「タイトルそのものが皮肉」非常宣言 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルそのものが皮肉
2週間映画館から遠ざかっていて、今年最初に選んだ映画がコレ。悲劇が予測され、パニックどころか涙なしでは見れない状況になってしまいました。83年の大韓航空撃墜事件をも思い出してしまい、終盤には『ユナイテッド93』(2006)を鑑賞したときの震えまでをも想起させられました。
大学時代の授業で野外活動(体育の振り替え、0.5単位)に参加した時の事。うっかり足に熱湯をこぼしてしまい、火傷の手当をしてくれたのがT先生。火傷はすっかり治ったけど、1か月後に大韓航空機撃墜事件が起こり、その日本人死亡者の中にT先生の名前を見つけ、同級生たちとともに悲しみに打ちひしがれてしまいました。美人で優しかった憧れのT先生。一生忘れることのできない事件となりました・・・
さて、本作での目玉はウイルスを持ち込ませないために着陸拒否!アメリカも日本もかなり悪役に描かれてるなぁと思いつつ、なんと韓国民も着陸反対だとか!国際政治問題にも切り込む中、殺人ウイルスへの恐怖からくる人間らしさの欠如までも描いた盛りだくさんの内容に驚きは隠せません。ハリウッドのパニック作品の模倣だと高をくくっていたのに、韓国映画らしさも魅せてくれます。特に共犯者を追うチェイスシーンでの事故だとか、激しさは容赦ありません!
面白いことに、この作品の世界観はコロナ騒動がなかったかのように描かれていたこと。誰もマスクをしていません(終盤はあり)し、悪役の犯人以外にも製薬会社の隠蔽体質も描かれていたこと。特に抗ウイルス薬やワクチンも作られていたことにより、人工ウイルスを生物兵器として利用しようとしていた悪意も汲み取れるのです。
そんな社会派航空パニック映画。着陸させるのもハリウッド的な素人操縦士じゃなく、元エリートパイロットのイ・ビョンホンが操縦するために安心感も見せながら、悲劇へと突入しようとする厭世観。もう、号泣!このまま終わっても問題ないくらい、泣かせるパニック・テクニック。生き残った乗客たちとの一体感も味わえました。また、生き残りたいという気持ちに対して、他人に感染させたくないという人間らしい感情にも心打たれました。そして、やり過ぎ感のあるソン・ガンホのその後も・・・
結局、「非常宣言」というルールがあるにもかかわらず、殺人ウイルスの存在によって役にたたなかったという皮肉が興味深いところでした。そして、イ・ビョンホンとチーフパーサー役のキム・ソジンが結ばれるという安易な結末じゃなかったところも良かったかな。
たしかに早いです。
お正月映画でしたものね。
ちょっと張り込んで、1200円払って観てしまいました。
kossyさんからコメント頂けたので、甲斐がありました。
最近、配信も商売が上手くなって、「母性」「ブラック・アダム」
「チケット・トゥ・パラダイス」はセル版を2500円以上で
売っています。
ちょっと手が出せません。
映画館へ行く努力もせずに、“すみません“
って気持ちですよ。
韓国映画の終わりはいつも語らずのエンドが多い気がします。チーフパーサーがいい感じになっても、結ばれず(ハリウッドなら数ヶ月は付き合ったりしますね)、海を見つめるだけで終わる。余韻・・・
おはようございます。そうなんですね、あの大韓機に親しい方が搭乗されていたとは、受けられた衝撃と悲しみは想像に難くありません。
映画的演出とはいえ自衛隊機の威嚇射撃はやりすぎだけど、あれがロシアだったら間違いなくやってるでしょうね。
本作は飛行機嫌いにはトラウマ級にうまい映画でした。興奮して書くこともまとまらずにレビューを書きなぐってしまいました。