パラダイス 半島のレビュー・感想・評価
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お金取れるレベルではない
何を描きたいのだろう、無垢の友情?
30過ぎた大人がこの判断力ではお話にならない。意味不明のシーンや無駄な長回し。見て損しました。評価しないと投稿できないので、取りあえず☆半分ですが、映画ファンに無駄なお金を使わせないための投稿です。
パラダイス/スローライフと/生まれた句
終盤まで、何も起こらない。
畑仕事をして、食事をして、麦茶(酒ですらない)を飲んで、駄弁って、寝る。繰り返し。
そんな生活に、時たま『逃亡中』という言葉が過ぎる。
真英の休養はまだしも、残り二人の背景については何も語られない。
東京の実家住まいの夕起が、期限も決めずに何もない田舎に泊まりにくるのは闇を感じます。
最初は「変な人」と言っていた竜に、「一緒に逃げてもいい」という理由も分からないし…
竜も、「良い人だった」と語る先輩を突き落とした理由は明かされない。
「何で俺が」とか「またここに来てもいいだろ」とかも相まって、一気にサイコパスにしか見えなくなった。
真英も、夕起がテーブルに足乗せたり竜を呼び捨てにするの注意しないし、どっかおかしいんだよなぁ。
真英が俳優に復帰したかどうかは不明だが、一句できたことが唯一前向きな要素か。
(竜の告白と自首、夕起の一人暮らしも?)
ほぼ三人しか出ない割に、心情や背景が読み取りづらく、受け取り方が分からない。
ただ、スローライフ感のあるゆったりした時間の雰囲気はよかった。
屋外で急に日が翳るような色彩の変化も素晴らしかったが、あれは偶然だろうか。
雨音の響きが耳に残る。リアルな温度感を持つ映画。
雨音の響きが耳に残る。いままさにどこかで起きていることのような温度感を持つ映画。
主人公真英も、姪の夕起も、竜も、みんなどこか足元がおぼつかないような不安定さと頼りなさを持っていて、お互いに寄りかかり合っている。いま私が生活しているのと同じ世界線の、さほど遠くないどこかで起きている出来事として捉えられるほど現実味を帯びた映画だった。
物語は、休養中の芸能人の真英と遊びに来ていた姪の夕起のもとに、事件を起こし逮捕勾留中のところ逃走してきた真英の友人・竜がやってくる、というもの。
印象的だったシーンがいくつもある。冒頭のトラックで真英が畑につくシーンでは、トラックの窓からタバコの煙がふわりと浮かぶのが見える。トラックを降りた真英が、まとわりつく虫を祓い、いつもそうしているように畑に入っていく姿が印象的だった。その後には空や畑など登場人物たちが生きる町の姿が短いカットでいくつか映し出される。それらはなにげない日常のはずなのに、とても魅力的に見えた。
夕起がヘルメットを被ったまま海辺の岩場を歩くシーンも印象的だ。ヘルメットを被った大きな頭を揺らして、不安定な足元の岩場をずんずん進んでいく。どこか滑稽で、可愛らしくて、ずっと見ていたくなるような目が離せなくなるシーンだった。
後半、トラックの中で真英と竜がタバコを吸うシーンも印象に残っている。タバコの火を分け合って、煙を吹かし話をする車内、窓に当たる雨音が強く響いていた。その時の会話以上に、並んだ2人の姿と雨音が強く耳に残っている。
本作品を通して、物語はもちろん、画の美しさに魅了された。何気ない日常、それでいてどこを切り取っても画になる美しい映画だった。
本作は、観ていてドキドキハラハラさせられるわけでもないし、大きな波があるわけでもない。確実にじっくりと流れる時間の中で、登場人物たちがとてもリアルにそこ存在している。演技か演技ではないのかわからないほどニュートラルな姿は、役者をとても魅力的に見せる。登場人物たちがそこに息づく温度を体感できるような魅力的な映画だった。
純文学そのもの…!
行間の多い、純文学的な短編小説をそのまま映像に映し出したような感じでした。
そういう小説を好んで読むため、個人的にはすごく好きなテイストです。
収まるべきところに収まっていないような、そんな違和感を抱きつつ過ごす日常は、客観的に見るとこんなにも異様に映るのかと、改めて認識させられた映画でした。
その日常は、不安定な世の中を生きる現代人そのもののようで、静かに深いところで共感できました。
また、演者の皆さまの演技がどうにもくせになり、何度でも観に行きたくなります。
中学生レベルの正義と優しさ
無実の罪で拘留中だったが逃走してしまった男と彼を匿った休業中の俳優とその姪の話。
祖父から受け継いだ伊豆の家で休養して1年、そろそろ復帰を考える有名俳優のもとに、逃走中の友人が助けを求めてやってきて巻き起こるストーリーだけど、…そもそも匿ったところで単なる先延ばし、助けるってそういうことか?それを求めるのは、そしてそれを受け入れるのは友人のすることか?と、なんの罪かは見えないけれど序盤から倫理観が無くて素直に入ってこない。
いくら無実の罪だって、認めてしまって起訴されたのなら助けるということは無実を立証する手助けをすることでしょうが。
そして現れた姪っ子の発言も中学生ですか?
そんな状況をうだうだ過ごし、ニュースで事件のあらましを知って、なおさら何だそれ?なリアクション。
無実か事実かなんてここではどうでも良いことだしね。
そして更にうだうだからの自分のことしか考えていない友人の発言に説教をする訳でもないし、姪っ子はこの経験をしての成長らしきものも無し。
なんすかこれ?ちょっといくら何でも浅過ぎ、というか超上っ面じゃないっすか?
甘やかし馴れ合うのが優しさとか勘違いも甚だしくて、もっと上手く書けなかったのかね。
はみ出してしまった人たちへ
世間からはみ出してしまったかも、と感じている人にぜひ見て欲しい作品です。
過去に多忙な仕事に限界を感じ、突発的に辞職してしまったことがあります。その後私を待っていたのは、自由な日々ではなく焦燥・孤独・迷いでした。
真英や夕起もそうだったのかな?と思いました。自分がしたいことは何となく分かっている。でもそれを絶対にやりたいという訳ではないし、正しいかも分からない。半島で過ごすことによって、体は元気になっても心の方はどうなのか。希望に満ち溢れている人にとっての『時間』はありがたいものですが、心が元気でない人にとっての『暇』は意外と怖いものです。
そんな状況で2人の背中を押したのが、竜の存在だったのではないかと。最終的に背中を押された理由は決して良いことではなかったですが、真英が拙くても俳句を書くことができたこと、それを夕起と笑い飛ばすことができたことが全てなのかなと思います。
真英が島を出た際にいなくなり、真英が島に戻ってきた今になって帰って来たロンの存在が、真英にとっての人生の筋みたいなものを表しているのかなとも思いました(ロン役の犬の本名がリュウだったのももしかして?)。
話が少しズレますが、夕起という名前もとても良いですよね。朝に起きて行動できなくても、夕方に起きて動き出しても良い。この夕起という名前そのものも、朝に起きられなかった=世間からはみ出してしまった私たちの背中を押してくれている気がします。
さらに話は変わりますが、真英の人の良さも心に沁みました。言動に愛情が滲み出ていて、身の回りで家族を含めあんな風に接することができる相手がどれだけいるだろうと。夕起と竜もそんな真英がいるからここに来てしまうのだろうなと思いました。そんな3人の関係性は通常なかなか手に入るものではなく、見ていてとてもうらやましい気持ちになりました。竜に対しては様々な疑問がありますが、夕起と逃げることをせずに最後に2人へ真実を告げることができたこと、そこに半島での3人の生活の意味を感じました。いつかまた、ここで3人が再会する日もあるのではないかと思いました。
まだまだ自分の中で消化できていないことがたくさんあるので、もう一度見たいと思います。
最後に、稲葉監督は本当にメインキャスト3人のことが大好きなんだなと思いました(笑) 私は染谷さんのファンですが、ファンがこんな染谷さん見てみたいなと思っていたところをたくさん見せてくださって、きっとそれは立川さんや吉田さんのファンもそれぞれ同じ気持ちになったのではないかなと。とても監督のキャストへの愛を感じる作品でした。
何年も経った後にまた観てみたい作品
劇的なシーンも衝撃的などんでん返しもない、でも「何かが引っかかる違和感」のある、独特な映画だった。
夏の最中の半島で登場人物たちが繰り返す静かな日々を、どこか寂しく穏やかに切り取ったような映像が多かったように思う。一方で、半島の外からやって来る人達や、冤罪を巡る不穏な空気も混ざることで、主人公たち3人の生活が実世界から切り離されたもののようにも感じられた。また、多くの事が語られないまま終わることで、映像には映らなかったが、登場人物それぞれが抱えている余白の部分について考えさせられた。そういった雰囲気が映画を観た後の私の日常にすっと溶け込み、何故か心を穏やかにさせてくれるような、不思議な感覚になった。この作品でしか醸し出せない、ふとした瞬間に欲しくなるような、綺麗な世界観を味わえた。主演の染谷俊之さん始め出演された俳優の方々と稲葉監督の双方で作り上げて下さった素晴らしい世界観だと思う。
この作品から決定的にこれだ、という何らかのメッセージを受け取ったわけではないが、だからこそ、誰がいつ、どのような状況で観たのかによってそれぞれの受け取り方が出来ると思う。既に2回観たのだが、このレビューを書きながら、また観たくなっている。今回観たときに感じたことが、数年後にはどう変わっているのか知りたいとも思う。DVD化希望...!
シンプルさが良い
BGMがほとんどなかったり台詞の一つ一つも長すぎなかったり、余分な物が全くなかったからこそ、作られた映画を観ているというよりも自分もその場にいて目の前で起きていることを観ているような感覚になった。
急に展開が変わったり大きなアクシデントが起こったりすることはないけど、話の構成がシンプルな分、登場人物の感情とか台詞の一つ一つとかに集中できて良かった。
要らないものは全部削って役者さんの演技と自然の音で成り立っていた。シンプルすぎるくらいだけどこの映画はこれで良いしこれが良いんだと思う。
夏のモラトリウム
どのシーンを切り取っても染谷俊之さんが絵になりすぎるので最高。
現実と非現実の狭間にいるような、不安定だけれどどこか夢心地な世界に入り込める映画でした。
彼らの行く末を考えたり、今の自分の状況にリンクさせてノスタルジーを感じたり、様々な余白があるからこそ自由に想像してよい作品だと思いました。
この映画では極力表現をしない、という趣旨でのお芝居であることを一番感じられたのは、染谷さんの眼の演技でした。
その眼で、怒り、哀しみ、喜びさまざまな感情の機微を露にできる彼の表現力に何度も心を奪われてきましたが、この映画では、あえて表現しない余白が見て取れました。
真英の眼の奥にある感情は見るたびに形を変えて見える。そこに想像の余地があり何度見ても味わい深さがある。
一回だけじゃ足りない作品です
ざっくりと言うと一回だけ見て足りない作品です。
毎回見てまた新しい感想と発見がどんどん出てくる物語です。
そんなに複雑な設定とかではありませんが、
主人公と友人と主人公の姪っ子、三人の短い共同生活、
その中の触れ合い、それぞれ抱えてる気持ち、心境の変化など、
毎回見て、「もしかして」「なるほどそういうことか」
自分の観劇のとき遭ったことや気持ちによって、
感想がまた変わったりします。
自分は染谷俊之さんのファンなので、ファン目線から言うと、
畑仕事をしている染谷さん、洗面所にいる染谷さん、
キッチンにいる染谷さん、車の運転やタバコなど、
普段舞台劇では見られない染谷さんを存分楽しめます。
落語家の立川かしめの初映画出演、普段と違うイメージもかなり新鮮な感じです。
吉田さんの体幹は綺麗だと共演者さんたちや監督さんも一致好評。
座っている姿や歩いている姿も見どころです。
ベテランの藤田朋子さんの存在感と自然な演技も。
是非音響設備が整えてる、座り心地いい映画館で楽しんでください。
伊豆の風景と3人のお芝居の魅力がすごい
ほんとうに魅力的な映画。伊豆のまちのロケーションも、監督の実家という家のロケーションも、本当の意味での当て書きで書かれた(監督が主要登場人物3人のお芝居や落語を何度も見て書いたという)丁寧な脚本も、3人のお芝居も、それを映す映像も、もうマジ混ざり合ってここにしかないすばらしい映像の物語を立ち上げている。佳作。
三人のバランスが絶妙な味噌汁映画
今回稲葉監督の作品を初めて観ました。
悪く言えば起伏の少ない薄味な、しかし登場人物それぞれの思いや感情がしっかり香る“お出汁”の味わいに近いものを感じました。
真英、竜、夕起の3人が三者三様に人生の踊り場にいるような時間をともに過ごす様子を描いた本作。この3人のバランスが絶妙で、本当にそこで過ごしている人の映像を切り取っているよう。それは環境音以外のBGMが殆ど使われていないことや、各シーンの余韻の使い方にも起因しています。まるで一緒に過ごしているみたい。
昨今流行りの大どんでん返しや伏線回収など、そういった醍醐味はないですが深く染み渡るお味噌汁のような映画でした。オススメです。
此処から先、ほんの少しだけネタバレの要素を含むのでお気をつけを…。
あのアフレコのシーンは台本あるんですかね…?お三方のキャイキャイなトークがとても素敵でした。もっと聞きたかったなぁ。
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