劇場公開日 2023年1月13日

  • 予告編を見る

「大きな権力・圧力に戦う記者たちと上司。実話に基づく見るべき映画。」SHE SAID シー・セッド その名を暴け M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0大きな権力・圧力に戦う記者たちと上司。実話に基づく見るべき映画。

2023年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2017年、映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・性的暴行事件の記事がニューヨーク・タイムズに掲載され、世界的な#MeToo運動へと発展した。その記事を書いた記者及びチームの物語である。
原作は、ピューリッツアー賞を受賞した「その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―」ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー/著とある。

この映画で感じたことは、大きな権力・圧力のものと、女性がいかにセクハラ行為を要求され泣き寝入りさされていたか。それに歯向かうことも多言することもできない。ましてや実名で語ることなどなんて。そこに粘り強く働きかけ、情報を収集し、切り込んでいく二人の女性記者。
そして上司もそれを支え圧力を跳ね返すチームワーク。ここのところが凄いと思わせる。このチームワークがなければこの記事はできなかったのである。

そして被害者たちの葛藤と秘密裏にしていた事実。しかし記者たちの説得に応じ、こんな思いを誰にでもさせてはいけないと実名報道を受け入れた女性たち。多くの人たちのひたむきさと力強さ、権力や圧力に屈せず、記事を出すことで多くの人たちを救っていく。
記者の女性二人は夫もおり、家に帰れば普通の家族。家の中でも仕事のことが一時も頭から離れられない日々。取材の様子、上司との協議などとても丁寧に描かれており、印象に残った。

友人のアメリカ人と見に行ったが、身近な職場でも同様なことがあったことや、キリスト教会での牧師と男の子のセクシュアル・ハラスメントの事実が明るみに出ていることなど、実は本当にこのような悲劇が繰り返されているのだと語ってくれた。

日頃の日常生活においても、いろんな理不尽なことやニュースに心痛めることも多い。見て見ぬふりをする多くの善良な市民がいる中で、何も言えずに一人悩んでいる人々。ハラスメントする側は力づくでそれを消し居座る。これに声を上げることがいかに危険で大変なことであるか。この映画はそのような普通の私たちにどうすべきか大きな力を与えてくれる。

コメントする
M.Joe