「まさに『ゴジラ』。」ゴジラ-1.0 NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに『ゴジラ』。
前提として
・日本の『ゴジラ』シリーズだと、初代、1984年版、『シン・~』を視聴済。
・山崎貴監督の他作品だと、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』『永遠の0』『寄生獣』及び『~完結編』を視聴済。
めっちゃ面白かった。まさに『ゴジラ』。
まずはマジで戦後であること。終戦直後である。
今作の"ゴジラ"は、"戦争"という象徴で出現。これが見事なまでに登場人物の心情とマッチする。そういえばゴジラって、いつも何かの象徴として出てこれる器量というかシンプルさがある。
人間ドラマパートとゴジラパートのバランスだが、今作は人間サイドが多め。戦争によるPTSD(しかもこれがゴジラと重なる)、もう一度戦いに行こう、死にに行こうとする男たち、それを止めたくても止められない女性と子供たち。家族の物語でもある。
男どもの感覚は狂っている。どうして自分は生きているのか、早く死にに行かなくては……戦後の空気感とこの傷跡はめちゃくちゃ痛い。特に敷島である。いや本当に痛々しいし、狂っていくのがキツイ。
それをどうにかぶち壊すために、ゴジラを殺しに行く。物語の目的が非常に分かりやすい。
ゴジラ殺害作戦も分かりやすかった。実演があると分かりやすいね。あと痛々しかった。ゴジラの傷跡が生々しく、まさに"殺し合い"を観ていた。
ゴジラのデザインは人間っぽさと凶悪さ、そこにかっこよさがあった。足太め。別形態もあるよ!
ついでに言うと、今作ゴジラの生態(というかスキルというか……)がグロかっこいい。生物としての格の違いを見せられた。
放射熱線は物足りなかったけど、スタイリッシュさと特大エネルギーは感じられる。あと、痛々しい。それもそうか、生物の次元を超えた兵器のような行動だもんな。反動はある。
でもそれがまたカッコいい。表情も悪役で人間臭い。孤独な強さとカッコよさ。
そしてストーリー。何が何でも「生き抜く」ことをテーマにしている。戦後に間違いなくマッチしてるし、登場人物の成長や変化にもつながっていく。シナリオも比較的綺麗でとっ散らかってない。ただ、ゴジラによってもたらされる絶望感(物足りない)と、とどめの一撃の演出(くどい)が微妙だった……
そういえばVFXがめっちゃ良かったな……。ゴジラの足元に人が居るんですよ……ゴジラのサイズはそこそこなのが妙にリアルで、人が潰され消し飛ばされていくのも妙にリアルで……そういう恐怖はしっかりと表現されていた。船上での邂逅とか、焦りが半端ない。ゴジラに会ったら確実に「これ生きて帰れる?!」ってなる。
ゴジラってそういう存在だよね!
しかしラストの伏線が残念過ぎた……タイトルの意味まで受け取り方変わっちゃうじゃん……残機かよ……
小言をいくつか言ってるけど、面白いのは間違いない。面白かったし、クオリティも高かったからこそ、気になるところがいくつかある感じ。
ゴジラを好きな人はもちろん、ゴジラに興味が無い人も是非観てほしい。ゴジラ史に刻まれた新たな分厚い1ページ。そんな作品。