劇場公開日 2023年8月25日

  • 予告編を見る

「また見ればいい」春に散る サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5また見ればいい

2023年9月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

瀬々敬久監督の作品の中で、1番好き。
血の繋がりのない2人が、ボクシングを通して、お互い持つことの出来なかった父・息子の関係のように、他には無い強い絆を深めていく。佐藤浩市、横浜流星がキャリアで最も熱の篭った演技を魅せ、観客に震える涙を与えてくれる。なんとまあ、美しい映画なんでしょうか。

最初のカットの美しさに驚愕した。
広岡のこれまでを、ただビールを丁寧に飲む後ろ姿で物語らせる。この時点でわかる、只者じゃない映画だと。佐藤浩市から放たれるオーラ、瀬々監督特有の淡い色合い、不思議と引き込まれる優しいカメラワーク、全てが相まって完璧なショットとなる。冒頭にして、1番のお気に入りシーンだ。藤井道人監督「余命10年」も素晴らしかったが、この映画の桜はもっといい。それも散る姿が悲しくなく、来年の桜にバトンを渡すような、力強い勇姿がある。そう、そんな桜が本作の全てなのだ。

毎度の如く、横浜流星はすごい役者だ。
彼以上に、熱があり、魂の籠った演技をする役者はそういない。彼もまた、姿で表現する。目には闘志が宿り、抱え込んだ辛い思いも見える。もう、後がない。一瞬にしてそう思わせてくれる。映画の中のキャラクターの域を超え、佐藤浩市とどこか似た部分のある俳優だからこそ、普通のヒューマンドラマでは感じえない深い気持ちになれるのだろう。出会うのことのなかったはずの2人が、ボクシングを通して「生きる」ことを知る。佐藤浩市×横浜流星×瀬々敬久でないとなし得なかった、最高のテーマだ。

忘れちゃいけないのが、ボクシング映画としての本作。本作にも出演した窪田正孝×三池崇史監督の「初恋」、日本ボクシング映画の巨匠・武正晴監督の「アンダードッグ」が近年のベストだと個人的に思っているが、この映画はまた別の方向からボクシングを魅せてくれた。こんな震え上がる試合だとは思っていなかった。勝っても負けてもおかしくない主人公とその相手が、笑いながら、苦しみ悶絶しながら、ボクシングを全身で楽しむ。こんなシンプルなことなのに、たった1試合の中にこれまでが詰まっているように見え、その場に居合わせたリング外の人々と同じように大きな涙がこぼれた。試合後の2人も、たまらなくカッコイイ。

最近の日本映画、素直にすごい。
哀川翔、坂井真紀をもっと取り巻けば、より肉厚なドラマに仕上がったと思うが、まさかここまで胸の奥底まで熱くなるボクシング映画だとは思ってもみなかったので、大大大満足でした。あ、でも1つ言うなら、橋本環奈はちょっと違ったかな笑

サプライズ
2023年9月15日

どの映画も繊細な人間ドラマと男性の力強さを
感じたストーリーでした☆

美紅
2023年9月15日

ボクシングの知識はないのですが、三池崇史監督の初恋、窪田正孝さん主演の映画、アンダードッグ、松山ケンイチさんの
ブルーと言う映画
菅田将暉さんの
あゝ荒野、前編、後編
すべて、映画館で見ています。

美紅
2023年9月15日

今年の桜にバトンを渡す
力強い勇姿、詩的なレビューです✨

美紅
2023年9月15日

映画の冒頭部分から
居酒屋で騒ぐ若者たちに
注意する、佐藤浩市さん
横浜流星さん、熱の籠もった演技でしたね☆

美紅
トミーさんのコメント
2023年9月1日

共感ありがとうございます。
橋本環奈はきっと有りきだったんですよ、何とか幸薄く演出したという所で・・白木のお嬢さんもそうかも?

トミー