「不器用だけれど、志を貫き通すカッコよさ」アイアム・ア・コメディアン sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
不器用だけれど、志を貫き通すカッコよさ
元々、ウーマンラッシュアワーのネタが好きだったし、THE MANZAIで年に一度しか見られなくなっても、それを楽しみに待っていた一人でもあった。渡米して、英語でネタをやり、地道に活動場所を広げていることもXなどで追いかけてもいた。だから、4ヶ月ぶりに映画館に足を向ける最初の一本に、迷わずこの作品を選んだのだが、こっちの期待と想像をはるかに超えてくる作品だった。
村本は、わざわざネトウヨたちの神経を逆撫でさせたくて、彼らが忌み嫌うネタを取り上げている訳ではないことは映画をみているとすぐにわかる。自分の興味があることや疑問に思うことに対して、とことん納得したいだけなのだ。だから、彼はすぐに行動を起こし、現地に行って自分の疑問をぶつけ、相手の言葉を聞いて更に考える。この村本の対話的な姿勢の自然さに対して、取り上げている対象の気に入らなさだけで、高圧的な力で潰しにかかる冷笑系ネトウヨたちや、触らぬ神に祟りなしとばかりに距離をとるテレビ局などの歪さが、逆に浮き彫りになっているところがよい。
(余談だが、奇しくも、この作品の予告編で流れたのは、都知事選に出馬した石丸を追った映画で、村本の対話とは真逆な、対立を煽る石丸の映画ももうすぐ公開というのも時代の空気を表しているなぁと思った次第)
今作の中で、村本は「お笑いは世界一強い」という言葉を語る場面があるが、その信念がまっすぐに伝わってくるのは、最後のライブシーン。とにかく観て、村本の、不器用だけれど、志を貫き通すカッコよさに触れて欲しい。ドキュメンタリーとして、間違いのない傑作。
本当におっしゃる通りと思います。
ひねくれ者で嫌われ者という「色眼鏡」が真実を曇らせる。逃げてるように見えた男は、実は誰よりも立ち向かう男であった。何も分かってなかったのはこっちじゃないか!と思わずにはいられませんでした。
予告編で石丸さん映画が流れるのは何という皮肉(笑)
その対比は強烈ですね。