「息が詰まるような閉塞と肌にまとわりつくようなじっとりした湿気が封じ込められたかのような映像が圧倒的な作品」ラ・ハウリア よねさんの映画レビュー(感想・評価)
息が詰まるような閉塞と肌にまとわりつくようなじっとりした湿気が封じ込められたかのような映像が圧倒的な作品
コロンビアのとある村の少年エリウが主人公。彼は兄貴分のモノと一緒に殺人を犯して遺体を山中に隠すがその遺体は見つからない。逮捕されたエリウは森の中にある更生施設に送られるがそこは武装した男達に監視されて肉体労働や怪しげなセラピーが強制される施設だった。エリウは黙々と作業に従事するがそんなある日別の施設に収容されていたモノが移送されてきたことから施設内の空気が一変する。
カルト宗教施設のような禍々しい空気が充満した環境は一見統制が取れているかのように見えるが、その少年達と刑務官達の胸の内には怒りと絶望がぐつぐつと煮えたぎっていて、ボス猿のような存在のモノが群れに放り込まれたことでギリギリ保たれていた均衡が崩れていく様には絶望的な悲壮が漂います。終幕にかすかな希望が宿ってはいますが、息が詰まるような閉塞と肌にまとわりつくようなじっとりした湿気が封じ込められたかのような映像が圧倒的な作品でした。
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