非常宣言のレビュー・感想・評価
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危うくアルマゲドン&ダイハード2
なんか惜しい!
面白いんだけど、もう一波乱欲しいかな。
物語の導入は中々不気味ですごく良かったので事件が怒るまで退屈せずに
どんどん盛り上がっていって良かった。
残念なのがリアリティを追求するのか?エンタメを推すのか?
その辺が中途半端だった。
最後のアルマゲドン的御涙頂戴はエンタメをやりたかったのかな?
であればもう一つ二つ大きな波乱があって良かった。
ジェヒョクの娘が飛行機に乗っている訳、イノ刑事の妻が乗っている訳は
彼らの愛する者を守る物語を強調するためだったと思う。
ダイハードでジョンがホーリーを必死に救おうとする一方でホーリーは
ホーリーの物語を作っているんだよね。
今回ダイハード2と同じ状況であるイノ刑事はエンタメで行くのであるならば、
製薬会社でワクチンを隠蔽するところの攻防があっても良かったと思うし、
ジェヒョクは機内の人間が自己犠牲に酔ってても娘のためになんとしてでも
死ねない!と反対の行動を一人ワガママを言っても良かった。
機内の中ではゆっくりと人が死んでいくので全体的にちょっと盛り上がりに欠けていた。
どこの国にも受け入れてもらえない状況は中々緊迫感があったけど、
せっかく作った致死率40%?の状況というのがパッとしなかったな。
特に時間の流れがおかしいのはイノ刑事が自分にウィルスを注射したシーンで、
機内の感染者より悪化が早く、また、ワクチン接種後の効果も早過ぎで、
コロナの流行により皆にある程度疫病について知識があるのであまり適当だと
その辺納得しないだろうなあと思った。
ふと、こう書いてると、コロナ、ダイハード、アルマゲドンなんかネタの
詰め合わせって感じがしてきたな。
ありきたりなネタだから偶々かもしれないけど。
面白かったけどもうちょっと盛り上がりそうな話だった。
密室感染パニック(人間の怖さ)
ネタバレ
韓国の大物俳優揃い。
妻がその飛行機に乗っている刑事、
事故?のトラウマにより操縦桿が握れなくなった元パイロット。
韓国作品のどの犯人も狂気さがえぐい。怖すぎ。
アメリカは着陸拒否、
日本は着陸可能からの拒否、
たしか結局韓国に着陸する話だった気がする。
新感染しかり、最近密室パニック多くてこんがらがっちゃう。
飛行機の前後をカーテンとかで分け、感染者とそうじゃない人を分け。
刑事の奥さんがね〜。良いおばさん役で救いがある。
23.5.4 スカパー
政府無能過ぎ
導入とか、事が起こるまでは中々面白かったです。
けどバイオテロが起こってからの政府の動きが無能に過ぎる。
着陸する空港の調整ぐらい事前に協議するやろ。
なんで着陸寸前になってパイロットが直接交渉してんだよ。
抗ウィルス剤の実験着手も余りに遅すぎる。
マンションにウイルスを持った死体があって、抗ウィルス剤を確保した段階で普通すぐに検証するやろ。
わざわざ刑事が実験台になる必要ある?
それ以外はまぁ、不満は特にありませんが映画の盛り上がりどころでのポカなんで雑音がね……。
批評家や映画レビューYouTuberが「傑作だ!」と言うから観てみましたが、正直そんなに……
同じ韓国映画でも新感染や魔女の方が面白いですね。
最悪の感染フライトを巡って、人々は試される…
韓国発ハワイ行きの旅客機内で、ウィルス・テロが発生!
そのウィルスに感染したらゾンビに…はならないが、脅威的な感染力と致死率を誇る。
乗員の運命は…!?
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の航空版のような、またまた韓国が放つ、逃げ場ナシ!限定空間パニック・サスペンス!
いつもながら、さすがと言うべきの韓国エンタメ。期待していたが、期待に違わず。
極限状態のスリル、パニック描写、テロの恐怖…。
交錯する人間模様、国内外の反応、あなたなら現実ならどうするか…?
泣きの要素や何より“今”だからこそ訴えるものもある。
リアリティーもあるが、ツッコミ所や荒唐無稽もある。それらさえも見応えあり。
何かタブーでもあるのか? どうして日本ではこういうの作れない?
コロナが我々の身近にまで迫り、脅かしたからこそ感じるウィルスの恐ろしさ。
とにかく本作のウィルスが恐ろし過ぎる。
感染力は非常に強く、かかったら最後。それがまた一人、また一人、瞬く間に増え広がっていく。
完全なる密室。逃げ場ナシ。防ぐ術もナシ。
もし、これが地上だったら…? 現実だったら…?
コロナを経験している今だからこそ、殊更震撼する。
そもそものウィルスの発生源は…?
自然的なもの…?
否。人為的のもの。
アメリカで微生物研究に携わっていた一人の男、リュ・ジンソク。
ネズミなどで実験をし、人の身体で培養。自身の身体にウィルスを宿らして搭乗し、粉末化して機内に広め…。
自殺も同然。何故この男はこんな凶行を…?
後々の展開になるが、明確な犯行理由は不明。ただ、多くの人を殺したかっただけ。
SNS上に犯行予告の動画もアップロード。
見た目は穏やかそうな好青年。が、搭乗前に受付に暴言。他の乗客に対し不審な言動も。
こういう輩が怖い。何を考えているか、何をしでかすか分からないから、怖い。
理解も動機も分かりえない。人の狂気は時に理解や想像を超える。
イケメンのイム・シワンが怪演。
感染が広がり、機長が死亡。副操縦士も感染。体調が悪化していく…。
誰が旅客機の操縦を…?
乗客の中に、飛行機恐怖症のパク・ジェヒョク。アトピーの娘の治療と自分の新職の為、ハワイへ。
飛行機恐怖症だが、咄嗟に落下しそうになった旅客機を操縦する。
実は彼は旅客機の元パイロット。副操縦士の上司でもあった。
訳あって辞職。副操縦士から何やら遺恨が…。
副操縦士も操縦不能となり、彼が操縦する事に。それはトラウマと向き合う事でもあった…。
が、守らなければならない。多くの乗員を。何より、娘を。
イ・ビョンホンが熱演。
当初は悪戯と思われた予告動画を調べた事をきっかけにジンソクのアパートを突き止め、そこで殺人ウィルスの証拠を見つける。さらにジンソクが旅客機に乗り、ハワイへ経った足取りも…。
それを知り、ク・イノ刑事は戦慄する。その便には、妻が…。
ソン・ガンホが人間臭さと存在感を発揮。
イノは地上で奔走。旅客機の乗員や妻を救う為に。
航空会社、政府の役人に協力を乞う。
指揮を執るのは、国土交通省大臣。緊急着陸をアメリカや日本に要請。
旅客機は燃料切れが近付く。
ジェヒョクはいつ燃料が切れるか分からない中、着陸出来る飛行場を目指す。
乗客を落ち着かせる客室乗務員たち。
乗客たちも希望を捨てずにいるが、感染者と非感染者で対立が強くなっていく。広がる感染と増えていく死者で、それはさらに深刻に…。
上空と地上で展開する人々のドラマ。パニック物の醍醐味である群像劇も充分。
そのパニック描写。機長が死亡して一旦操縦不能となり、落下し始めた機内は無重力状態&上下逆さまに。そのシーンの見せ方、スリル、迫力は迫真。
何度も訪れる危機。メリハリある展開。緊迫感は終始途切れず。
その危機というのが…
まず、アメリカがハワイへの着陸を拒否。機は韓国へ戻る事に。
イノ刑事らの奔走によって、ワクチンが見つかり、安堵。助かった…!
が…
ウィルスは進化しているかもしれない。ワクチンが必ずしも効くとは限らない。
韓国に戻っていた機は、急遽日本に向かう事に。
“非常宣言”を発令。航空機が危機に陥った際の不時着要請。
ところが、日本も着陸を拒否。領空侵犯として空自まで出撃して威嚇射撃。
機は韓国に戻るしかない。だが韓国でも殺人ウィルスが蔓延した機を着陸させるか否かで分断。
世論は真っ二つ(反対が弱冠多い)、飛行場ではデモも。
乗員の命の限界と燃料切れが近付く…。
韓国内は元よりアメリカや日本の対応は、当事国の者としては…。日本は威嚇射撃までするし…。
一部では反日描写なんて言われているが、もしこれが現実だったら…?
その時日本は受け入れるだろうか…?
コロナも海外からの入国を一時拒否された。
まあ状況に差異はあるが、それは白状な事なのか、仕方のない事なのか…?
受け入れたら良心国だと世界中から称えられるだろう。
が、ウィルスが日本に広がってしまったら…?
コロナが国内に広がるきっかけとなったダイヤモンド・プリンセス号の件を思い出す。どんなに処置しても、ウィルスは僅かな隙間を通って…。
やはりリスクは犯せないのか…?
描写は白状だが、対応はひとえに非難出来ない。
しかし、当事者たちの安否も…。
コロナを経験した今の我々だからこそ、考えさせられる。
韓国内での分断は激しくなる一方。
何か、手立てはないのか…?
イノ刑事は大胆な方法を思い付く。自分の身体にまずウィルスを感染させ、ワクチンを打つ。それでワクチンが効けば…。
旅客機内では決断迫られる。着陸するか否か。そして決断する。
イノ刑事はウィルスに苦しむ。やはりワクチンは効かないのか…?
旅客機内で決断したのは、着陸しない。全員で国の皆の為に犠牲になる。
今下せた、最善の道。
人は弱い。恐怖に押し潰される。だからと言って、その対応を責められない。
大事な人たちの為に。人は自己犠牲の精神も併せ持つ。誰もそれに異を唱えられない。
そんな時、奇跡が…。
ワクチンが、効いた…!
一度は拒んだ側が、旅客機の帰還を願う。帰ってきて!
覚悟を決めた乗員たち。彼らの声を聞く。我々は、見放されてはいなかった…。
ベタではあるが、エモーショナルに胸を打つ。
帰還は認められた。が、最後の難題。
無事、着陸出来るか…? 燃料は残り僅か。指示のあった着陸場までは持たない。
そこで、最も近い場に緊急不時着。
これは、ジェヒョクにとってもトラウマと向き合う事だった。何故ならその場所は…。
最後の最後まで、見せ場を怠らない。
エンタメなので単純にハッピーエンドになるかと思いきや、そうはならない。
事件後、指揮を摂った“元”大臣の責任問題やイノ刑事の勝手な行動への問い詰め。
誰かが責任を取らなければならないとは言え、その時は何もしなかったくせに、こういう時だけ偉そうにもの申す“側”こそ白状だ。
どんなに言われようと、確信している。
あの時の決断は間違っていなかった、と。
奔走した人々、渦中の人々、そして自分…。
誇りを胸に。
興奮度マックス、でした。
こういうベタな展開の映画に結構弱いんです。
興奮して、
めちゃめちゃ面白いし、泣けて、しかも笑える。
犯人が頑張るかと思えば、30分位で退場しちゃう!!
(ハリウッド映画なら、犯人をめちゃめちゃ引っ張りますよね)
パニック・アクション映画で2時間20分って、
やたら長いですよ。
でも長さには理由があったんですね。
こじれにこじれます。
ねじれにねじれます。
航空機テロ→生物兵器です(バイオ・テロ)
犯人は韓国機のハワイ行きに、殺人ウイルスを機内に持ち込んで、
ばら撒きます。
(乗客の中には捜査にあたる刑事(ソン・ガンホ)の妻もいます)
トイレで感染した乗客が第一犠牲者。
程なくして犯人も感染して死亡。
やがて感染は乗員と乗客のほとんどに広がり、
乗客を治療して助けるために、一刻も早く着陸しようと、
アメリカそして日本に打診するが・・・
ここで日本政府が韓国機の着陸を拒否して、
自衛隊機で撃ち落とそうとする場面!!
《これはないと思いますね》
ロシアや北朝鮮ではないんだから、
日本の政府はそこまではやらないですよね。
そこまでの度胸はないけれど、
威嚇射撃位はやるかも知れない。
コロナの初期に横浜港に寄港していた「ダイヤモンド・プリンセス号」は、
日本政府に下船を許さずに3700人超えの乗客・乗組員が、
3ヶ月間船内に止まったのですね。
これも今となっては、もう少し方法があった気がしますね。
あと第二次世界大戦中にドイツから亡命するユダヤ人を乗せた
「セントルイス号」がアメリカにもキューバにも寄港を拒否されて、
太平洋上を彷徨った実話。
「さすらいの航海」という映画になってますが・・・
この映画も思い出しました。
それにしても見せ場は満載でしたね!
最終的に韓国にまで着陸を嫌がられ、
飛行場では韓国民の反対派のデモ隊や、
乗客の家族のバスの内部などが交互に映される。
ここで韓国機の乗客は全員、着陸を諦めて、
「星になろう」と決断します。
鎮魂のシーンで胸打たれました。
これはまるで「タイタニック」で、沈み行く船の甲板で、
「主よ御許に近づかん」を最後まで演奏する
音楽隊七人の姿と重なって見えました。
そして主役のソン・ガンホとイ・ビョンホンの2人。
ソン・ガンホはこの映画の牽引役で、妻を飛行機に残した当事者です。
ラストでウイルスの治療薬の効果を試す人体実験のくだりは、
やり過ぎ(笑)
裸で発疹だらけになって真っ赤な身体。
しかも心電図は真っ直ぐな直線でほぼゼロ状態。
そこから復活して、
「治療薬が効いたぞ!!」
(そんなに短時間で効果出るか?)
でもその結果を見て、
韓国政府は着陸許可を下す。
そしていよいよイ・ビョンホンの見せ場になるのですが、
イ・ビョンホンは元パイロット。
以前にエンジンから火を吹いた航空機事故のパイロットで、
強行着陸を決断して乗客全員を助けるものの、
2名だけ乗員が焼死する。
その事故から飛行機恐怖症になっている設定。
韓国機は機長がウイルス感染で死亡。
そして副操縦士も瀕死の重病。
そこでイ・ビョンホンが悪天候の中、短いたった一本の滑走路で
着陸を試みる訳です。
なんかこの映画。
撮影に臨場感が半端ないです。
迫ってきます。
ソン・ガンホの追跡する自動車がひっくり返るシーンの写し方。
ホントに自分が180度ひっくり返った体験をした感覚。
飛行機の揺れや着陸時の恐怖。
手振れカメラみたいに、まるで自分で撮影しているような感じ。
分からないけれど3Dや4Dより臨場感迫って来ません?
ともかく日本映画にもハリウッド映画にも真似できない
エンタメ・パニック・ムービー。
ラストにかかるドビュッシーの「月の光」。
韓国映画にしてはと言っては失礼ですが、
とてもセンスが良くて、
心に沁みました。
最近ではここまで興奮したのは久しぶりでした。
面白くは見ましたが‥
(ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
周りから感想を聞かれれば、「面白かったですよ」と言いますし、見ても損はない作品になっていると思われました。
ク・イノ刑事役のソン・ガンホさんの演技は相変わらず流石ですし、元パイロットのパク・ジェヒョク役のイ・ビョンホンさんもさすがの存在感だったと思われます。
題材やストーリ展開も面白さがあったと思われます。
ただ、疑問点や突っ込み所としては、
1.映画のルックとしてはもう少しビビッドさがあった方が題材には合っていたのでは?
2.アメリカや外資系製薬会社、日本の描き方がステレオタイプだったのでは?
3.韓国の一般人の反応がやや単純化されていたのでは?
などがあったとは思われました。
特に2.に関しては、日本の自衛隊が民間機に威嚇射撃とか絶対にやらないし出来ないよな、と日本人観客としては思われました。
日本社会は、銃を民間人に向けることにかなりのアレルギー反応があるので、おそらく地方の飛行場や住民のいない硫黄島のような飛行場に降ろして、機内に感染者を閉じ込めての対応を取ることになったと思われます。
あとは、機内と警察と韓国の国土交通省の人々の振る舞いとは別に、それ以外の外の一般人々の振る舞いのリアリティがやや欠けていたようにも感じました。
そのステレオタイプ的な人々描写は、日本の邦画ではありがちなのですが、韓国映画では出来ればもう一段リアリティがある描写が必要だったとは思われました。
ただ、韓国映画らしい面白さもあり、飛行機を回転させる大掛かりセットで撮影された機内映像の迫力もあり、見て損だったかというとそうではない面白さはあったとは思われました。
全員夜空の星になるのも、もしかしたら有りだったか?
上空では、パニック映画に不可欠の「一難去って、また一難」を丁寧に積み重ねてくれたと言う印象です。地上では、か細い手がかりを繋いでいって、捜査ものとしての緊張もそれなりに保たれていたようです。
ただ、とてもヤバいウィルスがメインテーマにしては、その扱い方が雑だったかなと思います。つまり感染率や発症までの時間・致死率が、登場人物のその後の重要度に応じてかなり恣意的であり、ウィルスの元々の管理なども場当たり的だったように感じました。150人乗りの中型機ならあっという間に全員が感染するも、症状の出方に差異があって……ぐらいの展開の方が自然だったかなと感じました。
◉非常宣言
冒頭の「非常宣言」の詳しい解説テロップにちょっとしてやられた感があります(無論、筋書きの意外性としては悪くはない)。乗客の生命を守るための、超法規的な措置によって着陸飛行場は確保した……ものの、そこからまだエンジントラブルや悪天候も絡んで、容易に大団円に至らないような筋書きを思い描いていました。
ところが、飛行場を確保する前段階で幾つもハードルがあった。
◉着陸拒否の嵐
未知の悪性ウィルスへの恐れから、戦闘機には威嚇され、着陸を拒否する飛行場が続出する。更に手に入れたワクチンの信頼度が証明されず、最後の頼みの自国の飛行場に押し寄せる着陸反対のデモ。さすがに実際ならば、もっと別の対応がある訳だし、そうでないと居合わせた人間が悲惨過ぎる! このあたりは、リアルを追求して、もう少しモタモタしてもよかった。とにかく「非常宣言」が虚しい。
しかし、こんな風に失望を繰り返して味わってしまうと、もはや飛行機は夜空の果てに帰らぬ旅路を辿らざるを得ない。そう言う悲哀に満ちた結末なんだなと、観る側も腹を括りかけました。
そんな時にソン・ガンホが命を賭して実験台に上がった。こちらが本物の非常宣言‼︎ 法規的にはまず許されないことでしょう。しかしソン・ガンホは妻への愛の力によって、フラフラになりつつもワクチンの効力を証明した。それによって直ちに着陸が許可された。筋書き上とは言え、これも非常宣言でしょう。
まぁ映画を観ることは、訳も分からず巻き込まれることも意味しているので、この展開も悪くはない。ただ、懲りない生命力の象徴のようなソ・ガンホと、ワル側でも良い人側でも爽快感を失わないイ・ビョンホンの二人の演技で引っ張った感は強かったです。
生還したソン・ガンホが車椅子に乗って、体調を回復するには、まだ時間がかかると言う設定は良いなと感じました。
航空機にバイオテロいろいろありなんだけど
航空機ものにバイオテロを加えたパニックもの。
その風呂敷を広げたのは良いけれど、かなりご都合主義的な方法で解決に向かう。
ウイルスを使うサスペンスものとしては、コロナ禍明けの「いま」の現状で作った作品としてはウイルスに対する対策や解決策を見出す方法に違和感と弱さを感じた。
そして航空パニックものの航空機着陸についても、いままで観てきたものの二番煎じを脱せてない。
日本軍復活と燃料アディショナルタイム導入
航空テロパニック映画と聞いてメーデー民としては見ておかねばと劇場公開終了間際に滑り込んだ。まさに搭乗手続きギリギリに乗り合わせた乗客役のごとく自らフラグを立てに行く。前知識として評価がよいこととあらすじだけは機内に持ち込めた。余談だがはからずもギムリー・グライダーがリスペクトされたことは嬉しいばかりである。
ざっと挙げられた感想を読み終えて言いたいことは出尽くしているが、やはり前半と後半で大きく印象やクオリティが異なる点だろう。前半はパニック映画の要素がメインで映像の作り込みや恐怖を煽る構造はなかなかのもの。じわじわと迫る凶行の瞬間への緊迫感に思わず手に汗を握る。しかし後半は一転して制御を失いウリナラファンタジー映画へと急旋回していく。テコンダー朴のようなネタを楽しみたい人にはおすすめである。単純なパニック映画を期待していた人には意外な展開で楽しめるかもしれないが、悪く言えば突然別のテーマにすり替わったことで違和感を覚えるのではないか。
個人的には韓国人から見て日本人が雑な扱いなのは織り込み済みで、阪神ファンの歌う「商魂込めて」のような予定調和だろう。むしろ、待ってましたとばかり心の中で割れんばかりの拍手が巻き起こる。しかも予想をいい意味で裏切ったのはその直後、韓国でもデモ隊によって暴動が起きるシーンである、韓国人の敵は韓国人である、という展開にただの反日映画ではないところに困惑する。むしろ「日本の皆さんも政府がこんな対応できたらいいでしょう?普通の国ならこれくらいやって当然ですよ」という斬新な切り口の皮肉ではないか。やはり韓国映画は侮れない、ある意味見てよかったという作品だ。
今後ネットで配信されニコニコ動画で視聴できたら、さぞかし面白いだろうなと思う。きっと「あの」シーンでは「大日本帝国万歳!」などのコメントで溢れ返るだろう。しかしほとんどの視聴者はリアリティに欠ける展開に途中で視聴を止めてしまうと思う。映画館は一応途中退場できるがお金を払っているので最後まで見るのが一般的ではあるが、ネット配信ではそうはいかない。おそらく劇場公開後はかなり評価が下がるのではないか。
さてこのような急降下の原因となったものは何だろう。安直な推察だがおそらく低予算なのが原因ではないか。豪華な俳優陣に大掛かりな撮影セット、これだけでも予算枠ギリギリである。つまりそれ以外ではボロが出る。コロナで制作スケジュールが大きく狂ったこともあるだろうが、それ以前に作品として大きな欠陥があることに気がついてしまう。それは時間の概念が欠落していることだ。
例えば晴天の日に太陽光が燦々と降り注ぐ中での雨の撮影シーンなどはよほど日程に余裕がなかったことが伺える。せめて曇りの日に撮影すべきだが、予算がなく日程に余裕がないならそもそもなぜ雨のシーンに拘るのか。マスコミに囲まれるシーンだけ何故か大雨なのである。他のシーンは晴れていたりするが、ハワイ往復の間にそれほど天候がコロコロ変わるのもおかしい。
その感覚のズレは燃料が切れるまでの時間や空港にデモ隊が押し寄せるまでの手際の良さ、製薬会社に詰め寄るシーン、そして致命的なのは核となるウイルスの扱いにも及ぶ。まるで1ヶ月近いドキュメンタリーのような壮大なスケールがハワイ往復の間に凝縮されている。ウイルスの即効性が高いのか低いのか、毒性が強いならそもそも全滅するし全滅しないならせめて着陸だけはできるのだが。ワクチンもそんな短時間で実証できるのか怪しい。
まるで個々のクリエイターが自分の作りたい映像をコラージュのようにツギハギした結果、このような作品が生まれたように感じる。とりあえず辻褄は合わなくてもいいからいい絵が撮りたい。この手の映画で観客が望むものはアクションシーンだから、細かい部分は適当でいいと割り切ったのだろう。
同様に共犯者が逃げたシーンもただ逃走劇と事故の瞬間を撮りたかっただけで、「なぜ逃げたのか」は観客のセリフだろう。逃した犯人が「大丈夫ですか」は無い。犯人の部屋が割れているならウイルスの入手経路も会社とすぐに分かるので共謀する人物はシナリオ上は必要ない。このシーン自体は、とても迫力があり見どころなのだが。
一方、予算の関係上海外ロケは難しい。よってアメリカや日本に緊急着陸するシナリオは不可能である。そこで二次災害が広がれば更にパニックになりそうだが、舞台は韓国内に留めておきたいのだ。しかし危機感を煽るために燃料は枯渇させたい。そこで都合のいい悪役となるのが日本だが、それだと日本での印象が悪くなり興行収入に響く。よって韓国内でも反発を起こそうというアイデアが浮かぶ。
さてここで後半の重要人物に焦点を当ててみる。国土交通省のトップだ。刑事がなかなか悪の本丸に踏み込めない中、国家権力を行使して無事解決へと導く。とても心強い味方なのだが、政治家や官僚ならまずアメリカや日本に救助を要請することが必要なはずだ。それを物語の展開上メンツを潰すこととなってしまった。そこで名誉挽回とばかりに生まれたのがこの人物ではないか。
また、撮影には国を挙げての協力体制があり建前上政府を悪く扱うことはできないだろう。韓国政府も政治家や官僚が自分の進退を顧みず勇敢に立ち向かうという勇敢な姿勢はイメージアップにも繋がる。セウォル号や梨泰院で国民から毎回のように批判の的になっているため、そう考えていてもおかしくないはずだ。両者の思惑が一致すれば、少し予算を融通してもらえるという可能性はないだろうか。なるほど、これは限られた予算内で作品を作ろうという巧妙な財テクかもしれない。
ここまで思い返すと不可思議な点は多く残念ではあるが一概に駄作と切り捨てるには勿体ない。1つ1つのシーンは目を見張るものが多く感情が大きく揺れ動かされる。また映画作りに様々な知恵が絞られているのではという推察もできた。最後に悔しいことが1つ。それは韓国映画のほうが日本のその手の左派連中が作る学芸会レベルのゴミ映画よりは遥かにクオリティが高いことである。それは認めざるを得ない。今後、政権を批判する作品を制作する場合はぜひとも見習って欲しい。
パニック映画かと思ったら
少しネタバレがあります。
飛行機がウィルスで汚染され、どう切り抜けるか?という映画かと思って見ていたら、ストーリーの本質はそこでは無いところが、この映画の面白さですね。
色々考えさせられる映画です。
新感染半島が好きな方は楽しめそうな気がします。
エンタメとしては
アリかな。
韓流お得意の「希望」と「絶望」を交互に見せる展開には手に汗握ること数回…
ただ他の方のレビューにもありますが、ハワイより距離のあるサンフランシスコ目指したり、ハワイで断られて成田来たり、しかも自衛隊が威嚇射撃しちゃったりとちと無理グリ感が(-_-;)
まあ、「どうなるの?どうなるの?」って、どきどき感はありました。
これをカンヌに持って行ったんだ...
ノーランの「ダークナイト」を思い出すオチ。そうですよ。フェリーの市民と囚人たちの双方が、相手の船を爆破する事を拒否し、スイッチを置き、窓の外に投げ捨てた、あの物語りです。音楽も、まるっきりノーランの「インセプション」のハンス・ジマーだし。ノーラン・リスペクトだってのは分かりましたw
韓国映画らしい、もっと拙い話かと思ってましたが、予想よりは良かったです。拙い、は予想通りでしたが。
なんといっても。自衛隊のF-2Aが、本土上空で機銃を使う事はあり得ないし、そもそも我が国は、あんな強硬な手段は取らない。と言うか、あんなに毅然とした対応は出来ない。コロナん時でも、他所で寄港を拒否されたクルーズ船を停泊させて医療スタッフを送り込んだよね。
各国の政治家が、政治家らしく自国民の生命を守る行動を、各々の立場で取った、と言う点は良かったです。
初字幕映画でした
最初は慣れるまでに時間がかかりました。しかし、ストーリーに入っていくうちに気にしなくなりました。日本では観られない特有のリアルさ、グロさがが観られてよかったです。飛行機ものとなるとやはり怖さが感じられて楽しかったです。やっぱり王道の乗客の中に医者と元パイロットがいる展開でしたが、背景などもあって人間の汚さ、本質、優しさ、尊さが感じられました。
絶望感MAXのフライトパニック
完全密室逃げ場のない飛行機内で致死率100%のウイルステロが発生した。
空の上、地上で繰り広げられる未曾有の危機にずっと緊張しっぱなしだった。
どう考えても逃げ場のない状況でテロが起こり、致死率100%のウイルスに続々と感染する圧倒的恐怖、唯一の手がかりである犯人の死亡、パイロットや燃料の限界が近づき、受け入れ先も見つからないこれ以上ないほどの絶望感が2時間ずっと襲ってきて観終わった後は自分も飛行機に乗っていたかのような感覚に陥った。
人が極限状況に陥った時の醜さ、美しさがこれでもかという程丁寧に描かれていて、このリアルさが韓国映画の真骨頂だと思った。
制限のかかったシチュエーションで遊び心と圧倒的ストイックさを持ち、観客を引き込む勢いがあるのは現在、韓国映画だけだと本作で確信した。
成田、着陸拒否からの・・・。
スリリングで、エンターテイメントとして観るには申し分無い。
飛行機が回転する機内の様子は圧巻。
現実としてこういう事態が起きた場合、本当に着陸拒否したのち射撃するのだろうか?
飛行機乗るのが怖くなる。。。
機内でのバイオテロ、最悪ですね
ほぼ全編、緊張感を持って楽しめた。面白かった。
犯人、カプセルを脇の下に入れ込むの、家でやってくればいいのにね。それに、傷口に貼るの、個室でやればいいのに、洗面所でやってたらそりゃ誰かに観られるよ。
イノ刑事の奥さんが偶然同じ飛行機に乗ったのだけど、お母さんと言っていたので、てっきり母親かと思っていた。そしたら奥さんでした。
早い段階で乗客が死に始め、感染が拡大、どんどん死んでいく。あんな密閉されて空の上、逃げ場はなく、想像するだけで地獄です。人間性が出ます。
どこにも着陸できない。アメリカにも拒否され、成田に向かう。やはり拒否される。これは想像できますね。韓国映画、日本を良く描くはずはなく、やはり悪者にしている。しかし、実際でも難しいだろうけど。しかし、自国でも着陸に反対するデモが起きている。これには驚き。地上では着陸反対デモと、乗客の家族を含めた着陸させてと願う人達の小競り合い。人間って恐ろしい。確かに迎え入れれば陸上にウィルスが拡散することもありうるだろうが、お前たちはそのまま死ね、とは思えないよね。
乗客の1人、イノ刑事の奥さんが言った言葉、大切な人達を巻き込みたくない。着陸するのはやめよう。みんなが同意する。なかなかできる決断ではない。悲しい場面。
ジェヒョクが着陸しないことを報告したけれど、どうするつもりだったんだろう。海に落ちるつもりだったのか?海にしても、墜落したにしても、みんな死んでしまってもウィルスは拡散してしまうのでは?なんて観ながらアレコレ考えてしまったが、とにかく着陸できて何よりでした。
まず、元パイロットが乗っていたことが幸運だったし、医者が乗っていたことも幸運。
この映画の犯人の目的は?あまりそこは強調していなかったけれど、交通省の大臣が言っていた、普通の常識を持たない人間もいる、確かに常人では思いもしないことを考える人は居るだろうから、いつ、どこで何があるかわからないご時世。人として、どう対処出来るかが問題と感じた今作。大変面白い映画でした。
平日の昼間なので,10人足らずの少ない観客。最後尾のほぼ大将席での鑑賞で大満足の一本でした。
すごく面白い
圧巻だったのが機長が操縦かんを握ったまま死んで、飛行機が墜落していく場面でその間ずっと無重力みたいになって悲鳴しかなく太陽の光がいろいろな角度から窓から差し込んでぐるぐる回る。シートベルトがいかに大事かよくわかり、本当に恐ろしい。
犯人が自分の死を覚悟の上での凶行で、実際死んでいるし、そうなるともう誰にも止められない。ただそれが無差別テロで、きちんとターゲットを見定めて一撃をお見舞いしていないのが残念なところだ。
乗客たちが、飛行機を降りないと決意するのかどうかと思う。致死率が高いと言っても40%なら、10人中4人は生きるので、あのマスク警察みたいな男までが同意しているのが変だ。人々を分断していたあいつが感染して死ぬと思っていたのだが、そうでもない。
ホームラン30本だけど打率.250、100三振するバッターみたいな映画
韓国映画らしいパワーあふれる映画でしたが、ところどころ首を傾げたくなるような場面もありました。プロ野球のバッターに譬えるなら、年間30本以上のホームランを打つけれども、打率は.250程度、三振も100以上という感じでしょうか。まあチャンスに打ってくれる6番バッターなら、相手にとって非常に怖い存在だとは思います。
話を映画に戻しますが、本作は、致死率40%というウィルスを旅客機に持ち込んで、乗員乗客を巻き添えに自殺してやろうというとんでもない犯人が起こしたテロというかハイジャックから、如何に乗員乗客が生還するか、というストーリーを描いたアクション映画でした。
いい点を列挙すると、以下の通りでしょうか。
①とにかくテンポが良く、2時間20分ほどの長丁場ながら、全く飽きるということはありませんでした。
②ここぞという場面での描写が強烈で、序盤に出てきた犯人宅の死体発見現場などは、ホラー映画かと思いました。
③②同様ですが、中盤の刑事2人と共犯と思しき男のカーチェイスシーンは秀逸でした。
④話の盛り上げ方が上手。ウィルスが蔓延したソウル発ホノルル行きの韓国の旅客機KI501便が、アメリカ政府に着陸を拒否され、仕方なくUターンして成田に着陸をしようとすると日本政府にも着陸を拒否される。しかも航空自衛隊の戦闘機から威嚇射撃まで受け、それでも強行に着陸を試みようとするも、カミカゼばりに自衛隊の戦闘機が突っ込んできて、仕方なくKI501便は着陸を諦めてソウルに向かう。
今韓国では、伊藤博文を暗殺した安重根を主人公にした「英雄」という映画がヒットしているらしいですが、韓国の旅客機が自衛隊機に襲われるなんて、韓国人にとっても日本人にとっても、それぞれ別の意味だけど胸熱なシーンだったと思います。ただ「英雄」が韓国国内でしか上映されていない国内向け作品であるのに対して、本作は日本にも輸出している作品だけに、これだけでは終わらないのが凄いところ。なんとソウルに戻ってみると、韓国国内ですら、得体の知れない致死率40%のウィルスが蔓延した旅客機の着陸を拒否する反対運動が勃発。アメリカ政府や宿敵日本のみならず、同胞からも見捨てられる運命に、乗客たちは絶望する。この展開には、鬼のような自衛隊機の動きを見せられた日本男児である私も、やられたと思わざるを得ませんでした。
⑤概ね女尊男卑が貫かれているところ。主役の2人は男性なので、必ずしも男性全員が悪く描かれている訳ではありませんが、マスク警察ならぬウィルス警察ばりに、感染した乗客に罵声を浴びせる役回りの乗客はオッサンだった一方、本件の解決を担当した国土交通大臣は女性でしあ。この辺りはいい点というか、無難だったなと感じたところ。仮にウィルス警察がヒステリーの女性だったとすると、ちょっとしっくりこなかったように思います。
以上が良かった点、面白かった点。
一方で首を傾げたくなったのは以下の通り。
①何事もやり過ぎが目に付く。例えばパイロットが気を失ったせいで操縦不能になり、飛行機がダッチロールするシーン。シートベルトをしていないキャビンアテンダントが天井や床に叩きつけられるのに、次のシーンでは普通に業務に戻っている。あんなに体がぶつかったら、死なないまでもすぐには動けないでしょ。
②いい点でも紹介したところですが、成田に着陸を試みたKI501便に対して、自衛隊機が威嚇射撃するところは、流石にやり過ぎ(その後の展開で、映画としては成り立ってはいるけど)。成田付近の上空で威嚇射撃をし、万一旅客機が墜落して乗員乗客が死亡、加えて下に住んでる住民が亡くなったりしたら、国際問題にもなるし国内でも大問題になり、政権が吹っ飛ぶでしょう。僅か数時間に、そんな即断即決をする首相が、日本にいる訳ないでしょう。「検討使」と言われる岸田首相なら、検討している間にKI501便は着陸してそうです。いずれにしても、いくら恐怖のウィルスが飛行機に乗ってやって来ると言っても、旅客機に向かって威嚇射撃はしないでしょうよ。
③製薬会社が隠し持っていた特効薬の効果を実証するため、ソン・ガンホ演ずるク・イノ刑事が自らウィルスに感染して特効薬の効果を証明しようとします。結果はもちろん効果があって、最終的にKI501便はソウルに着陸する訳ですが、たった一例の治験で薬の効果効能を判断するなんて、いくらなんでもあり得ない話でしょう。というか、無事着陸して事件が一件落着した後でも、ク・イノ刑事は車椅子生活を強いられているようで、実際薬の効果なかったんじゃないかという気もしてます。その辺ク・イノ刑事を「英雄」にしようとする意図が強過ぎたのか、ちょっと辻褄が合ってないように感じました。
④本筋とは関係ないですが、物語の最後、エンドロールに入る直前から、ドビュッシーの「月の光」が流したのは、ちょっといただけなったかなと思いました。「月の光」自体は名曲中の名曲であり、私自身も好きな曲です。上記の通り、激動のストーリーを着陸させるには、ピッタリの選曲だったと言えなくもないのですが、ここまで韓国映画らしさを見せて来たのだから、最後もオリジナルの曲で行って欲しかったなと感じたところでした。
以上、いい点もあり、首を傾げたところもあった映画でしたが、それなりに楽しかったことは事実です。
ソンガンホははずさない
ソンガンホの刑事役は特に好きです。機内では観たくないですね。色々な事が重なりあって面白くなっていますが、犯人がそんなに重要視されない流れがとても良いです。冒頭のセリフで『肉もらってきて』みたいな言い回しが、韓国という世界観に引き込んでいき、最後は優しさが出てきてとても好きな感じでした。
反日映画?そんな訳はないでしょう。
議論が分かれる日本描写について詳しくレビューしたいと思います。
この映画の大きなテーマとして自己犠牲が取り上げられていると思うんですが、正体不明の高致死性ウイルスによるバイオテロが発生した旅客機ですでに数十人の死者が出ている。
ウイルスのサンプルや抗ウイルス薬やワクチンは流出元の外資系製薬会社から確保済みだが、犯人は改良を加えたため変異している可能性が高く、抗ウイルス薬は利くかどうかは不明瞭。挙げ句の果てに行き先のアメリカが着陸を拒否し、乗客の母国である韓国ですら受け入れに及び腰で世論が二分されている状況…そんな状況で日本が受け入れる訳が無いだろうってのは当たり前なんです。
仁川からのハワイ便だったから日本と航空自衛隊のF-2戦闘機がスクランブルに出てきただけであって、仮にKI501便がバリ島かシンガポール行きなら台湾がF-CK-1で同じことをしたでしょうし、欧州便なら中国がJ-10で同じことをしたでしょう。この映画において日本の役回りとは国籍というしがらみのない相手ならどういう反応をするのかという乗員乗客や韓国国民に対する状況の提示にすぎないと思います。逆の立場なら終盤KI501便を護衛するために飛来したF-15Kで同じことをするでしょ?という投げかけなんです。
だからきちんと日本に対する劇中でのフォローはされていたし、そこまで憎悪を煽るような描写には見えなかった。あとはあの場面で日本が受け入れてしまうとそもそも話が成立しなくなってしまうことも付け加える必要があるでしょう。
そういう中において航空自衛隊のF-2パイロットがみせた成田上空での威嚇射撃や体当たりをしてでも着陸を止めさせようとしたというのは、別に反日描写でもなんでもなく寧ろ(作劇上)美味しい役回りだったのかなとは思うんですよね。
スクランブルに上がったF-2のパイロットの吐息や台詞を観ていると万一になれば身を挺しててでも止める覚悟はしているが、なんとか諦めてくれとというような迷いや焦りのようなものも感じられたのがとても好印象でした。恐らく、あの航空自衛隊のパイロットは韓国国外で唯一主人公や乗員乗客と立場を同じくした登場人物だったと思います。
ただ、ちょっと気になったのは成田の管制官や空自パイロットがカタコトだったこと、某総理っぽい外務大臣のセリフの言い回しくらいですかね。あとは燃料がどう考えても足りないだろうとかちょこちょこツッコミどころはありますけども作劇上の都合で妥協できる範囲でしょう。
ミリオタ的観点からだと終盤出てきたF-15Kと外見が殆ど同じだからという理由でモデルを使い回せるF-15Jを出すんじゃなくてちゃんと首都防空を担う百里基地配備のF-2を出してくれたのも凄い良かった。
嘘をつくところとこだわるところのバランスが取れた良い映画だったと思います。
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