死刑のレビュー・感想・評価
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良く練られた素晴らしい脚本
死刑制度を考える上でのあらゆる意見や議論が詰め込まれた70分だった。
役者さん達の熱がこもった掛け合いで、話はどんどん展開していく。
登場人物はそれぞれキャラクターが立っており、様々な立場、様々な思想から、様々な意見が出る。
誰に何を言わせるのか、どのように話を展開させていくのかが上手に配置されており、とても見やすかった。
今後、学校の授業などで議論する際には有益な資料となるに違いない。
監督の言うように、この映画が様々なことを考えるきっかけになればいいなと思う。
パンフレットに載せられた脚本(役者さんの台詞とト書)は、それぞれの意見や説明を改めて咀嚼しながら読むことができ、読み応えがあった。
文字の台詞を追いながら、各役者さん達の素晴らしい演技を思い出す。
長回しの掛け合いには引き込まれた。
中でも話し合いの期間中に妻子を失った山田の嗚咽は、強く心に甦った。
映画の落としどころとしては、監督の思想が反映されているのかなと思ったが、私も賛同である。
個人的には坂上香監督の『プリズン・サークル』などの作品に描かれている取り組みが変化の要の一つだと思っている。
結果に対する責任は?
20XX年の日本で死刑制度の廃止が検討される中、国民の声を聞く諮問委員会の世代毎に行われるグループディスカッションの様子をみせる話。
30代の4名の一般人と司会者の弁護士1名で、月に1度全3回会議室で行われるディスカッションの様子をみせるワンシチュエーションのつくり。
劇としてはかなり茶葉ではあるものの実際の事件や事故をもとにした事例を示したりしながら、賛成か反対か、白熱した議論が繰り広げられていく様子はとても面白い。
ただ、確かに世界的に見たら信仰を基にした主張が圧倒的多数なんだろうけれど…個人的には、天国とか地獄とかお花畑なこと言ってるなぁと。
それに事故や過剰防衛の末の傷害致死と殺人を一緒くたにされてもねぇと。
映画としては結論を出そうとしたらそうなるんだろうけれど、急にキレイごとに偏った主張に舵を切っている様な感じがして、それならばその前で終わらせてくれた方が余程良かった気がする。
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