「ゴジラだけ凄かった」ゴジラ-1.0 1 iさんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラだけ凄かった
ゴジラ周りの映像だけ凄かったです。
戦艦や戦闘機の映像も凄く良かったです。
ただ人間ドラマの部分が??という場面が多かったです。
とくにクライマックスのあたりです。
ゴジラ討伐作戦のための準備の進行と同時に、敷島は隠れて戦闘機に爆弾を積んでゴジラに特攻することを計画します。
敷島が仲間を死なせてしまった罪悪感や妻をゴジラに殺された恨みからゴジラを倒して死にたいと思ってる という展開は分かるのですが、作戦が成功するか失敗するか分からない段階で特攻ありきで動く意味が分かりませんでした。
わが子のアキコを隣人に託していることからも特攻して死ぬことは彼の中で確定しているのでしょうが、そう考える伏線のようなものもなかったので見ながらこの展開の理由を考えいました分かりませんでした。
ラストでは敷島は死ぬことを止めて生き残り、妻の典子が実は生きていたというハッピーエンドで終わります。
しかし、この一連の流れは映画を見ている立場からすると、敷島は妻は実は生きているのに思い込みで特攻を計画して、下手すると無駄死にだったけど結果的に生き残ったから良かったね
という物凄く間抜けな話になるのではと感想を持ちました。
ほかにもこのように細かい気になった個所があるのですが、おそらく監督や制作陣は「こういう風にするとみてる人は感動するハズ」という展開を思い付いてそこから逆算でストーリーを考えているのだと思います。
例えばラスト付近でゴジラ討伐作戦が失敗しそうになったときにたくさんのひとが船で助けに来るという展開があります。
これは「敵に負けそうになったときに味方が助けに来るって熱い展開だよね」という展開あ
りきで作られたのでしょう。
しかしなぜ彼らがそう行動したのか?と描写がまったくないために説得力がなく感情を動かされません。
また、作品の舞台を終戦直後の日本にした理由も監督が昔「always 三丁目の夕日」という時代設定の近い作品を成功させた経験を生かしたいという理由のためだけに採用されたのだと思います。
そのためセットや小物に至るまで非常にレベルの高い背景美術を実現していますが、なぜ終戦直後でなくてはならなかったのか?という理由が作品からすっぽり抜けているように感じられました。
ゴジラが出てくるシーンの楽しさと人間ドラマパートのつまらなさの落差をトータルで評価すると低いものになってしまいました。