劇場公開日 2023年9月1日

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「山田監督、お疲れ様。」こんにちは、母さん 周ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5山田監督、お疲れ様。

2023年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

舞台となった墨田区向島の地元民としては嬉しい限り。区内の劇場で鑑賞。
料亭街の近くでもあり、足袋を始め、和装小物を商う小店は今でも点在する。

しかし残念ながら、山田監督の老化のせいか、全体に冗長な展開が否めない。
私も大手企業で人事部に所属しリストラ勧奨の経験もあるが、いくら同期入社の親友
だといっても、あんなドタバタは有り得ない。そして挙句の果てに子会社への転籍?
それが彼にとって次善の策と云えるのだろうか。上場企業の人事部長なら個室位はある
し、実質的な調整役はもう少し下位の人間が担当するはず。昭夫の位置は課長クラス。

昭夫の離婚話もリアリティに欠ける。不倫妻が夫の実家に来て義母と一緒に若い時の
アルバムを紐解く・・これも有り得ないだろう。去り際「お母さん、ごめんなさい」
の言葉に、新たな恋に夢中の母が「夫以外の男」の存在を知る辺りは秀逸だけど。

田中泯が演じるホームレスも不思議な存在。実は昭夫の会社の大先輩だった・・との
展開でもあるのかと思った。東京大空襲の際、言問橋から川に飛び込んで九死に一生
を得たエピソードは、昨年亡くなった作家で盟友の早乙女勝元氏(山田監督に柴又を
紹介:東京大空襲に関する著作多数)へのオマージュと受け止めた。

地元が舞台の作品ということで、1ポイント加点させてもらいました。

周ちゃん