「【”人事部長はツライよ!だが人として正しい行いをすれば災い転じて福となるのである。”今作は、名匠山田洋次監督のブレない人間性肯定の考えに基づき、登場人物を温かき目線で描く姿勢が心地よき作品である。】」こんにちは、母さん NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人事部長はツライよ!だが人として正しい行いをすれば災い転じて福となるのである。”今作は、名匠山田洋次監督のブレない人間性肯定の考えに基づき、登場人物を温かき目線で描く姿勢が心地よき作品である。】
ー 今作は山田洋次監督の母三部作「母べえ」「母と暮らせば」に続く作品だそうである。そして、ナント山田監督の通算90作目だそうである。
正に名匠である。
私は、山田監督の作品は、「寅さん」シリーズを代表とした、ブレない人間性肯定の姿勢が好きなのである。-
◆感想
・大企業の人事部長であるアキオ(大泉洋)は妻とは別居中。
大学生の娘マイ(永野芽衣)は妻と同居しているが、頻繁に家を空ける。
ー ”大泉洋さんが人事部長ってどーよ!”と思っていたら、ビシッとネクタイ&背広姿が決まっている。うーむ。参ったなあ。(何がだ!)-
・臍出しファッションのマイを演じた永野芽衣さんの黒いネイルが似合っているなあ、と思っていたら悩んでいたアキオが母フクエ(吉永小百合:日本の女優さんの中で、最も不老で品性高き方である。オーラも凄い。)の家に良い歳なのに、暗い顔をしてやってくるのである。
ー 男という生き物は、何故に母親に弱いのであろうか。(私だけか?)-
・フクエは一方、明るい顔。活き活きとボランティア活動をしている。更に”そのリーダーである牧師さん(寺尾聡)に恋をしているらしい。”とマイに聞いて尚更、落ち込む姿が可笑しい。
ー 確かに、母親が恋をしていると知ったら正直複雑であるが、息子とはそんなものである。-
■アキオの漢気溢れるシーン
・同期入社の課長キベ(工藤官九郎)が会社のリストラ候補になっている事を知りながら、その事実を立場上、言えないアキオ。だが、キベがその事実を知りアキオの席に来て”酷いじゃないか!”と言うシーン。
内心、あんまり仕事してこなかったから40代後半で課長じゃないのかい、と一瞬思ったが弾みで上司の腕を扉に挟んだだけで、懲戒解雇はないんじゃないか?せめて、昇給停止か降格だろうと思っていたら、悩み抜いたアキオが自らの地位を投げ打ってキベの首を守るシーン。
アキオ自体が、人事部長の仕事に嫌気がさしていた事がキチンと描かれているし、彼の友を想う姿が男である。重ねて記すが”人事部長はツライよ!”。
ここで、序盤に母、フクエが言った言葉が効いてくるのである。
”切られる方が、切るよりましよ!”
山田監督は非正規雇用にも触れているし、今の日本の組織体制に静にお怒りなのだろうと思いながら観賞続行。何だか、申し訳ない気持ちになる。
・フクエたちがホームレスの頑固なイノさん(田中泯:矢張り良い俳優さんである。眼力とドスの効いた声が凄い。)を心配するシーン等も観ていて沁みる。
<今作の展開は、サラリーマンにとってはナカナカ厳しい内容では有ったが、山田監督は今の日本の組織体制に疑念を抱きつつも、キチンとした人情映画に仕上げているのである。
流石、邦画界が誇る名匠だなあと思いながら、劇場を後にした作品である。>
■2023年9月27日 追記。
NHK「プロフェッショナル」で今作を製作中の山田監督と吉永小百合さんの遣り取りを鑑賞した。山田監督が敬意を持ちつつ、吉永さんに掛ける厳しき言葉。
吉永さんは、映されないのに、足袋職人の女房役として、ミシンで足袋を縫う練習をしている。更にジムでトレーニングをしている。
山田監督が言った”映画を観終わって、ああ面白かった。腹が減ったな、何て言われる映画が良いね。”と言う言葉も含蓄があるし、改めて映画を製作している方々の映画愛を感じたドキュメンタリーであった。
何しろ、嬉しかったのは吉永さんが、”マダマダ、続ける。”と言って下さった言葉であった。
NOBUさん
昨日、公開初日に観てきましたよ。
山田監督作品は 温かみあって良いですよね。
91歳で、90本めとのことで凄いです。
何と言っても、寅さんですよね。
吉永さんと大泉さんが
自然な親子を演じられていてステキでした。
洋ちゃんの「かんべんしてくれよう~」の
セリフ、(笑)出ました~
家族問題や人事部の仕事は大変ですよね。
物干しがあるお庭で
打ち上げ花火を観ながら
母と息子の
ラストシーン良かったです。