「wake-up songの力」おやすみ オポチュニティ sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
wake-up songの力
NASAって、本当に様々な人たちが働いているんだなということが一目瞭然。ミッションが長期化すれば、そこに携わる一人一人の物語も膨らんでいく。各々の目的はそれぞれなのだろうけれど、共通の夢に向かってエネルギーがどんどん大きくなっていく様に、自然と引き込まれてしまう。
「宙わたる教室」での予備知識だけだったので、オポチュニティが、スピリットと双子であることや、しかも「she」であることは初めて知った。
(その分、轍の場面は、グッときた)
コマンドに中々反応しないところや、自律性を持たせたことで、まるで彼女自身に意思があるように思えてくるのは、長い間付き合ってきたスタッフだけではなく、わずか2時間弱の付き合いの観客も一緒だ。
そこには、ドキュメンタリーでありながら、VFXを駆使した映像の力が大きく関わっていると思う。
最初は、あまりにも自然に、オポチュニティが走行しているシーンが出てくるので、自分の「ドキュメンタリー」という概念との相違で、少し入り込めない面もあった。だが、大切なのはそこではなく、NASAの人々の熱量と、それに応えたオポチュニティとの関わりの物語だと割り切って鑑賞することにした。それでも、やっぱり一番感動したのは、オポチュニティから送られてきたピンぼけの自撮り写真がだんだんと重なって、像が結ばれる場面。ここにも何かしらの演出はあったのだろうが、実際の映像が持つ力を、強く感じた場面だった。
あと、wake-up songがいちいちツボだった。まあ、そういう映画の作りをしているからだろうけれど、監督の思うツボに見事にハマってしまった。苦しい時のユーモアとか、音楽の救いの力を描く映画としても、とても印象に残る一本。