「 親が80歳手前、自分が50歳手前、バタバタしていた子育ても終盤に...」こんにちは、母さん hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
親が80歳手前、自分が50歳手前、バタバタしていた子育ても終盤に...
親が80歳手前、自分が50歳手前、バタバタしていた子育ても終盤に差し掛かり、ふと、親へ意識が向きだして、懐かしさも重なって連絡もせずに突然実家を訪れる。なんてこと特に息子はやりがちです。この歳の息子(娘も?)は、もはや会社に家族に色々と疲れているのですよ。疲れて布団の上でバタバタもがきたいのだけど、そんな姿は子供にも奥さんにも父親にも見せられない。世界で唯一見せられるのは「母」しかいないのです。そんな息子と母の関係を山田洋次監督がほのぼのとした物語にしてくれました。
全体的には「男はつらいよ」のテンポと演出。昭夫(大泉洋)は実家に帰れば寅さんだし、舞(永野芽郁)は母親嫌いで家出するちょっとスレた女子と思いきや、祖母のコイバナに目を輝かせ、父の布団を当たり前のように敷くおよそZ世代の女子とは思えぬ昭和っぷりに若き日の桃井かおりさんが重なりました。主人公中心で話している背後でも誰かが下町の日常を演じている抜かりなさ。全く安心して観られますが、アクションでもサスペンスでもないこの映画は若い世代には平凡にしか映らないかもしれません。私も若い時と今で同じ「男はつらいよ」を観ると感じ方が大きく異なりますので。
夫は早く他界し、失恋したけど紳士との恋も咲かせ、今後は離婚した息子(嫁姑問題無し)やかわいい孫娘と同居。息子も途中退社とはいえ50歳手前まで働き、大きな会社の部長クラスなら退職金も上々でしょう。母自体もお金に困って無さそう(金を工面するというセリフから想定)。地域の繋がりも厚く、三人で暮らすに十分な広さの東京持ち家一軒家など、下衆な話ですが老後の不安は無さそうです(笑)。
「男はつらいよ」の寅さんの妹・さくらを演じた賠償千恵子さんの昨年の主演作品「PLAN75」とは真逆の世界。若い頃から同世代の女子たちの羨望と嫉妬を集めてきた吉永小百合さんが、またまた同世代の女子?たちから嫉妬されてしまいそうです(劇中の話ですけど)。