「人生は、得て、失って、また得て、を繰り返す」春に散る うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
人生は、得て、失って、また得て、を繰り返す
原作既読で鑑賞。原作はボクシングが持つ独特の世界観を芯に人生を描く物語であったが、本映画はボクシングものの王道を行く物語に変わっていた。
目の前の勝負に一生モノのリスクを賭けて挑もうとするボクサー、それを見守ることしかできない家族、情熱をとるか現実をとるかを迫られる指導者…の三者三様の姿はテンプレとも言える。「春に散る」の原作エピソードはキャラクターのバックボーンに僅かに残る程度だったが、全編を通してみると原作と共通したテーマを感じられる物語になっていた。
見所は俳優陣の熱演で、ボクシングシーンや窪田正孝さんのただ者ではないヒールぶりが光っており、難しいラストシーンを成立させた佐藤浩市さんの佇まいも見事だった。
映画作りに対する熱意を感じる作品である。
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