「歴史あるゲームの映画化として、(過去作を教訓として)手堅くまとめた一作」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史あるゲームの映画化として、(過去作を教訓として)手堅くまとめた一作
一部の映画関係者の間では”黒歴史”にすらなっている『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993)が30年ぶりに注目を集めるなど、様々な予想外の反応を引き起こしている本作。ゲームの映画化作品としても異例のヒットとなっている模様です。
ピーチ姫やクッパ達の住む異世界に迷い込んだマリオ兄弟の冒険を、既存のゲームシリーズを彷彿とさせる演出と見事なフルCGアニメーションで観せてくれる…、という作品であろうことは、予告編からも十分察せられるんだけど、その期待に十二分に応えてくれる作品であることは間違いありません。ただこれは、裏返して言えば、事前の期待を上回る要素の少なさを意味していて、ゲームとは異なる”尖った”要素を期待すると肩透かしを食らう可能性がある、とも言えます。この辺りは、偉大なる先行作品の轍を踏まないための戦略(安全策)なのかも知れません。
『マリオブラザーズ』のファンなら、歴代シリーズのゲーム画面、ステージを彷彿とさせる場面や細かな設定を取り入れた演出の巧みさに感心するだろうし、ファンでなくとも一つの映画作品として十分楽しめる水準となっています。あまりにもピーチ姫が強いので、これならマリオいらないじゃん、と思わなくもなかったですが。
なお、2D版で鑑賞したところ、イルミネーション自慢のCGアニメーションの一部が、やけに粗い描写となっていることに気がつきました。もちろん製作上品質管理は十分に行なっているはずなので、上映形態に起因する(あるいは全くの気のせい)のかも知れません。内容的にもマリオブラザーズの世界に没入する感覚を味わうことを目的とした作品なので、可能であればIMAX上映など、できるだけ高品質な映像で鑑賞することをお勧めします。