「狂神(ティペット)創造の90分耐久地獄」マッドゴッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
狂神(ティペット)創造の90分耐久地獄
ハリウッドを代表する視覚効果アーティスト、フィル・ティペット。
彼が90年代に着手しながらも一度断念した企画を、30年の時を経て完成させた監督作。
何があったのか。ここは何処なのか。
地獄のような暗黒世界。本当に地獄なのか、地獄と成り果てたのか…?
そこに降り立った一人の男。
おぞましい生き物が蠢く中、地図を頼りに深部へ入り込んでいく。目的は…?
数年前に話題になった日本の『JUNK HEAD』を彷彿させる。
一応そう始まるが、すぐさまこれは、話を追ってはいけない作品だと分かる。話はあって無いようなもの。
ビジュアルを見る作品。
そのダークな世界観。不気味なクリーチャー。これでもかというくらいのオンパレード。
グロや汚物にもまみれ。
その全てがストップモーション・アニメで表現。
一つ一つに、ティペットのこだわりを感じる。いやもう、狂気と言っていい。
…しかし、話があって無いのが仇となり、途中から飽きてくる。
延々見せつけられるビジュアルにもげんなり。
台詞もナシ。
主人公と思った男が何者かに捕まり、内臓ぐちゃぐちゃ血肉にまみれた辺りから訳が分からなくなってくる。
ストップモーション・アニメの筈が、役者が演じるキャラも。何者…?
再びこの世界に別の人物が送られてきて…。
ラストはもはや理解不能。あの人物、展開はどゆこと…??
視覚効果アーティストとして数々の名作に携わった経歴。
一度絶望まで落とされるも、オスカーを受賞するに至った『ジュラシック・パーク』の経緯。
執念と言っていい本作完成の道程。
華々しいキャリアだけじゃなく、苦労人でもあり、フィル・ティペットご本人はリスペクトに値するが…、
狂神(=ティペット)が創造したこの世界に耐えられるか、否か。
私はダメだった。
(★採点はティペットへと前半までは目を見張ったビジュアルに)