「期待していたものとは違ったが楽しめた」ゴジラ-1.0 南野コミチさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していたものとは違ったが楽しめた
山崎貴監督作品に関してはジュブナイル、三丁目の夕日123、バラッド、寄生獣、鎌倉ものがたり、アルキメデスの大戦を視聴。
悪名高い宇宙戦艦ヤマト、ドラえもん、ドラゴンクエスト等は未見です。
私の鑑賞した範囲ではバラッドと鎌倉ものがたりは「う〜ん」というような内容でしたが、その他の作品に関してはそこそこ面白く観ていた側なので、山崎貴監督にはそれほどのマイナスイメージはありません。
ゴジラに関しては初代とシン・ゴジラのみしか触れていません。
本来は公開日に行こうと思っていた作品でしたが11月はバタバタしていたため今更ながらの鑑賞。周りでの評判が非常に良好だという情報のみで、詳しい内容に関しては映画館の予告以上のことは入れずに視聴しました。
期待していた内容は「戦後すぐの日本を舞台に零戦やらなんやらとゴジラがドンパチするお話」でしたが、実際の本作は『ジョーズ2』を彷彿とさせるような神木隆之介くんのトラウマ乗り越え物語と、いわゆる負け犬たちのワンスアゲインものを組み合わせたような作品と、私は捉えました。
正直、1945〜47年という時代設定に関しては、ゴジラの倒し方に制約を与えるという舞台設定以上の機能は感じられませんでした。
時代設定のおかげでシン・ゴジラの無人在来線爆弾のような観ていて「うぉおおッ」と盛り上がれる様なシーンは正直ありませんでした。
その分、本作の強みは、
シン・ゴジラの長谷川博己が感情移入を呼び込む様なキャラではなかったのと対照的に、鑑賞者が神木隆之介くんに感情移入できるような作劇がなされていたことだと思います。
その点で私は本作の鑑賞中に強くジョーズの1と2の主人公ブロディ署長を思い起こしました。ブロディ署長はサメと戦い勝つことによって、彼のコンプレックスでありトラウマだった海を克服するというのがジョーズ1と2のお話です。
本作の神木隆之介くんの物語上の心の動きはほとんどブロディ署長と同じだと思います。
敗戦国日本はいわば負け犬で、
戦争からもゴジラからも逃げた神木隆之介くんもまた負け犬です。
その他、戦争から逃げ(たと本人が感じている)生き残った負け犬たちが敗戦というトラウマを克服する『負け犬たちのワンスアゲインもの』としては非常に心揺さぶられるものがありました。
まとめとして、
私の鑑賞前の期待としては戦後すぐの日本を舞台にしたシン・ゴジラが観たかったのですが、
いざ出てきたのは全く違う味付けの映画だったということです。
クライマックスのゴジラとのバトルシーンなどは「まあ、そうなやろな」というような予想できるようなことしか起きませんので、そういう点では圧倒的にシン・ゴジラの方がワクワクしました。
しかし、シン・ゴジラにはない魅力があるのも確か。楽しめたのは間違いないのでこの点数とさせていただきます。
三丁目の夕日2で印象的に描かれていた昔の銀座がめちゃくちゃになるのは映像としてとても「面白」かったです。
可能ならば、戦時中の日本軍がゴジラとばちくそに戦うような怪獣映画を、
怪獣映画をあまり観たことない私としては勝手に思ったりもします。
面白いですね! そういう斬新なアイデアが現在欲しいんですよ。日米交戦中に出現したゴジラに両軍壊滅。何故か放射能を帯びている怪物に、米軍は広島以前に原爆を使用しようとする・・一方日本軍は? 結構良さそう。