フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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芸術家とエンジニアの天才の子
相反する才能を持った2人から生まれたのがスピルバーグなんだね。
ママの芸術家っぽい奔放さは美大に行ってたからめたくそわかるし、浮気といえど好きな相手への想いを隠し通すことはできないってのもわかるし、いや、むしろ子供のためによく隠してたよ、頑張った。だが、この頃からフリーマリッジの概念があればねぇ。
芸術家の心と体を縛るのは無理よ。無理。
自叙伝とはいえ、少々ダルい。
スピルバーグの優しさの秘密
気付き
映画「地上最大のショウ」をきっかけに、映画作りに熱中する少年サミー・フェイブルマン。よき理解者でピアニストの母ミッツィと、科学者で引っ越しが多くなってしまう父バート、妹二人と暮らす。サミーが撮った家族キャンプの映像で、彼は気付いてしまう。
スピルバーグ監督の自伝的作品。後の伏線になっていない、細かいエピソードがリアルです。いかに映画が好きで、どう関わってきたかという物語が中心、と思っていたので意外な内容でした。両親への切ない思いが軸です。確かにベニーおじさんは、楽しくて良い人なんだよな。自分をいじめたローガンに対する逆説的な編集映像は、なんとなく理解できそう。嫌な奴だけど、スポーツができて女にもてる彼に憧れもあるんだな。
いろんなものがパッツパツに詰まっている
つまりすぎているので何の映画と言いづらい。
とりあえず若いというより幼い映画監督の閃きが凄くて感心してしまう。しかし同時にやはりそうなのかぁとも思ってしまう。
それより家族や学校の方の物語の方が驚いた。
それなのにエンディングが良い。ネタバレになるけどそれ以上に描かれている内容を文字の起こすのが大変なので詳細は述べないが、良いのだ。
巨匠の青春を覗けたお得感と、だからこその非エンタメ感
スピルバーグの自伝的作品なので、映画にどう目覚め、どうやって凄腕監督になったのか、語られる気がしていた。しかし本作の見処は、両親や級友やガールフレンドとの関係。ただし、その顛末は娯楽作品としてはスッキリしない。自分が子供なら、母の振る舞いは理解できないし、かなり大人にならなきゃ赦せもしない。作品鑑賞後の予想外ないじめっ子の反応も、そっち側の気持ちなんて、なーんとなくしか理解できない。ガールフレンドも、もの凄くいがちなコではあるが、エンタメとしてはドラマチックじゃなさ過ぎる。正直、スピルバーグの実話ベースでなければ、出来がいい青春映画とは思えない。ただ実際の人生は、教訓や共感を与えるように、シナリオライターが手を加えた作り物じゃない。伏線も回収も、誰も用意しない。だがそれだからこそ、巨匠の本当の青春が垣間見えた気がするお得感はある。また途中まで、普通のお父さん像がハマりすぎていて、ポール・ダノだと気付けなかった。しかし気付いてからは、彼のなりきり力に目を奪われた。
人生ままならぬけれど
Amazon Prime Videoで鑑賞(字幕,レンタル)
スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品と云うだけでとても興味を掻き立てられましたが、いじめっ子との和解エピソードは良かったものの、親子関係のストーリーなど、「だからなんなの?」と云う感じであまり刺さりませんでした。
私の人生経験が足りないせいかもしれませんが…
人生ままならぬこともあるけれど、それら全てをひとつの経験として映画に反映させ、素晴らしい作品に昇華して来たスピルバーグ監督の原点を知れただけで良しとしたい。ジョン・フォード監督に言葉を掛けてもらっていたなんてすご過ぎる。
映画への想いが胸アツ
5~60年代の雰囲気は本当におしゃれで、どのような設定でもストーリーを効果的に盛り立てる。
本作も様々な地域が舞台になったが、どこでもそれぞれの良さがきれいに映えていた。
アリゾナの砂漠感もすごく良かったが、個人的にはやはり何だかんだカリフォルニアのスクールライフの青春感が一番印象的だった。シニアスキップデーの甘酸っぱさもウキウキしたし、夕方のロッカールームでのいざこざも独特の映像美を感じた。
全体を通して、ストーリーは特筆するところはなかったが、映画への熱い想いと景色の撮り方はすごく心に刺さったし、そして何より地味ながらもお父さんの耐え忍ぶ家族愛は何だかんだ一番心に染みたかも知れない。
期待通りとはいかず決め手にかけた作品ではあったが、上映時間150分もあっという間に感じるエンターテイメント作品であったことは間違いない。
まさにウマ男
落語か?落語なのか?
母が父に内緒で映画を応援してくれたことが後で別の秘密の共有につながるとか…そういう語り口のうまさ、もはや落語じゃん、ていう。
なので面白さより僅差でうまさが勝つ(もちろん面白い)。
そりゃ本人が撮ってるんだから、のちの名監督のアマチュア時代、とかいう絶妙にむずかしい芸術内芸術問題もぬるっと解決でしょうよ。
普通こういうのって、後から別の監督が撮って文句言われたりするものでしょ…? そこをご本人登場って微妙にズルくない?自分はともかく、両親のことを描きたかったんでしょうけど。
あと例の有名なエピソードがまさか映画で観られるとは。あの終わり、「ウマい!」しか感想なくないですか…?
映画探偵フェイブルマン、彼のフィルムはあらゆる嘘を暴くのだ!と脳内番組が始まるくらい筋金入りのフィルム人間、つまりウマ男なんだけど、才能があるぶん、下手すると誰かの人生を破壊しかねない、端的に暴力だってことなんだろう。
「人には言わない。秘密だよ」と言いながらレンズを向けるスピルバーグ…。彼はユダヤ人だけど、なんなら彼の神より多くの人を劇場に呼び集めることができる。
かつて流浪の民だったユダヤ系は便宜上つけたために意味のわかる苗字が多いと聞いたことがあって、Fabelは寓話…タイトルまでウマいとか。
あと映画での扱いに傷ついた彼と、そうとも知らずに結ばれた彼女。2人の行く末を考えると…怖い。
夢のある、ファンタジーのようだけど現実
2023 100本目
人生をかけて情熱をそそげるものに出会ってしまった者たちの、喜びと葛藤の物語
フェイブルマン一家の長男サムを中心に描かれますが、物語の核は父母でしょう。
サム視点で描かれたことで、どこかぼんやりとインパクトのない作品になっている印象です。
才あるピアニストだったけれど家庭に入った母ミッツィ。
社会背景や親の影響もあったでしょうけれど、夫を慕う心から家庭を優先させました。
優秀なエンジニアの父バート。
子だくさんの家庭を支える甲斐性があり、ピアニストであるミッツィの一番のファンです。
作中ではミッツィを芸術家代表のように、常識にとらわれない無茶苦茶な人物のように描写しますが、バートも相当なものです。
自身のアイデアを実現するためにキャリアアップを突き進み、ユダヤ人差別の強い地区へ家族を連れていくことも躊躇いません。
そんな父母の子サムは映画と出会い、映画づくりにのめり込んでいきます。
映画づくりに明け暮れるあまり、親族の死を悲しむこともないサムの言動に、家族もサム自身も動揺します。
ミッツィ、バート、サムは、それぞれが人生をかけて情熱をそそげるものに出会ってしまったがために、苦悩を抱えます。
人生をかけるものと大切な家族への愛情、どちらも生半可にはできないために、どちらかを選ばなければならないときがやってくるのです。
最後のあのシーンはズルい、面白いけどズルいよ!
列車のクラッシュに夢中になって映画製作を始めてしまう幼児スピルバーグ、芸術を目指す人間に呪いのような言葉を残していなくなる悪魔みたいな大叔父さん、カメラが映す虚像に気づいて自己崩壊するイジメっ子、いやあ、どれも本当に素晴らしいシーンだった! のだけれど、それに匹敵するだけの面白いエピソードが思春期以降の主人公にないのは、おそらくカメラを覗く傍観者としての性質を表しているのだとは思う。その分、両親をはじめ周辺のキャラクターが物語的な面白さを牽引する映画になっている。
それでもなお、従来のスピルバーグならば偏執的なくらいにどのシーンも面白く見せようとした気がしてならず、今回は自伝ということで、照れが出たのか自分をネタに面白くみせるのを怠ってしまったのではないか。もちろん映像の凝りようはいつものスピルバーグで、前述した飛び抜けたシーン以外では、ドラマよりも撮り方が突出してしまっているように思った。伝説の監督2人が二人羽織みたいになるあの最後のシーンは、もはや飲み屋で聞いても絶対に同じくらい盛り上がるであろう鉄板ネタであり、豪華なオマケをもらった感。あの唐突さはズルい。ズルいよ。
地平線はどこだ!?
かの名監督、スティーブン・スピルバーグ氏の映画監督になるまでの体験を描いた自伝作品。
映画好きのワタクシですが、ほとんど監督や役者で観る作品を選ぶことは無く…それでもスピルバーグ監督と言えば!と思い、遅ればせながら本作も鑑賞。
鑑賞前は、往年の名作たち誕生の物語や逸話などが描かれるのかと思いきや、映画監督になるまでの、いわば誰も知らない頃の日々が描かれたドラマ作品といった感じでしたね。
なので特段、スピルバーグの物語ッ‼…って印象も無く、本当に一人の少年が夢に向かう普通の(?)話といった所でしょうか。
それ故、特にこれといった波や見せ場といったものはなく、テンションがぶちあがるような描写も無いが、それでも2時間半の長尺を飽きずに観ていられるのは名監督のマジックですね。
ラストシーンはちょっと感動。ここで終わるの!?とも思ったが、まさに新しい物語の始まりって感じ。
そして面白かったのは彼女さん。可愛いし積極的なのは良いが、降臨だとか口から魂云々とか言われたら…たとえ好きでもワタクシだったらダッシュで逃げちゃいますねw
そしてプロムの上映会はしてやったり(?)なのでしょうか。こどもたちの人間模様も複雑ですね。
そんなこんなで、コミカルなシーンもありつつ、身勝手な親や優しい妹たちとの家族物語でもあり、なかなか面白かった。
ちなみにワタクシ、今まで観た映画の中で一番好きなのが子供の頃に観たプライベートライアンなのです。未だにこれを超える作品が見つからず…とにかく名作ですよね。
本作の中でも戦争映画を作りたがるサミーの姿が描かれていましたが、学生時代に戦争作品を作り…そのゴールが本当の監督になって作り上げたプライベートライアンなのかなぁ~なんて思ったりして、勝手に一人でアツくなってしまいました。
これからも名作の誕生に期待です‼
気になるが、結局なんなのか?
自伝映画のお手本
芸術は痛みを伴う
スピルバーグの自伝映画。
小さい頃から才能があったのは予想通りだった。
母親の才能を受け継いだのか〜。
でも誰もが思い描くような、こんな努力をしてのし上がった〜とか、環境に恵まれてて華々しくて理想的な人生〜とかいう訳ではなかった。
現実は映画通りじゃないと思うけど、なんか上品な作品に感じたからよかった。
ごく普通(ちょっといいとこの子?)の日常で、でも父親からの理解が得られなかったり、母親の裏切りがあったり、ユダヤ人だからと差別を受けてしまったり。
ただ、そんな関わり合う人たち、家族、友人、恋人といった身近な人たちのひとつひとつの言葉や思いが、本人の中で積み重なって、映画に対する抑えられない情熱が膨らんで、夢へ一歩ずつ近づけてくれるのだと思った。
人生の中で何度躓くことがあっても悲観的になることなく、今をひたすら生きているって感じ。
辛いことをされても、すれ違っても、愛する家族だからどうしても憎めない。
そう、全ての出来事には意味がある。
それが映画に活かされていると思うと...深い!
映画は大事なものを壊すし痛みを伴う。
情熱は痛みを吸収しながら大きくなっていくのかな。
派手な自伝映画ではないけど、映画監督になるべくしてなったんだな〜と思った。
最後のシーンで、これから彼の映画人生の始まりを感じてワクワクした!
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