劇場公開日 2023年11月3日

「ゴジラの皮をかぶった人間ドラマ」ゴジラ-1.0 Ellさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ゴジラの皮をかぶった人間ドラマ

2023年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

ゴジラや特撮ファンではないので特に観る予定はなかったのですが、全米でもヒットしていると聞き、興味を引かれて観に行きました。だって、第2次世界大戦後の日本を舞台にしたゴジラ映画で、字幕で観ることに慣れていないアメリカの観客を満足させることができるなんて余程のことですもの。
感動した!泣いた!という声もゴジラのコアなファンの過剰な反応じゃないかなぁって。

でも、舐めていました、すみません。ゴジラ・マイナスワンは怪獣映画の皮をかぶっただけの、ちゃんとした人間ドラマでした。戦争の虚しさ、もたらされるトラウマ、苦難の中の助け合いと復興、ささやかな平穏の幸せ、そして突然襲い掛かる災害とそれに懸命に抗う人々、生きたいという願いと許し。根底にある物悲しさ。日本人にはめちゃくちゃ刺さる人間ドラマが展開されます。

ゴジラ映画という割にはゴジラがほとんど出てこないことに驚きましたが、それが気にならないほど人間ドラマに引き込まれました。ちょっとだけ現実に引き戻されたのは、人間ドラマの長さにふと気が付いたとき、「え、こんなに人間ドラマ部分長くてもアメリカ人ちゃんと観てくれてるの?!」っていう驚きを覚えたからでしたw(あちらの映画見てると観客が怪獣映画目当てで映画館に足を運んだなら、ドカン、バキッ、ガシャーンとアクション・びっくり要素満載じゃないとアメリカ人は満足できないんじゃって考えてしまってw 偏見でしたね)

なによりも、神木君、こんなにいい役者さんに育っていたんですね。前から好きでしたけど、少年のイメージが強かったのに、この映画の中では「青年」そして成熟した「父親」へと顔を変えていきます。「やれやれ泣かしにくるかな」と普段であればやや白け気味になってしまうようなシーンでも、神木君の演技に一瞬でぐいっと引き込まれ、気が付いたら涙が流れていました。ゴジラという非現実的で理不尽かつ巨大な脅威に対する「恐ろしい」という感情を本物にしたのは神木君や他の役者さんたちの演技力に他なりません。

確かにハリウッドの映画に比べたら「あ、ここ予算足りなかったか」と思うような箇所は所々にはありました。でも、VFXの進歩によってもはや昔ほどの差はなくなったように思います(監督がVFXまで担当しているとかびっくりですよw)。なにより、ポリコレや人種問題を抱えているために無理矢理な設定や同じようなコンテンツしか焼き直せない昨今のハリウッドに比べて、日本のエンタメはまだまだカオスなまでに自由です。

アニメにしろ、特撮にしろ、日本が独自の進化を遂げてきたエンタメのジャンルを皮切りに、日本のエンタメ業界はまだまだ世界へと躍進していくことができる。ゴジラ・マイナスワンは、そんな可能性と希望に溢れた作品だと思います。

[個人ノート:クレジットにSQUARE ENIXが出てたのにはびっくりw ゲームもCGがすごいものね~]

Ell
ユキックスさんのコメント
2023年12月20日

自分もドラマ部分に引き込まれました。
銀座にゴジラが現れた時、あっ忘れてたとなりました。
山崎監督もゴジラへの思い入れが強いから作り込みも半端なかったとおもいます。

ユキックス
Ellさんのコメント
2023年12月14日

皆さまコメントありがとうございます。
私は特撮は普段見ないので、シン・ゴジラと比べての話はご容赦ください。ワカリマセンw

ただ、演技については人それぞれに刺さる刺さらないがあるかと思います。私の基準はあくまで「映画側が観客に抱いてほしい感情を、私を現実に引き戻さずに正しく引き出せたか」につきるので、神木君の今回の演技は「素晴らしかった」と感じるまでです。本当に予想外なほどに(他の役者さんの中には少しオーバーだなぁと感じる演技はありましたが、映画を損ねるほどではなかったのでそこは流しています)。

ちなみに、YouTubeなどに書き込まれている英語コメントなどを読んでいても主演の方々の演技についてはとても好意的に受け取ってもらっているようですから、字幕を通してでも「正しく伝わっている」ことは本当に素晴らしいことだと思います。

Ell
林隆之さんのコメント
2023年12月13日

神木さんの演技で批評が二分しているんですよね。
絶賛している人と、臭い、オーバーすぎるとか拒絶反応する人と。

自分は昭和生まれのオジサンなので自然に受け入れられましたが。

あとシン・ゴジラ信者の人は扱き下ろすのが多いみたいですね。

林隆之
かんのさんのコメント
2023年12月12日

ホントに、神木くん、良かったですよね!!
何回観ても、泣いてしまいました

かんの