ラン・スイートハート・ランのレビュー・感想・評価
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血の匂いで追いかけてくる。女性は大変よね。
クライアントの食事会に急遽代わりに生かされた会社員女性。その相手は男性扮する吸血鬼?悪魔?モンスター?であり、暴力を振るわれ逃げ惑うのが物語の大半。なぜか劇場男性はモンスターの言う事を聞いてしまい、警察も頼れない。ある地点ある地点に走って逃げるがモンスターに追いつかれ、追いつかれるたびに出血、また逃げるの繰り返し。実際のモンスターの姿は映りませんが、最終的に太陽光の日差しによって、黒い可燃性の血液を出し弱り、協力した女性霊媒師?!によって焼身され完結。
シュワちゃん主演の『エンドオブデイズ』という映画に似ています。
まぁ〜特段新しい描写はないかな。強いていうなら、ある地点でもう逃げなくちゃいけないその瞬間画面が静止し大きな文字で『run』の文字が発生するたびに現れます。そこは小笑でした。
メタファー
専門家が専門外のことをするとき妙味があらわれます。
たとえば和食職人がフレンチをつくるとおもむきのある滋味が加わったり──とか、クラシック奏者がポップを演奏すると妙に律儀だったり──とか・・・、
──ニュアンスが伝わるかわかりませんが、とある分野の求道者が違うことをするとき、意図していなかった妙味が浮かんでくることがあります。
Shana Festeは2009年にThe Greatestという映画を監督しています。ピアーズブロスナンやキャリーマリガンが出ていて、映画も記憶に残っていました。監督の来歴にはファミリーorロマンスしかありません。
ひとつのジンクスだと思いますがホラー門外漢がホラーをつくると妙味があらわれます。(もちろん腕の確かな人に限りますが。)
やはりとても変わった映画でした。
敵となるモンスターのカテゴリーがわかりません。狼男か、悪魔か、幻体か。陽で弱体化するのは吸血鬼のようですが、姿がわかりません。いちどだけ変身シーンがありますがそれは主人公シェリー(Ella Balinska)の悲鳴だけで表現されます。
映画のメッセージは、プレデター(=女性を襲う男)を糾弾することでしょう。リベンジホラーの形態をかりながら、Promising Young Woman(2020)のようにフェミニズムを暗喩していると思います。
原案は共同執筆ですが監督自身が書いています。
海外の情報に──Shana Feste監督はトラウマとなっているデートと性的暴行の犠牲者であるという彼女自身の実体験にもとづいて原案・映画を作成した──とあり、納得しました。
実体験を、他人に伝わりやすいホラーに変換・モディファイしているところがクリエイターらしさだと思います。
フェミニストは概して直情型が多いのでこうした理知には感心します。なんでもそうですがエンタメにしなければ何も伝わりません。
ただし、何となく掴みどころのない映画でもありました。街じゅうを駆け回ってタンポンを探す映画──と言っても過言ではなく、リベンジモードへ入ってランボーのようにヘッドバンドをするのは何となく滑稽でした。
しかしElla Balinskaはまるでなめらかなトフィのよう。やみくもに遺伝子の格差をかきたてる美しい女でした。
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