「熱意があれば何でもできる、そう思えた高校時代。自主制作の映画造りにクラスで取り組んだ高校生たちのお話。物造りに励む者たちの熱き想いは、今も昔も変わらずにあるようです。」Single8 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
熱意があれば何でもできる、そう思えた高校時代。自主制作の映画造りにクラスで取り組んだ高校生たちのお話。物造りに励む者たちの熱き想いは、今も昔も変わらずにあるようです。
高校時代の自主映画制作という、遠い昔の記憶を
呼び覚まされるようなノスタルジックな雰囲気の漂う
作品かも、と思ったのと
つい最近観た作品に出演している"高石あかり"さんが
この作品では普通の女子高校生で出演している
ということも気になって鑑賞しました。
スターウォーズ (1978) を見て感動した高校生のお話。
巨大な宇宙船が飛び去っていくシーンに魅せられ
「自分も撮ってみたい」
と思い立ったのがお話の始まり。
とりあえず宇宙船の模型を作ったり、8ミリカメラで
撮影アングルを考えたりと、独力で色々と撮影を
試みるのだが、どうにも上手く行かない。
近所の写真屋で働いているアルバイトの兄さんに
特売中の8ミリカメラの件で話かけたところ
このアルバイト兄さんも自主制作の先人だったと分かる。
「スターウォーズのような作品」を制作中と話すと
興味を示し「見てみたい」と食いつく。
部屋で上映。回るフィルム。
「ごごごごごごごご」 終了っ
「…」
「これだけ?」
「はいっ」
アルバイト兄さんは言う。
「これだけでは作品とは呼べない」 …そりゃあ ね
この場面を中心にした、作品と呼べる物を作りたい。
こう考える主人公。
季節は夏休みの少し前。主人公の高校では
「学園祭のクラス企画」を決めようと
企画の案を募集していた。
「何かない?」 とクラス委員長
「…」
と、一人が手を挙げる。
「お化け屋敷」
去年もやった。やり方が分かるから楽、と主張。
一部の女子の反対があるものの、決まりかける。
そのとき手を挙げたのが主人公。
「映画を自主作成し、上映会を開くのは?」
お化け屋敷を提案したヤツが反対する。
”夏休み中、時間とられちゃうぞ”
”そもそもどんな内容なんだ?”
”キャストは? ヒロインは?”
その時は上手く伝えられなかったが
一人の女子が映画作りに賛成の意志を示してくれた。
そういった事もあり、
一学期の終業日に投票で決定することに。
映画制作に同調してくれた仲間とともに
ストーリーを練り始める主人公。
ヒロインは… 彼女に頼みたい
あれこれと想いを巡らす主人公であった。
と、まあ
見事に「自主映画作成」がクラスの企画に決定し
夏休み中、制作スタッフとヒロインとで
ロケ地に移動し、撮影を進めていきます。
さあ、どんな作品ができあがるのか。
熱く暑い夏が始まります。
◇
この作品、高校や中学時代に
同じような制作体験(もしくは共同作業の経験)が
ある方ならば、共感できる部分が あると思います。
登場人物がみんな純粋なこともあって
映画の完成を応援せずにはいられなくなる
そんな気分での鑑賞でした。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■8ミリカメラ
スマホも携帯電話も無い、デジカメも無い時代。
写真はフィルムカメラで撮影。撮影が終わったら
#フィルムをカメラ屋に持ち込み
#現像に必要な期間待ってから
"プリント写真を受け取りに行き
そしてようやく
撮った写真を目にすることができた時代です。
この、撮った写真をみるまでの
「待たされる感覚」
今のデジタル撮影に慣れてしまった身からすると
「不便」なのですが
それだけではなく、
「待つのが楽しみ」でもありました。うん。
撮影できる枚数にも限り(24枚とか48枚とか)
があったので、撮影時には撮りたいものを吟味し、
アングルとか色々と考えて撮ったものです。
ああ懐かしいなぁ …としみじみ。
■主人公の成長
「特撮にこだわり」続ける内容だったら、この作品自体も
特撮オタクの「イタイ」作品なのかもしれない などと
余計な心配をしながら観たのですが、杞憂でした。
主人公は、
「その場面だけでは作品にならない」
と意見されると、
それを素直に受け止める柔軟性も持っていました。
この作品の主人公も
自主映画に登場する主人公も
ストーリーが進むに連れて成長していくのですが
それが自然に描かれていて良い感じでした。 頑張れ~
■ロケ先のお店と馴染みになる話
ロケの度に立ち寄るカレー屋さん。
店主も最初は無愛想。何度か通う内に
「おっ 来たな」
に変わっていくのが微笑ましいです。
※しかしこのカレー屋。
メニューに2品のみ… しかも
「並」と「大盛」…。
実質、カレーは一種類のみでは…。
通う内に愛想が良くなってくるカレー屋のオヤジ。
存在感あって良かったです。
◇最後に
主人公が作成する自主制作作品「タイム・リバース」。
これもなかなか面白そうな作品でした。 うん。
NHKの少年ドラマシリーズに出てきそうな
そんな感じのする作品で、これも良作でした。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
共感ありがとうございます。
0号試写(でいいんですかね?)で、クラスのみんな(完成迄何をしてたのか)と出来上がった作品を観る所がクライマックス。しかし全編見せるとは! 大分驚きました。