「近未来の育児。AIに育てられる子供たち。」M3GAN ミーガン レントさんの映画レビュー(感想・評価)
近未来の育児。AIに育てられる子供たち。
愛玩ロボットミーガンが暴走して次々と殺人を繰り返すお話。そもそも子供のおもちゃとして開発されたんならあんな耳を引きちぎるような腕力を与えてはだめ。というかアシモフのロボット三原則さえプログラミングされておらず、開発者のジェマは間違いなく過失致死で刑務所行きでしょう。
確かに子育ては大変、だからこんなロボットがいたら売れるだろうなあ。いまでさえスマホが子供をあやす役割をしてるので近いうちに開発されてもおかしくないかも。
突然の事故で両親を失ったケイディをあずかることになったジェマは姪とどう接すればいいかわからない。そこで開発中のロボットミーガンを与えてしまう。ミーガンはケイディにとって心の隙間を埋めてくれるどころかまさに痒い所に手が届く存在でミーガンなしではいられなくなる。
ミーガンに心酔してジェマの言うことも聞かなくなるケイディ。ミーガンを取り上げられて歯止めが利かなくなり暴力的になる様を見て空恐ろしくなった。未就学児が親に与えられたスマホにかじりついてる姿とどうしてもかぶってしまう。
カウンセラーがジェマに言う、手放せないオモチャを子供に与えてしまったら子供の成長は期待できない。やはり社会性は人との間で育まないと。
わたしの4歳の甥っ子なんかもスマホを見てる時だけはおとなしくなるが取り上げるとたちまち大泣きしてしまうので仕方なしに親が与えたりする。将来的にどう育つのか少し不安になる。本作はそういった不安がよく描けていた。
ただ、本作はロボットの設定が少々雑で、如何にしてミーガンが命令を無視出来るよう自身のプログラムを書き換えたのか、それともそもそも開発途上で禁忌プログラムが完全にはなされてなかったのか描かれていない。
そういう意味では本作はかなり大味。ただ、やはりミーガンのビジュアルが素晴らしい。正直このビジュアルイメージだけで本作は勝ちだと思う。
ホラーとしては少々物足りなかったけど、手がける人間によっては次作以降期待が膨らむキャラクターだ。
個人的にはミーガンが悪ガキを懲らしめるシーンが良かった。この時の彼女の立ち姿がとてもりりしくてかっこいいと思ってしまった。出来れば次回作は彼女が悪党たちと戦うアクション映画にしたらどうだろうか。新たなダークヒーローとしても期待できる。
それにしてもケイディはあんなにミーガン、ミーガンて言ってたのにあっさりブルースに乗り換えるなんて、ほんとに子供は飽きっぽいんだから。でも手放せないオモチャであるミーガンを卒業できてケイディは人間として成長できたんだということ。