SHE SAID シー・セッド その名を暴けのレビュー・感想・評価
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どこか忖度があったのかなと偏見すらしてしまった。
冷静な描き方に逆に熱量を感じる
記憶に新しい大スキャンダル、後に多くの女性達が実名で過去の被害を告白した、大きなムーブメントが起こったキッカケとなった事件。本作にはアシュレイ・ジャド本人が本人役で出演しており、綺麗で強さも兼ね備えていて、好きな女優の一人だったが、いつの間にか見なくなったなあ、と以前思っていたが、こういう事件が彼女の身に起こっていたのかと思うと、気の毒でならない。
映画としての本作は、声をあげられない人達の苦しみを伝え、裁かれるべき悪は世間に裁かれなければならないという正義感から、ひたすら真実を追う、ジャーナリスト達の姿を冷静に描いている。よりドラマチックに盛り上げたりせず、割と冷静に映像は語っているように感じ、だからこそ迷い苦しむ人達の感情、それを理解しつつ、真実を追い求めて戦う二人の記者と新聞社の人達の熱量を強く感じたように思う。ドキュメンタリーではないが、それに近いテイストのとても優れた作品だった。
23-007
8×12くらい
性被害にあった女性が立ち向かう作品、「スキャンダル」「プロミシング・ヤングウーマン」を鑑賞してきたが、どれもどうも好きになれなかった。本作は、公開時点ではチェックインしておらず、評価が高かったがために急遽鑑賞することになったのだが、あまりハマらなかった過去2作の影響でそこまで期待していなかった。しかし、これが凄かった。素晴らしい作品だった。
実際に起こった事件であることは知っていたのだが、この事件に関しては完全に無知であった。映画業界の重鎮が、数多くの女優やスタッフに対し性暴力を加え、更に被害者には多額の示談金を支払う対価として、性被害にあった事を口にしないよう、書類にサインをさせる。映画を見ていく中で、このような衝撃の事実を知ることとなり、体の底から憎しみと悲しみが込み上げ、彼女らへの思いが募る。
日本でも近年、問題となっている映画業界の性被害。名前は伏せるが、映画監督や俳優による女優やスタッフに対する性暴力が明らかとなりつつあり、また、女性監督によるスタッフへの暴力・暴言も記憶に新しい。ようやく、このようにして告発が行われるようになったのだが、作中でもあるように、明るみとなっているのはほんの一部でしかない。大半は隠されたままなのである。この映画は、そんな被害を受けた全ての人に希望の光を与える、すごく意義のある素晴らしい作品だと思う。
シンプルな作りなのだが、それがいい。
彼女らが誠心誠意、真剣に事件や被害者に対して向き合っているのが伝わり、感情が揺さぶられる。そのシンプルさが故に、絵は弱く、映画と言うよりもドラマに近しいように感じるのは難点。しかしながら、実際に起こった事件をドキュメンタリー的に追いかけるこの真面目さが、作品に緊張感と迫力を出していた。
まだ8本しか新作を見ていないのに言うのはなんだが、今年一見応えのある作品でした。恐らく、この衝撃は年末になっても忘れないかと。多くの人に見て頂きたい、力作。女性、男性関係なしに、ぜひ。
声にならない声を伝えるのがジャーナリズムの役目。
かつてハリウッドでその強大な権力を誇った大プロデューサーのハーベイ・ワインシュタイン、彼はその権力を利用し傍若無人に多くの女性に性的暴行を繰り返した。
「権力は腐敗する」をまさに絵に描いたような人物。その犯した罪が二人の女性記者によって白日のものとされる。
全編にわたって息苦しさを覚えるほどの緊張感が漂う作品。まるで被害を訴えることができずに苦しんできた被害者の気持ちが作品全体ににじみ出ているかのような。
主人公の記者たちが取材をしても被害者たちの口は重く、なかなか取材は進展しない。しかし、やがて彼女らの熱意が伝わり、実名での告白も得られるようになる。
遂には記事は公のものとなり、これを機にワインシュタインは告発され、またこの記事がきっかけとなりミートゥー運動が世界に波及することとなる。
二人の記者と勇気を振り絞り告発した被害者たちの開けた小さな穴からこぼれる水流がやがて巨大なうねりとなって世界を変えてゆく様を見て溜飲が下がるとともに、強い意志があれば未来を切り開くことができるのだと希望も与えてくれる。
ハーベイはこの世にいったい何人いるのかと劇中では語られる。このように腐敗した権力による被害は氷山の一角に過ぎない。
日本にも多くのハーベイが存在する。腐敗した権力が特に顕著なのは政治の世界だ。
昨年奇しくも一発の凶弾によって政界とカルト教団との癒着が白日のものとされた。本来それはジャーナリズムの仕事だったが、それがほとんど機能しないこの国ではかような悲劇でしか成し遂げられなかったのかと思うと残念でならない。
ジャーナリストが自分たちの役目を怠らなければあのような悲劇は避けられたのではないだろうか。
報道の自由度ランキングが世界で71位の日本。その順位の低さに驚かされるが、さらに深刻なのはその理由が報道人による自粛であるというのがなんとも嘆かわしい。ロシアや中国のように権力に抗う報道をしたからといって命の危険までは及ばないこの日本で。
ちなみに本作の記事で全世界にミートゥー運動が広がったが、日本で起きた女性ジャーナリストレイプ事件の犯人とされる人物はいまだ逮捕には至っていない。
記事の掲載は、女性記者の家庭を守りながらのがんばりと被害女性の勇気があってからこそなんですね…
「スキャンダル」は知らない話だったけど、この映画が描くのは、世界中に広がりを見せた運動の話だったので、ミーハー的興味があった。でも、こちらはもっと悪質で、醜い内容だった。彼のプロデュース作品には、私の好きな「イングリッシュ・ペイシェント」や「グッド・ウィル・ハンティング」などたくさんあり、本当に残念でならない。何よりも、金で沈黙させるというやり方が許せない。しかも、職も奪う。数も尋常ではない。そして、それに加担しているのが、男性だけでなく、女性もいることに驚く。被害女性たちの心と体の痛みを理解しようともせず、権力を傘に着て欲望の赴くままにその悪行を続けた。誰か、意見したり、止めようとすることはできなかったのだろうか。誰も暴走を止められなかったことは、とても情けない。現在は収監されているそうだが、これからミラマックスの作品を観る時、複雑な気持ちで観ることしかできないと思う。アシスタントや女優たちの苦しみの上で完成された作品なのだから…
Authority
#Metooはなんとなく聞いたことはありましたが、その事柄や詳細までは知らなかったので、勉強がてらに鑑賞。
お話はシンプルで、女性記者たちが告発するまでの葛藤をひたすらに描く作品でした。平坦といえば平坦で、一歩間違えれば垂れてしまいそうな作品でしたが、ギリギリのラインで面白さを保っていたのが良かったです。ウインスタインの相当なクズっぷりが現実のものというのも中々に恐ろしいものです。
女性が強い立場になったと言われる事も多いですが、男性優位な社会はまだまだ強いと思いますし、平等っていうのはかなり難しいと思います。その平等にどれだけ近づいて互いを思いやれる世界になることを願っています。映画としての盛り上がりにはかけたのでこのくらいの評価で。
鑑賞日 1/15
鑑賞時間 13:15〜15:35
座席 B-5
終わらない戦い
R・B・Gの言葉を思い出す。
取材をする、
証言をする、
記事を書く、
という事は闘うという事。
戦うという事は、
傷つくし、
ダメージも大きい。
これは戦闘、戦争映画だ。
西部劇、戦争映画のような闘いの映画。
相違点は、
仮想敵ではなく、
現代でも現実でも、
世界中に実際に蔓延る敵。
そして、
(ママとママ、声高に母、女性という事も言わない)
2人のジャーナリストが最強タッグを組んだ。
R・B・ギンズバーグの言葉を
思い出す。
女性を優遇してくれとは言いません、
男性の皆さん、
私たちを踏みつけるその足をどけて。
SHESAIDというよりも、
THEYARESTILLFIGHTING。
語り口、戦うプロセスも、
慎重に全方位への目配りも忘れない。
スティルファイティングの証拠だ。
闘う魂に敬意しかない。
夫と子供
実名映画
『トランプ』で失地し、『エイルズ』で巻き返し、『ワインスタイン』で花開く
〔スキャンダル (2019年)〕では
「FOXニュース」の経営トップ『ロジャー・エイルズ』によるセクハラが描かれ、
やはりこれも世界的な「#MeToo運動」の先駆けとなる。
この提訴が起こされたのは2016年のこと。
そして本作では「ミラマックス」で権勢を振るった
『ハーヴェイ・ワインスタイン』について語られる。
先の作品は、『エイルズ』が亡くなって間もなくの映画化に対し、
『ワインスタイン』は存命且つ七十歳の若さ。
アメリカの映画界が次第に先鋭化している証左とも取れ
また共に「アンナプルナ・ピクチャーズ」が制作に名を連ねているのは面白いし
今回は更に『ブラッド・ピット』が製作総指揮となっているのも興味深い。
こうした権力をかさに着た者の暗部を暴く作品は、
過去からも力作・名作が多いわけだが、
本編とて例外には非ず。
ただ、主に女性の手による調査報道の経緯なのは
珍しいかもしれぬ。
とは言え、登場人物も多く、
その独特の語り口もあり、
流れは理解しているから良いものの、
人物の相関がすっと頭に入って来ないのは何とも困りもの。
とりわけ冒頭のシークエンスは、
何の為の挿入か最初はさっぱり理解できずにおり。
しかし次第に、被害者の一人が
映画界と加害者に携わることとなった重要なパーツなのが判明するも、
切れ切れに提示されるピースを頭の中で上手く整理することが必要で、
西洋人の人相パターンが多くインプットされていない日本人には
名前の記憶も含めなかなかの苦行。
狂言廻しは二人の女性記者であり、
その家庭の様子も描写されるのは、
女性が社会で活躍することのハードルの高さを示すためとも理解。
が、本作でとりわけ時間が多く割かれるのは、
被害を受けた女性や、『ワインスタイン』の周囲の人々の
生活や感情に分け入ったエピソード。
前者であれば、自分が何故に被害をとの思いに加え、
示談に応じず、強く声を上げていれば、
それ以降の被害は食い止められたのではとの苦悩。
後者であれば、そうした行為の一端を知りながら
やはり止められず、実際の被害の多さを知らされての煩悶。
それらが、彼女達が声を上げることとなった背景を理解する一助にはなるものの、
都度都度の流れが堰き止められる一因ともなっており、
善し悪しの手法だな、と
思いはする。
とは言え、他社との競合を意識しつつ、
企業側からの恫喝を受けながらも
記事化に向け邁進する姿が胸に刺さる。
権力による不法行為の大きさも桁違いなら、
それを糾弾することで起こった世界的なムーブメントも
やはり発信地がアメリカならではのインパクト。
登場人物多すぎ
ドキュメンタリータッチ
社会の闇は万国共通
終始空気感が重い
野心に溢れた意欲作
当時、映画産業で絶大な力を持っていたワインスタインのセクハラ問題を取り上げ、後に#metoo運動につながる記事を取り上げたニューヨークタイムズ紙の二人の女性記者の物語。
映画の最初の入りはお世辞にも良いとはいえないけど、誰も話をしたがらない中で徐々に確信に迫っていくシーンは緊張感がある。
こっちまでもらい泣きしちゃったり。
もっと多くの人に見てほしい作品。
途中でアベンジャーズを観ているであろうシーンが流れた時には(アベンジャーズのテーマが流れている)ニヤリとしてしまいましたが、冷静に考えるとワインスタインのセクハラに対して声をあげたグウィネス・パルトローに対するオマージュだったんですね。
(グウィネスの役だった「ポッツ君」と言うセリフも入っている)
グウィネスと交際していてワインスタインに詰め寄ったと言う話もあるブラピが製作総指揮に加わっているのも面白いですね。
キャリー・マリガンの演技も相変わらずうまいです。ホントにいい女優さんですね。
でも負けず劣らずゾーイ・カザンがいい。
ワインスタイン、いい映画作ってたんですけどねぇ…
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