「期待度○鑑賞後の満足度○ 初めて泣けたゴジラ映画。同じ山崎貴監督作品としては『永遠の0』は泣けなかったのに。ただ、怪獣映画としては物足りない。」ゴジラ-1.0 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度○鑑賞後の満足度○ 初めて泣けたゴジラ映画。同じ山崎貴監督作品としては『永遠の0』は泣けなかったのに。ただ、怪獣映画としては物足りない。
①個人的な意見としては、ゴジラ生誕70周年記念作というより、ここで再度日本は敗戦国であり戦後という時代があったことを再確認するという点で意味があったと思う。
ただ、敗戦でゼロになった日本がゴジラ上陸によって追い討ちをかけられマイナスになったというタイトルほどヒドい事にはならないのでやや「看板に偽りあり」の感あり。
②狭い視野で見ると反戦映画というか厭戦映画としては心を打つものがあったと思う。
ただ、その部分の比重が重くなったため、ゴジラは助演みたいな感じのうえ、ゴジラありきの設定で巨大生物或いは怪獣としての深掘りがない。その点では『シン・ゴジラ』に軍配が上がるだろう。
それでも、相模湾でゴジラにヘリウム爆弾付きの網を巻き付ける為に軍艦が前進するシーンで「ゴジラのテーマ」が雄壮に流れるところは流石に胸が熱くなった。
あと、初代ゴジラにあった核の恐さのイメージも希薄で、ラストの典子の首筋のアップに辛うじて伺えるくらい。
③しかし、広い視野で見たら途中から設定がトンデモ映画である。
いくら戦後の混乱期とはいえ、東京にあれほど甚大な被害を与え、またいつ襲ってくるかも知れないゴジラの退治の対策を日本政府が行わず、民間にまる投げするなんて有り得ないでしょう…
アメリカはソ連との冷戦状態を刺激したくないため、ゴジラ退治に手を貸さないというこどだけど、そもそも朝鮮のように敗戦後国土を半分にされたかも知れなかった日本の全土をアメリカが占領国とし、戦後復興に手を貸したのは対ソ連はもとより思惑に外れて共産主義国家になった中国を含め、反共の盾として全線基地として必要だったわけで、その日本がその役目を果たす前にゴジラにボロボロにされたら元も子もないでしょう。
「死ぬことを美化した」戦前の日本の軍国思想のアンチテーゼとして「生きる」「生き残る」ことの大切さを訴えたい意図や国に翻弄された(国の言うがままにされていた)人々が自分の意思・信念から戦うことを選ぶ姿を描きたいのはよくわかるが、映画には映画のリアリティーというものがあって、余りにもトンデモ設定では高揚したい気持ちが萎えてしまう。
④神木隆之助はヒーローにはとても見えないキャラの俳優だが、怪獣映画には珍しい内面的な役で且つ気弱な一青年がトラウマを乗り越えて強くなっていく(自分の中の戦争を終わらせる)姿を描くには彼の演技力が必要だったのだろう。