劇場公開日 2023年2月10日

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「窪塚洋介のカッコ良さが光るクライムサスペンス」Sin Clock 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0窪塚洋介のカッコ良さが光るクライムサスペンス

2023年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

窪塚洋介主演の新作ということで、なんとなく懐かしくなって観に行きました。「シン・ゴジラ」以降、「シン・〇〇」という題名とか言葉が流行っているので、本作の題名もてっきりその筋の意味合いかと思ってましたが、「Sin」とは「罪」という意味であり、つまりは「罪の時計」っていう意味だったんだと、映画の冒頭で説明がありました。さらに、「Synchronicity=意味のある偶然の一致」という意味合いも持たせているようで、この題名が持つ2つの意味が、最後まで作品世界を形成していて、そうした創りが中々新鮮で面白いお話でした。

映画の宣伝文句として「一度つまずいたら、再起のチャンスはどこにもない」というメッセージがあったので、てっきり「万引き家族」とか「ジョーカー」、「パラサイト 半地下の家族」と言った、格差社会をテーマにした作品かと思っていましたが、実際は「JOINT」に近いクライムサスペンスでした。題名同様、こちらの勝手な先入観を2度も覆されましたが、まあ窪塚洋介主演なので、イメージ的にその方がしっくり来ますわな。

で、内容はと言えば、別々の職場で働いていた窪塚洋介演じるシンジ、葵陽演じるキョウ、坂口涼太郎演じるダイゴの「3」人が、揃って前職を首になり、「3」か月前に同じタクシー会社に転職。しかもその「3」人は、偶然にも同じ「3月3日」生まれ。まさに「Synchronicity=意味のある偶然の一致」!

彼らは、シンジが乗せた国会議員の客が漏らした言葉をきっかけに、時価数十億円と言われる絵画の盗難を計画する。計画はタクシー「3」台を使い、それぞれのカーナビに表示される時刻を基準に、分刻みで綿密に練られる。最も重要なキーワードは、「『3』時に『3』回ハザードランプ」。まさに「Sin Clock」!

そんな計画の結果や如何に?

最終的な結末がどうなるのか、息もつかせぬ展開がテンポ良く続いて飽きさせず、1時間半余りと若干短めと思われる上映時間に最適に纏められていた感じがあり、全体的に面白い映画でした。

ただ、サヴァン症候群で記憶力抜群という設定のダイゴが、ターゲットになった国会議員事務所の事務員らしき女性から関係者の連絡先を聞き出す下りは、どうやって段取りを付けたのだろうかという疑問や、現金1億円を海外に持ち出せば、当然申告が必要になり、その出所が問題になると思われるのに、その点はあまり計画されていない感じだったことなど、細かいツッコミどころがない訳ではありませんでした。また、盗難した絵画の売りさばきを依頼した反社のお兄さんが行ったグロい行為のシーンも、どれだけ必然性があったのか首を傾げないでもありません。

でもそうした点を差し引いても、最後のどんでん返しは良かったと思うし、何しろ窪塚洋介は渋くてカッコ良かったので、評価は★4としたいと思います。

鶏