SHE SAID シー・セッド その名を暴けのレビュー・感想・評価
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挑戦する、向き合う勇気を
被害者なら触れてほしくない過去。しかし、更なる被害者を知ると悲しくなる。勇気を出すことで何かが変わるかもしれない。しかし、メディアの効果は十分でもなく、権力者だから揉み消しされるかもしれない。その時また自分が被害にあうかもしれない。記者やニューヨークタイムズ社は本当に暴くべきなのかを悩み、被害者は真実を公開すべきなのかに悩んでいました120分でした。しかし、お互いが勇気を持って戦うことにより、世界が大きく変化しました。前例がないけど挑戦する勇気は社会のルールを変えるかもしれません。
惜しい…。もう一つ、一歩の踏み込みがほしかった…。
今年19本目(合計672本目/今月(2023年1月度)19本目)。
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・ いわゆる「フェミニスト思想」に関しては、一般的な理解を前提とするものとします。
・ ここは映画の評価をするサイトであり、「映画の趣旨上」個人の思想がどうしてもでますが、個人攻撃はやめましょう(単なる批判と個人攻撃は違います)
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…と「バリア」をはったうえで。
さて、こちらの映画です。すでに多くの方が書かれていますし、ストーリー自体は事実なので(ある程度は変えてあるとしても)きわめて淡々とストーリーが進みます。まぁ当時のアメリカのすごいこと…。
ただ、多くの方が声をあげたことでひとつ、男女同権思想が前を向いて歩いていけば、それはそれでよいことだろう、と考えています。
特に減点なし…にしようかなと思ったのですが、以下気になる点がありますので、紹介しつつ採点しましょう。
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(減点0.3/いわゆる「マンスプレイニング」について触れていない)
・ マンスプレイニングとは、man(男性)とexplain(説明する)の造語で、「男性が女性に対し「「男女の性差や社会格差、あるいは、女性は●●を知らないだろう」ということを前提に」あれこれ説明をする行為」(性差を利用した自信過剰のあらわれ)をいいます。一種の(間接的)男女差別にあたります。
※ もちろん、男女は(生物学的には、ほぼ半々で)生まれてくることや、また、社会であれ学校生活であれ、男性が女性に、あるいは女性が男性に対して説明や手ほどきをすることは「普通に」ありますので、ここのポイントは、「どちらかに性差別がある現状で、その性差別があることを前提として」「自慢げに話す」という2つが成り立たないと成立はしません。
映画の中でも、決して積極的悪害があるのではないと思うし、映画の趣旨として、男女同権思想に焦点を当てたかったのだろうと思いますが、映画をよくよく見ると、この「マンスプレイニング」を行っている人物は明確に数名います(すべて男性)。男女同権思想(フェミニズム思想)を語るにあたって必ず問題になるのがこの論点で、「女性は(歴史的、あるいは、経験的に)無知だから、(歴史的、あるいは経験的、または、自分がそうだから)男性である私が教えなきゃいけない」という考え方を持っている方がいて、その方が行うそうした女性への接し方は、ひどいものはいわゆるセクハラの類になりますが(これは状況いかんでは警察がきます)、軽いものだと「マンスプレイニングの扱い」で、さすがに警察は来てはくれません。ただ、問題であることは常に残ります。
男性にも女性にも素晴らしい知識を持っている人もいるし、また、逆に、知識が足りない方、求めている方もいます。また、「知識の伝授」は、各個人が教養を高めることに役にたちますし、それがまた、表現の自由や言論の自由など、憲法が保障するこれらが発揮できるもとになります。
しかしその方法が、もし、仮に「女性のほうが教養が低い」という何らかのデータがあると「しても」、だからといって、それをもとに「マンスプレイニング」がもとになった知識や技能などというのは、怖くて使えません。男性はよかれと思って行ったのでしょうが、そうでははないからです。
このような行為は、「間接的に」男女それぞれの「思想良心の自由、表現の自由」を脅かす行為です。
映画内でもこれを想定できるシーンがいくつかあり(なお、この当時には、「マンスプレイニング」という語はすでに辞書に載っているほど知られていた)、この点に対する配慮は欲しかったです。
余韻を楽しめる映画
どんよりとした曇り空や、話が進むと思いきや進まないさまをトンネルで表現するなど、展開が遅いのも演出しているので、観てるのも気疲れしてしまう。
自分は人の顔を覚えるのが苦手な為、登場人物が多く女性記者2人位しか分からずに、やや混乱しながら観てました。
BGMが良く、特にED曲は気に入りました。
最後のエンドロール時のもどんよりとした感じを最後まで感じさせて良かった。
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今年4本目は安城コロナで鑑賞
悪事の大海原
映画製作・配給会社ミラマックスを設立した映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのセクハラを曝いたNYタイムズ記者の話。
自分は映画の裏方に特に興味があるわけではないので、ハーヴェイ・ワインスタインという名前に憶えがある訳ではないけれど、ミラマックスのプロデューサーが#Me Too騒ぎとなり捕まったのは記憶にある状態で観賞。
ハーヴェイのセクハラどころか暴行・レイプと隠蔽するシステムを曝いて行く様をみせていく展開だけど、事件を題材にした作品というよりは2人の女性記者をみせるつくり。
それにしてもこの男のそれはもうそういう性癖なんですかね?そこまでして女性と関係を持ちたいという気持ちが理解出来ません。しかも82人て。
映画としては愉しむという質のものではないし、中盤辺りからは予想が出来ること、判っていることをみせていく感じになってしまうのでちょい冗長気味ではあったけれどなかなか面白かった。
もし自分が被害者でも公にされたくない事実。
ニューヨークタイムズの2人の女性記者が大物映画プロデューサーのセクハラ疑惑を取材する実話ベースのお話。
大物プロデューサーって事は、権力も才能もあり金もたっぷり持っている。俺のやってる事が嫌なら辞めろっ!て、思ってたんだろうな。
2人は別々にいろんなところへ行って被害者達と話す。あぁ〜そうかぁ、示談した人達は法的に相手を許しているので、事件を公表できないんだね。とにかく取材のトークシーンばかりでほぼ2時間。苦手な大量登場人物作品だけど、みんな話している事は分かりやすいし、話したくない気持ちもよく分かる。兎に角、この手の事件は証拠が残らないでしょ。かなり前の話だからDNA鑑定は無理だし、路上で突然襲われてレイプされてる訳じゃないし、同僚達も同様の被害にあっていて沈黙しているので自分が声を上げる事で会社をつぶして、皆んなを失業させる訳にはいかないよね。何より自分がレイプされた事を世間に知られたくないよ!
トランプさんや俳優さんなど、実名が出てきて、関係あるのかと驚きました。いろんな障害を乗り越えるニューヨークタイムズのスタッフ、カッコよかったです。ずっとモヤモヤしてたけど最後、出版決まって良かったね、ウルッ。
そしてエンドロールの制作総指揮にブラピの名前が!
見応えありました。
社会全体の問題であり個人の癖の問題でもあり
ここから大きなうねりとなったMeToo
実話ベースだから結末は概ね理解しながらだけれども、ずっと緊張感が続き、道路を歩いていても、飲食店でのシーンでも、後ろの人が動く度に何か良くないことが起きるのでは?と、変な汗をかきながら観てしまった。
作品中のNYタイムズの人たちの会話にも出てくるが「何を書きたいのか」そこが大きなテーマだろう。
あまり詳細に描かれてはいないが、二人の女性記者があれ程の覚悟を持って取組むには最初に非常に大きな動機があるのだと思う。それは義憤なのか、世の中全体の生きにくさなのか、そこをもう少し丁寧に描いてくれたら、更に良かった。
もう一点、私には被害にあった女性たちの顔と名前の整理が追いつかず、ちょっと残念だったなぁ。
いずれにしても、やったら罰せられるから自重するのではなく、人としてあってはならないことだとの認識を全体で共有できる世界になれねばと切に思ったのでありました。
ブラッド・ピットさん、最近はこのような社会的な構造を問題にする作品に関わっていますね、それもなんか素敵。
働く女性の現実
原題は「SHE SAID」で、「彼女は語った」という意味です。
邦題は「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」です。
実話なので、その名は、ハリウッドの大物映画プロデューサーである
ハーベイ・ワインスタインという事は分かっていますし、暴かれることも
分かっているので、「その名を暴け」という感じの内容ではないです。
ハリウッドの大物映画プロデューサーであるハーベイ・ワインスタインを
告発するために「彼女は語った」を中心に描かれています。
原題の方が、映画の内容を表しています。
セクハラを行うという場面はあえて、避けています。
映倫区分は、「G」でどなたでも鑑賞することができます。
特に、大学生等のこれから社会で働き、結婚し、子供を産むことになる女性に
向けた映画です。
友人の女性同士で、鑑賞し、映画について話あってみることをお勧めします。
事前にパンフレットを購入し、読んで、ストーリーと人間関係を把握しておく必要があります。
実話をストレートに描いているので、感動的なストーリーというより、ドキュメンタリー性が強く、会話が多く、字幕を読むのも大変です。
登場人物が多く、登場人物の家族も登場するし、登場人物の回想シーンでは、別の役者を使用しているので、人間関係がつかみにくいです。
ストーリーは、1992年から2017年までとうい長い期間を描いていて、展開が早く進むし、時間は前後するし、理解することは困難です。
この映画では、性的な被害にあった女性をサバイバーと呼んでいます。
映画の冒頭から、映画を理解するのは困難です。
セクハラを受けることになる前のローラ・マッデンが念願の映画の仕事に関わり、楽しそうに働いているシーンから始まります。
ニューヨーク・タイムズを始め、多くの米国メディアがドナルド・トランプ共和党米国大統領候補へセクハラに関する非難を行いました。
2016年11月8日、ドナルド・トランプ共和党米国大統領候補は、米国大統領選挙で女性初のヒラリー・クリントン民主党米国大統領候補に勝利します。
ニューヨーク・タイムズを始め、多くの米国メディアがドナルド・トランプ共和党米国大統領候補へセクハラに関する非難を行ったことは、映画「スキャンダル」でも描かれています。
事前に、同じ題材を扱う映画「スキャンダル」を鑑賞しておいた方が背景を理解できます。
ミラマックス社とザ・ワインスタイン社について知らないと、この映画を理解できません。
1979年12月19日、ミラマックス社は、ハーヴェイ・ワインスタインとボブ・ワインスタインの
ワインスタイン兄弟によって設立されました。
1993年6月30日、ミラマックス社は、ウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されました。
2005年9月30日、ハーヴェイ・ワインスタインとボブ・ワインスタインは、ミラマックス社を退社し、
ザ・ワインスタイン社を設立しました。
2010年12月3日、ミラマックス社は、フィルムヤード・ホールディングスに売却されました。
2017年10月5日、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラが発覚しました。
2017年10月9日、ザ・ワインスタイン社は、ハーヴェイ・ワインスタインを解雇しました。
2018年3月19日、ザ・ワインスタイン社は、連邦破産法適用の申請手続きに入りました。
ミラマックス社は、以下の映画をプロデュースしました。
・グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
・シカゴ
・コールド マウンテン
・キル・ビル
・アビエイター
アカデミー賞にノミネートされた映画、受賞した映画が多数あります。
ザ・ワインスタイン社は、以下の映画をプロデュースしました。
・シッコ
・愛を読むひと
・キャピタリズム~マネーは踊る~
・イングロリアス・バスターズ
・ジャンゴ 繋がれざる者
アカデミー賞にノミネートされた映画が多数あります。
ハーヴェイ・ワインスタインは、ロード・オブ・ザ・リングの三部作の製作総指揮も務めています。
以上で、いかにハーヴェイ・ワインスタインが映画界で大物プロデューサーであるか理解できるでしょう。
登場人物が多いので、セクハラを受けた人、セクハラをを告発する人、セクハラをした人、セクハラをした人を守る人に大きく分けて、大まかに把握すると良いでしょう。
特定の登場人物に感情移入がしにくいという感じです。
この映画で伝えたいことは「問題の本質は性加害者が守られる法のシステムにある」という一言に尽きます。
男女格差指数ランキング(2022年版)では、日本は、146ヶ国中、116位です。
アメリカは27位、韓国は99位、中国は102位です。
日本はこの映画の舞台であるアメリカはもちろん、韓国や中国より劣っているという事です。
日本にいると気か付かないと思いますが、この映画で描かれた内容より、日本で働く女性の
現実は醜いという事です。
2020年9月23日、アメリカの雑誌「TIME」は、「世界で最も影響力のある100人」の一人として、
伊藤詩織さんを選びました。
伊藤詩織さんは、勇敢にセクハラを告発した女性です。
日本でセクハラは珍しくないですが、勇敢にセクハラを告発した女性は世界でも貴重であり、影響力があり、だからこの映画が製作され、世界で公開されているという事です。
日本の男女格差指数ランキング(2022年版)では、日本は116位だから、伊藤詩織さんことが映画が製作され、世界に公開されることはないということです。
安倍晋三元首相が殺害され、最高裁判所は伊藤詩織さんと山口敬之さんの上告を退ける決定し、
山口敬之さんに約332万円の賠償を命じました。
伊藤詩織さんについて、忘れてしまったという人は、調べてください。
井の中の女性である神田うの(47歳)さんは、「羽田国際空港や成田国際空港という名前から安倍晋三国際空港にして欲しいな」と発言しています。
日本の女性は、男性に媚びるしか生きる道はないというのが現状です。
日本の男性なら大丈夫という事はないです。
2020年9月13日、菅義偉官房長官は、自民党総裁選に立候補し、フジテレビの番組で、
「私どもは選挙で選ばれているから、何をやるという方向を決定したのに、反対するのであれば、異動してもらう」と語り、自民党総裁になり、日本の首相になりました。
菅義偉官房長官は、官僚に忖度させて、政治家の駒として使い、官僚が何も意見が言えない状態にして、官僚に、国有地の安価な払下げ、公文書の改ざん、隠蔽、破棄などをさせた挙句、自殺する状態に追い込んでいます。
民間企業では、馬鹿な上司の意向を忖度できない部下は優秀だとみなされず、馬鹿な上司を忖度せざる得ず、パワハラを認め、辞職するか、過労死するしかないという事です。
自分は、課長が新人女性と不倫しているのを自慢しているのを聞いたり、副部長が女性社員と不倫し、妻にバレて、副部長が退職することになったり、部長が新人女性社員に不倫を迫り、新人女性社員が退職し、部長はお咎めなしということを経験しました。
自分は、パワハラに対するアンケートに、パワハラについて記入したところ、退職を強要され、辞職をさせられました。
日本では、パワハラもセクハラは珍しいものでばないです。
どのシーンも「白い曇り空」だった気がする
カフェやレストラン、自宅、移動中の交通機関
派手なロケーション撮影も無ければ
色味のあるシーンもない
日常を平凡に暮らしている告発者の声を聞いていく
「SHE SAID その名を暴け」とあるが、
陰謀を暴くミステリーやスリルものというよりも
とにかく最後まで「憂鬱」で「白く曇った」印象
見終わった後も気分が晴れない
だが考えさせられる映画
男性こそ観るべき
いきなり来た、今年ベスト入り間違いなし!
ご存知「MeToo」運動のきっかけとなったハーヴェイ・ワインステイン事件報道の舞台裏を描くこの作品。
正直「女性に対する性加害の問題」は女性の問題、となんとなく考えていたところがあったけど、この映画は冒頭からその認識違いを思い知らせてくれた。
冒頭数分、あれほど幸せな映画との出会いをはたし未来に対する希望に満ちた少女をあんな表情にしてしまう、それだけでいかに罪深いことを奴がやっていたのかがよく分かる。
それは「性加害」や「性犯罪」というにとどまらず被害者の人生を破壊する行為なのだと、そしてなにより「性加害」は女性の問題なのではなく徹頭徹尾男性側の問題なのであって女性はただ巻き込まれているだけなのだと、知らしめてくれる。そういう力強い映画だった。
キャリー・マリガンとゾーイ・カザンは、そうした信念を持ち母でもある、魅力的な記者たちをリアリティたっぷりに演じているし、周辺の人々も魅力的。
女性たちに性的な眼差ししか持てず、ある種の病的な性向を示す「奴」なんぞ地獄に落ちろ、としか思わないが、奴らを庇護し育んできたこの社会こそが問題なのだと、そしてそんな社会の男性のなかにもちゃんとした人間はいるのだと教えてくれた。
ホントにさ、自分の子供がこんな目に遭ったらどうしてくれよう、と考えちゃうのだけど奴がいつも「妻と子供に誓って」そんなことしない、といってたと聞いて最も残酷な刑罰は何か、と考えている…
特に男性こそ、観た方が良いよ…
世界を動かした女性たちの勇気と覚悟
記憶に新しい#MeToo運動。本作で描かれるのは、その運動の発端になった一つの性暴力告発記事を巡る実話。確かに#MeToo運動は世界を動かし、日本の職場でも数年前とはハラスメントに対する重要性・考え方が大きく変わったと実感します。
つい最近の出来事でありニュースでも見てきた事件ですが、本作で細かく語られた事件内容や加害者本人だけではなくそれを暗黙の了解としていた会社や、性被害に関する法律の影響範囲など初めて知ることも多く、衝撃的。この告発記事が世に出るまでにどれだけの人々が関わり、努力し、勇気をもって行動したかが伝わり、胸を打ちます。
2人の女性記者だけでなく、ニューヨークタイムズのチームが凄く良かった。クリエイティブな仕事を地道な取材と過酷な日々で達成し、世界に影響を与える姿、カッコ良かったです。
映画作品としてはちょっと演出が弱く、同じような取材内容が何度も繰り返されたり、主人公2人の背景説明ま取ってつけた感があったり、何よりクライマックスの盛り上がりがイマイチ。
エンタメとして楽しめたかというと微妙ですが、この事件を知れたという意味で満足です。
タイトルなし
実際に起きた出来事をベースにしたこういう作品は、どれも見応えがあり、引き込まれるように観てしまい、感受性が思い切り刺激され、観終わったあとの余韻も大きい。
この作品もまさにそれだった。
揺るがないように見える立場と、絶大な影響力を伴う権力を持つ人間を相手に、ある意味リスクを伴うかもしれない勝負に挑むような記者たちの戦いぶりは、本当に見ていて、引き込まれ、最後は思わずともに感極まってしまった。
そして、声を上げられない、上げることで被害者なのに、世間から、相手からどんな目に遭わされるか分からない不安と恐怖を抱え、口をつぐむ被害者たち、そんな中、アシュリーとローラの実名公表の決断の勇気に、ただひたすら敬意と尊敬の気持ちを抱いた。
戦い抜いた記者たち、勇気を振り絞って沈黙を破った被害者たち。
その日々の記録にひたすら心を揺さぶられ続けた時間だった。
女性たちの勇気の物語
新聞記者は憶測では書けない。仕事とはいえ、被害者自らに語らせるのは辛い仕事でもある。本人に会えなかったり答えてくれなかったときには、当事者の肉親も巻き込まざるを得ない。しかし、加害者に有利な法制度も動かすためには報道が必要なのだ。報道そのものには現れない、入念に調べ、粘り強く説得する過程が映画では再現され、胸を打つ。この報道があってしばらく経ったので、もはやわれわれは忘れ始めているが、いつまでも覚えておくべきだろう。
徹底的に。
近年の映画界は、エンタメと並行して世の中にある「差別」や「格差」、「断絶」「ハラスメント」との戦いを描いてきた。
アカデミー賞受賞作品にも、そういった社会性を求められる様になってずいぶん時間が経つ。
それなのに。
その極悪な卑劣漢は、実はその映画界、それも中心部で業界のトップと言っていい立場で何十年も前からハラスメントや性的暴行を繰り返していたという、コミックの様な皮肉な現実。
この作品ではそれを「モチーフ」どころか、実名や肉声を使って、これでもかとばかりにその現実を突きつけてくる。
もう容赦無く徹底的に。
いわゆるセクシャルな映像はほとんどなく、衝撃的な演出もあえて避け、実際のやりとり音声はホテルの廊下をただカメラが進んでいく映像で、それでも十分おぞましさが伝わってくる。
主人公の二人はもちろん、登場する女性たちの凛とした姿が素晴らしい。
恐れ、怯え、苦しみ、それでも立ち上がる人もいる。
物語とは直接関係ないけど、二人のファッションもまた、フラットなカッコ良さと可愛さがあった。
登場人物が非常に多く、人名はしっかり整理しながら観る必要はある。
事実に基づく物語なので展開は「取材」シーンが大半。どんでん返しやギミックがあるワケでもないのに、その取材の悪戦苦闘ぶりに2時間強の上映時間がまったく長く感じない。
スムーズに話を飲み込むためにも、被害にあったと告発している女優さん(アシュレイ・ジャッドとかグイネス・パルトロウ、ローズ・マッゴーワンあたり)の名前と顔は知っておくといいかも。
それぞれの女性たちが、「この後の世代」また「自分の子供たちの世代のために」…と自分のリスクを覚悟で立ち上がっていく姿に心を打たれる。
我々男性としては、当事者としてこれを受け止めた上で、もちろん自分だけでなく、目の前の同僚や上司、権力者の暴走を止めることができるのかも考えていかなくてはならない。
あ、あと、数年前に日本にも女性に性的暴行を犯して開き直っていた著名人がいたが、身の潔白を証明しようとする説明が、作中でワインスタインや弁護士が言う、まったく説得力がないどころかセカンドレイプともとれる、内容の酷似したセリフだったのを見て、「クズは世界中で同じなんだな」と実感した。
なんだか、他にも書きたい事がいっぱいあるのにまとまらない。
この事件について、当時も日本ではそれほど大きく報道されていないので、私自身の不勉強と相まってホントに久しぶりにパンフレットを購入して、観賞後は登場人物名の混乱と知識不足を補填した。
正直、映画そのもののクオリティとしては★4.0。そしてこの映画の意義にプラス0.5とさせて頂きました。
時代を変える告発には想像を超える勇気が必要なんだ
絶対的権力者からの性的暴力を告発する話。
当事者が告発するには多くのリスクが伴うし、何よりも大きな勇気が必要になる。
そんな出来事を非常に丁寧に描いた作品だと思う。
話の抑揚がないと少し感じたが、その抑揚のなさがこの事実を世に発信するという、記者たちの熱量を感じさせる要因となり、重厚感のある作品になっているのだと感じた。
地味にいい作品
ひとつひとつ、梯子を登るように、真実に向かう様は緻密で良かったなと思う。
映画スキャンダルのようなエンタメ性や色気は全くなく、あるべき事実を淡々とトレースしていく様は逆に時間が経過するに従って、観るものをスクリーンに引き込んでいく。
登場し、活躍するのがほぼほぼ女性なので、そこんとこがやや気になりました。
ハリウッドの闇。
MeToo、が広がる原動力になった記事っていう事は知っていたけどここまで権力にはばまれて公になっていなかったんだなー、と。どうしても被害者としとは全てをさらけ出すのも難しいだろうしとことん弱みにつけこんだ展開だったことが腹立たしい。全編ほぼ会話回しだけどエンタメ作品にしっかり仕上がっていて飽きがこない。見応えおり。
本より分かりやすかった。時間がすぐに過ぎるエンタメ性の高い作品
グウィニスの家で皆が集うエピソードは出てこなかった。でも彼女の家のシーンはあったので、
ストーリーの都合もあったのでしょうね。
ブラッドピットがプロデューサーで(プランB)参加しているのも興味深いですね。
映画業界以外でも大物の悪事に黙ってしまう組織の闇は世界に多く存在するのでしょうね・・・
アメリカの闇と社会正義の反発力
アメリカは、なんでも日本よりスケールがでかい‼️
というのは前からですが、トップの権力やその振る舞い方(この映画のハラスメントのような悪行も、寄付や財団などの善行も)も桁違い。
それだけに、巨悪と闘うには、相当の覚悟がいるのはもとより、調査、検証、事実、証拠や証言など証左の積み上げにも膨大な時間と労力と根気がいるし、それを支える仲間や人々に周知するシステム(メディア)も不可欠。
日本では、その昔、立花隆さんが現職の総理大臣である田中角栄を文藝春秋の記事で追い詰めたような事例はありますが、その後、巨悪が暴かれたような事例はあったのかな?
そもそも、木端役人のしょぼいちょろまかしや政治家の権力と金の一部私物化は、うんざりするほどあるけれど、まぁ、巨悪というには程遠い(いいんだか悪いんだか😂)。
アメリカ社会は、銃乱射や麻薬などに象徴される、我々には想像がつかないほど深い闇もあるのだろうけれど、社会正義が発揮される時のパワーも凄いわけで、このあたりの映画を見るといつも、ため息混じりに感心することになります。
2022年。マリア・シュラーダー監督。ハリウッドの超大物プロデュー...
2022年。マリア・シュラーダー監督。ハリウッドの超大物プロデューサーのセクハラ疑惑を暴いた女性新聞記者二人の話。それぞれに家庭を抱えながらニューヨークタイムズで調査報道に携わる二人の事情まで丁寧に描くことで、単に「悪い奴を暴く」だけでなく、現代社会で女性が置かれた地位全般についての告発になっている。
実名で登場するアシュレイ・ジャッド、名前だけ出てくるグウィネス・パルトロウと90年代後半のハリウッドを彩るスターの名前が懐かしい。#Me Too運動を巻き起こした原点の記録という意味で興味深い話。
キャリー・マリガンのスタイルの良さが際立つ服装と立ち姿が印象的。
全194件中、161~180件目を表示