「悪くはないが、時代が昭和で止まっている」こんにちは、母さん 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはないが、時代が昭和で止まっている
老人にとってのアイドル映画、吉永さゆり作品。
俺は吉永さゆりファンではないが、嫌いでは無いし、今回は大泉洋に期待して観賞。
【物語】
昭夫(大泉洋)は大企業の人事部長を務めており勝ち組にいる。 しかし、家庭は妻と別居状態にあり、仕事ではリストラ問題を抱え、特に入社前からの親友木部(クドカン)がリストラ候補に挙がっていることへの対応で頭を悩ませていた。
あるとき、木部が大学の同窓会を隅田川の屋形船でやりたいという話から、隅田川沿いに住む母・福江(吉永小百合)が暮らす実家を訪ねる。久しぶりに会った母はボランティア活動などで忙しく、地元の人達と交流しながら生き生きと暮らしていた。さらにボランティア仲間の男性と恋愛までしているようだった。
その後娘の舞(永野芽郁)が親の離婚問題や進路問題で実家に居場所をなくし、祖母宅に避難したこともあり、いつになく足しげく実家に通うことになった昭夫。 母、娘、実家に入り浸る近所の住民達との会話・交流でこれまで見失っていたことに気付かされる。
【感想】
悪くはない。悪くは無いが、設定・差し込まれるエピソードに違和感がある。時代的ズレを感じるのだ。
山田洋次監督。あの不朽の国民映画寅さんシリーズの監督であり、国民栄誉賞に相応しい人だと思う。寅さん以外にも好きな作品はいくつもある。 しかし91歳。
この時代的齟齬の感覚は“家族はつらいよ”シリーズでも感じていた。
親子の情愛とか、不変のものはいい。しかし、リストラ、窓際族問題、女子大生の進路問題などに違和感を覚えたのは俺だけではないと思う。脚本も手掛ける監督の時代感覚が昭和で止まっていると思う。監督がどうしても脚本まで手掛け、やりたい作品を思う存分やらせるのであれば、時代を昭和に設定すれば良かったと思う。そうすれば違和感は消える。
そうか、今気付いた。観る方が昭和だと思って観ればいいのね(笑)
古さ以外のところでは、吉永小百合はいつもの吉永小百合だが、改めて可愛い婆さんだと思った。 こんな78歳はいない。
未だ老人達の絶大な人気が衰えないことに納得する。
脚本がイマイチでも観られるのは大泉洋や寺尾聡の演技があるから。彼らが作品を支えているので、何とか観れる。
でも、やっぱり若い人には無理かな。