「AIと心理という題材を巧みに織り交ぜた怪作にして快作」M3GAN ミーガン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
AIと心理という題材を巧みに織り交ぜた怪作にして快作
人形ホラーという意味では『チャイルド・プレイ』や『アナベル』、はたまた人工知能の暴走という意味では『2001年宇宙の旅』や『ターミネーター』などを思い起こすが、そのいずれとも異なる鮮烈な印象を持った一作である。とりわけ両親を亡くした9歳の少女ケイディの悲しみと、彼女を慰めようと心の隙間に入り込んでいくミーガンの関係性は驚くほど真に迫っていて、描き方が緻密。その存在はある程度まで少女の救いとなり、ある一線を越えると依存性の高い危険領域へと突入していく。もともと「代用品」であったはずのAIロボットが、本来なら亡き父母の代わりとなるべき伯母であり開発者のジェマ以上に、信頼や寵愛を独占していくこの異常事態。暴走後はさすがにエンタメに振り切れるが、今のご時世、AIについて考える最適の教科書のように思えてしまう。と同時に、ジェマ宅の棚や作業場に溢れるロボット熱にちょっとワクワクしてしまう映画でもある。
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