「タイトルが誰のことを指すのかがネタバレだが、それは後半のお楽しみになっていますね」PS1 黄金の河 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルが誰のことを指すのかがネタバレだが、それは後半のお楽しみになっていますね
2024.5.20 字幕 アップリンク京都
2022年のインド映画(167分、G)
原作は1950年代に書かれた歴史小説『Ponniyin Selvan』
チョーラ王朝時代の跡目争いを描いたアクション映画
監督&脚本はマニ・ラトラム
原題の『Ponniyin Selvan』は「ポンニ河の息子」という意味
物語の舞台は、インド南部のチョーラ王朝
パーランダカ王の系譜から正統な王位継承になるはずだったマドゥランダカ(ラフマーン)は、父が甥のスンダラ(プラカーシュ・ラージ)に王位を譲ったことで、後継の道から外れてしまった
スンダラは高齢になり、その跡目は長男の皇太子アーディタ(ヴィクラム)に引き継がれる予定だったが、配下たちはその流れを食い止めたいと考えていた
その動きを察知した皇太子の妹クンダヴァイ(トリシャー・クリシュナン)は兄にその不審な動きについて知らせる
北部の領土拡大のために戦地に赴いていたアーディタは、そこで配下の戦士デーヴァン(カールティ)を密偵にして、近く首都タンジャイで行われる秘密会議を調査するように命じた
タンジャイは財務大臣のパルヴェートが中心になって動いていて、そこに侵入するのは容易ではなかった
そんな折、パルヴェートが妻のナンディニ(アイシュリヤー・ラーイ・バッチャン、若年期:サーラー・アルジュン)が近くに来ていることを知ったデーヴァンは接近を試みる
ナンディニはデーヴァンの目論見を看過し、王家の指輪を与えて、宮殿に来るように命じた
デーヴァンは正面から宮殿に向かうものの、カランダカ長官(パールディバン)は指輪を偽物だと思って追い返してしまう
それでも任務を果たすために侵入し、そこに籠に身を潜めて会議に参加するマドゥランダカを発見してしまう
パルヴェートたちは次期国王をマドゥランダカにしようと暗躍していて、王位継承の流れを変えようと考えていたのである
物語は前後編の前章となり、アーディタが首都に戻るまでを描いていく
パルヴェートはアーディタとその弟アルンモリ(ジェヤム・ラヴィ)が南北に分かれている隙を狙い、アルンモリの殺害を計画していた
ランカ島に暗殺部隊を送り込み、そこにアーディタによって滅ぼされたパーンデイヤの残党などもやってくるのである
壮大な叙事詩のような作品で、王家の転覆を狙う反逆者によるクーデターを描いていく作品
歴史の背景などを知る必要もなく、冒頭でざっくりとした説明がなされている
登場人物がめちゃくちゃ多いが、パンフレットには人物相関図に加えて、各キャラクターの別名(他の作品での呼ばれ方)などの解説もあるので重宝するのではないだろうか
いずれにせよ、167分もある前半で、後半も1ヶ月後に公開が控えている
ボリウッドっぽい映画で、ダンスも歌もあるのだが、ミュージカルのような無理矢理さがなく、儀式に紛れたり、パーティーに扮したり、と物語を阻害しない程度に挿入されているので問題ないと思う
前半は、アルンモリとデーヴァンが荒海に投げ出されて終わるというエンディングになっていたが、おそらくは生きているのだと思う
弟が殺されたと聞かされたアーディタが、かつて恋仲だったナンディニ憎しで復讐をするという流れになりそうだが、彼女にも別の目的があるように描かれている
なので、後半はアーディタがナンディニを殺めるけど、それは間違いだったと絶望するというのはデフォのような気がする
そこで生き残ったデーヴァンが王家を救うために戦うことになるのだと思うが、アーディタが「準備をしろ」というように、彼の出自は王家と何らかの関係があるのだと思う
わかりやすくクンダヴァイと結婚して王位継承の路線に入りそうに思うが、そのあたりは「お楽しみ」なのかもしれません