「正統派大船調を堪能」こんにちは、母さん 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
正統派大船調を堪能
山田洋次監督と吉永小百合の母もの3作目。前2作と異なり、現代を舞台にした家族映画で、山田監督の真骨頂を発揮している作品となった。前作「キネマの神様」では、さすがに山田洋次も衰えたなと感じさせられたが、今作では、シナリオ、演出ともに熟練の技を見せている。
誰にでも起こりそうな家族の問題を丁寧に描き、クスッと笑わせ、ホロッと泣かせて、後味すっきり。まさしく正統派大船調の面白さを堪能させてくれる。冒頭のビルのショット、居酒屋のカウンター、足袋屋の看板など、あまりに小津安二郎を彷彿とさせていて、ちょっと驚く。
吉永小百合は相変わらず生硬だが、かわいいお祖母さんになっている。山田監督との相性はどうかと思った大泉洋が、期待以上に良い。永野芽郁、宮藤官九郎をはじめ、脇もみな良い。肝心の吉永小百合と寺尾聰のからみは、少し弱い感じがしたが。
いまだ健在ぶりを見せてくれた山田洋次監督、92歳。あらためて次回作を期待したい。
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