥさんのコメント
2023年12月17日

はじめまして。
当作品に低評価を付けているレビュアーの皆さんが口をそろえて「セリフと演出が不出来」というようなことをおっしゃるので、では「セリフと演出が上出来」な作品とは何ぞや、と気になるのですが大多数の方が当作品しかレビューされていないのでさっぱり参考になりません。
貴方が「セリフと演出が上出来」と感じた作品を教えてください。

ジョン・ドゥ