フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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寓話男
スピルバーグが家族ドラマを撮るのは初めてじゃないかな。 彼の良さは活劇の演出のうまさにあると思うので、本作で彼の良さが出ているとは思わないけど、巨匠らしく手堅く決めている。誰でも楽しめる良作。 ラストシーンで、顔に口紅付けたあの人が、ガーガー大声で訳の分からない台詞を言うシーンが面白い。エンドクレジットで、あの人が演じてたのかと分かってニンマリ。 西欧人の苗字は職業に由来することが多いけど、彼の苗字はfable man(寓話男)。物語を紡ぐ人。高校ででいじめられるシーンで、わざと名前を違って言うのにも意味がある。
出来事には全て意味がある
世界で最も愛される映画監督がその半生から教えてくれるストーリーを選び取ること。 ストリーミングサービスの台頭で劇場体験はもとより"映画の魔法"が消えつつある昨今の映画界を取り巻く流れだからこそ。Netflixオリジナル映画などが賞レースを賑わせ始めた当初、「映画じゃない」という旨の発言が取り沙汰されていたスピルバーグ。 そりゃ映画一本一本、鑑賞一回一回の重みがまるで違って特別だった昔を懐かしんで…。見た目は大人でも心は映画少年のままなスピルバーグ御大=フェイブルマン少年の半自伝的ドラマは流石に見応えがあった映画の力と家族のルーツ。芸術ジャンキーについて説く伯父→編集→演出の流れで完璧にやられた、心掴まれた。胸引き裂かれるような映画はいつだって"地上最大のショウ"だ! 科学 vs 芸術?サミーじゃなくてサムの母親譲りな性格(頑固&芸術好き)。自分でコントロールできるもの"衝突"を追い求めて、ジョン・フォードなど偉大なる先人たちが映画に魅せられて…。プロム辺りからはサムがスピルバーグに見えて仕方なかった。地平線が下にあれば面白い絵になる。地平線が上にあっても面白い絵になる。地平線が真ん中にあると死ぬほどつまらん。こちらこそ。最後の最後まで初心忘れない映画少年っぷりにニヤリ! P.S. だからスピルバーグが、『トップガンマーヴェリック』はじめ映画の可能性と限界を追い続ける寝ても覚めても映画製作夢中男トム・クルーズを、戦友として「君が映画を救った」とハグするのも無理のない話なのだ。 ※晩年自伝でも書くようにある種集大成的な本作を作ってもスピルバーグは引退しません。何より芸術ジャンキーなので!(ex. 宮崎駿?) 勝手に関連作品『ワイルドライフ』『Boyhood 6才のボクが大人になるまで』
主人公と父親の話。
フェイブルマンズは出自を顕わす家名だけど、主人公と父親の話だと思った。
導入からキャンプまでのテンポがいったんカメラを置くタイミングからスローになる。
ストーリーが母親のエピソードに引っ張られるけど、彼女は西海岸には戻らない話の方が良かったじゃないかな?父親は凄い人なんだけど、エピソードが少なすぎて消化不良だった。
ファン以外にはウケない?
スピルバーグが自身のルーツとなる体験を描いた自伝的作品。タイトルは主人公の姓由来である。 ぼくは『ジョーズ』を劇場公開時(10歳?)に鑑賞して以来のファンなので絶対に見逃せない作品だと思ったが、他の人にはそうでもなかったらしく、300人以上入る劇場には1桁の観客しかいなかった。 あくまでも“自伝的作品”なので、描かれていることがすべて真実だとは思わない。それでも彼の映画への熱い思いは伝わってくる。前半と後半で明らかにトーンが変わり、楽しいばかりの内容ではないのだがそれもまたいい。 残念なのは、創作上の秘密のようなものは冒頭の激突以外は感じられなかったこと。あの映画のあのシーンはこんなことが基になっていたんだというのがあればもっとよかった。気付かなかっただけかもしれないけど(^^;)。
まさかの「あの人」が・・・!
「インターステラー」の「あの人」に匹敵する驚きでした。未見の方にはサッパリだと思うので伏せますが、まぁ「あの人」ぐらいしか「あの人」は演じられないだろうなぁと思いました(笑)。派手さはありませんが、とても温かい映画でした。初日に観られて良かったです。ミシェル・ウィリアムズの演技は特に素晴らしいですね。それ以外の役者さんたちも素敵でしたし、アホな学友たちにも笑わせてもらいました。
やっぱりスピルバーグは上手い。でも、この映画を観た人にはスピルバーグの他の映画の前にジョン・フォードの映画を観て欲しいな、映画好きなら。
①基本的には映画への愛が根底にあるのだが、カメラ(映画)の怖さもさりげなく描いているのが、この映画を重層的なものにしている。 ②カメラがそのまま映し出す残酷な現実、その現実を隠せる編集、フォーカスしたりスローモーションにしたり等の技術で作り出せる偶像等、映画の陰の面もありのまま描くところに数十年間映画を撮り続けてきたスピルバーグの監督としての歴史と矜持とを見る思いがする。 ③ホンの1分ほどでサムの父親の口を借りて映画とは技術的にどういうものか(連続撮影されたフィルムをスクリーンに投影したもの)を簡略に説明する冒頭から巧い。その後も随所で映画に関する技術的な説明がされるが、一方、「芸術(映画)と家族(私生活)」に引き裂かれる芸術家(映画監督)としての苦悩・葛藤・覚悟も、ジャド・ハーシュの叔父さんの台詞やピアニストになる夢を諦めて主婦になった母親の姿等を通して描かれる。 この映画は自分の人生に実際にあった出来事を描いたのではなく「記憶」を描いたとスピルバーグは言っているが、スピルバーグ自身が監督人生を送る中で味わった様々な心情を反映させていることは間違いないだろう。 ④母親役のミッシェル・ウィリアムズは相変わらず巧い。というか、サムの肩を押すのはいつも彼女であり、大人の世界の複雑さを彼に教えることになったのも彼女である。 そして、家族の中でサムが母親に一番似ていると真実をついたのはすぐ下の妹。家族ってお互いをよく見ているし、遠慮なく言えるのも家族ならでは。 そう、これは映画の話でありサムの映画監督への道のりの物語であると共に家族の物語でもあるのだ(『The Fablemans(フェイブルマン家)』という題名がそれを語っている)。 ⑤サムとその姉妹たち、サムの青春時代と子供たちに日々を描くと共に、大人たち(父親と母親とベニー)のあわいな三角関係の有り様を描くところにもスピルバーグの巧さが現れている。 ⑥ポール・ダノも、いつものややエキセントリックな役ではなく、アメリカの中流階級の知的で勤勉で家族思いの普通のお父さんを実に自然に演じている。 終盤、サムに届いた母親からの写真を見た(サムは気付かなかったので見せてしまったが、妊娠していることが見てとれる)時の、様々な感情が浮かぶ何とも云えぬ表情(顔面演技)が素晴らしい。 ⑦映画のラスト、撮影所を訪れたサムが思わぬ巡り合わせでジョン・フォードのオフィスに通されるシーン。 見回す壁には『駅馬車』『わが谷は緑なりき』(大好きな映画!)『男の敵』『捜索者』『三人の名付け親』『静かなる男』『リバティ・バランスを射った男』(ここでも登場)のポスターがズラッと並んでいるオールド映画ファンには夢の一時(ひととき)。 ジョン・フォードを誰が演じているのかと思えば、デビット・リンチだったんですね。映画史上の名監督であり大先輩を嬉々として献じているのが見ていて楽しい。 ⑧最後、撮影所の中を未来に向かって歩いていくサムの後ろ姿が爽やかな余韻を残す。
終わり方がズルすぎる
正直、なんかそんなおもろくもないし、それでも安定した作りとか演出でそれなりにドラマとして見ることはできるかな・・・偉そうにもそう思いつつ、まぁ巨匠が作り上げる作品の所以は垣間見ることはできるのかなーなんて半ば学びのつもりで眺めていました。それなりに長いし・・・。でも最後、ずるいなーなんて─、思わず爆笑です。そしてあの言い放った事は、昔の監督のものなのか今の監督のものなのか、はたまた巨匠が考え出したことなのか分かりませんが、いずれの可能性も感じる素晴らしい台詞であり、あれだけでももうこの映画の価値はマックスに達している印象でした。最後のご褒美を味わうために頑張って観賞してください。
光と影
わかる!全員の胸が張り裂けそうな気持ちは、わかりすぎるくらいわかる!ただ、それでも、敢えて言おう身勝手であると。
どーせ苦しい人生なら、強く生きるしかない。そして、胸が躍る生き方を選ぼう。
こういうのが、行間という物だと思う。なんでもあけすけにすればいいという物ではない。グレーでいいのだ。解釈の余地を残して、真を伝える。私の好きな感じだった。
しかし、あのキリスト教徒の描き方ww
お母さんを愛し家族を愛し自分も含めて赦せたのかな。あの小躍りのシーンは素敵で、明日に続く希望のある良い終わり方でした。
少年の未来を信じた家族の物語
成長期の少年と、それを支えた続けた家族。 家の中では太陽のように明るいママ 時に、月のように透き通ったママを 「ママは泣かさない」と守る少年。 一方、映画へのアイディアは少年を熱狂させた。 「あれはETの場面だ」と思うシーン。 また少年の演出に一変、涙する俳優役のシーン。 キャメラを覗き込み走り回る少年の姿に見た未来。 しかし、少年は悩んで、悩んで、すごく悩んだ。 「映画は事実と違う」それは分かっている。 自分には才能はないのか?と全てを諦めかけた。 そして、あの人の言葉。 ぶっきらぼうだけど、その言葉は少年の心に光を与えた。 、、、終わりはあっという間 !! 「えぇ〜! もっと観たいのに」と心の中で叫んだ。 でも、この後の物語は、少年の未来は、 すでに世界中の誰もが知っている。 この映画の続き、何百倍もの映画の時間をくれた スティーブン・スピルバーグに感謝したい。 ※
【”寓話を語る男。”映画に魅入られた青年の半生を、彼を優しく育てる両親や父の友人、そして級友達との関りを通して人生の痛みや、映画の持つ力や魅力に青年が気付き、更に映画道を究める決意を描いた作品。】
ー ご存じの通り、"fable"は、寓話を意味する。
つまり、主人公、サム・フェイブルマンとは、”寓話を語る男”となる。
スピルバーグ監督の今作への想い入れが伝わって来るタイトルである。-
◆感想
・物語は幼きサム・フェイブルマンが有能なコンピューター技師である父(ポール・ダノ)と優しくピアノを弾く事を愛する母(ミシェル・ウィリアムズ)と3人で映画”地上最大のショー”を観に行くところから始まる。そして、サミーは、映画の中で列車と自動車が正面衝突するシーンを見て、家に帰ってからも”衝突ごっこ”にふける。
ー あのシーンは、どう考えてもスピルバーグ監督の初期傑作の「衝突」に繋がっていると思う。-
・映画に嵌ったサミーは、トイレット・ペーパーをフル活用して、妹たちにミイラ男に変身させる。そして、その姿をサミーは父の8ミリカメラで映して行くのである。
ー 今作では、常にサミーは映す側に立っている。-
■フェイブルマン一家には、常に父の親友ベニー(セス・ローゲン)がいる。そして、父が腕を買われてGEに会社を変わる時にも、妻の進言で、ベニーも一緒に付いてくる。そして、ある夏の日にサミーが何気なく撮っていたフィルムに映っていた母と、ベニーが親しそうにしている姿。
ベニーは家族にはそのシーンをカットして見せるが、徐々に母に反抗を始める。
そして、理由を問う母に、一本のフィルムを渡し、自分の衣装が掛かっている小さな部屋で母に見せる。
このシーンは、サミーの母に対する優しさと、遣る瀬無さが伝わって来て、胸に沁みる。又、母を演じたミシェル・ウィリアムズの”貴方が考えているような事はしていないのよ‥。”と涙ながらに訴える姿も。
母は、父を愛しながらも、ベニーにもプラトニックな想いを持っていた事が分かる。
だが、このことにより、父がIBMへ再び職を変えた際に、ベニーはついて来ないし、両親の関係もギクシャクし始め、離婚してしまうのである。
・サミーは、転校前の高校では、戦争映画なども、級友達を集めて取っている。
ー 彼が一人生き残った兵士役の青年に言った言葉。”部下が皆、殺されたんだ・・。その想いを映したい。”そして、青年は涙を流しながら、倒れた兵士たちの間を、ゆっくりと歩いて行くのである。彼の映画センスや、戦争に対する想いが表現されているのである。-
・サミーが慣れない土地で、ユダヤ人である事を級友ローガンやチャドに揶揄されるシーン。そんな彼は、高校の卒業記念映画を撮影する。
ー 海岸で燥ぐ級友たちの姿を映す様も、例えばカモメを取った後に、級友たちの顔にアイスを落とすシーンを入れたり、一工夫している。
そして、自分に嫌がらせをしたローガンが、砂浜でのリレーでトップでテープを切る様を撮ったりもする。そして、彼の映画がプロムで流された際に、ローガンとチャド(彼は記念映画では散々な様で映っている。)は、サミーを呼び出す。が、ローガンはチャドを殴りつけ、自分はロッカーに背を預けながら座り込み涙するのである。
サミーが映画でローガンに訴えたかった事。それは、人種差別はイケナイという事だったのである。サミーは心に痛みを覚えながらも、映画が持つ力にも気付いて行くのである。-
・サミーは大学生活に馴染めず、主にTV映画を製作する会社に、メデタク入社する。そこで、彼を待っていたのは・・。
ー ビックリしたなあ。「駅馬車」「怒りの葡萄」などのポスターが額に入れて飾られている部屋で待つようにと言われたサミーの前に現れたのは、ジョン・フォード監督であり、それを演じているのはデイヴィッド・リンチ監督である。
1900年代の前半から中盤のアメリカの大監督を、1970代から2000年代に掛け、カルト的な映画も含め数々の傑作を制作した監督に演じさせるとは・・。-
<今作は、御存じの通りスティーヴン・スピルバーグ監督の半生を描いた自伝的作品である。
そして、今作は幼き時に観た”地上最大のショー”で、映画に魅入られた少年が、青年期に映画製作を通して、人生の痛みや喜びを学んでいく様を、見事に描いた作品でもある。>
人並みではいられない
それぞれが幸せを願い それぞれが苦しくなる 辛く悲しい現実だけど決して悪いことじゃない 人の気持ちは誰にもわからない 自分でさえ何が正解なのかどんなに歳をとってもわかるはずない どこかで折り合いをつけてそれなりの理由を落とし所として生きていかなくちゃ 笑ったり泣いたりが多いほど人の心は豊かになると思う 読んだり見たり聞いたりしただけでは断片しか分からない だからこそもっともっと経験を重ねていきたくなるものです 美味しいと言われてラーメン屋へ行きますが まずいと人が言ってもそのラーメン屋へ私は行ってしまうのです いろんな経験をしたい、いろんな場所へ行きたい 彼のように映画は作らなくても経験をたくさんしたいのです。
"映画"を巡るある家族の日常
感想 現在の"巨匠"と呼ばれるに至るまでの半生を、鮮烈なサスペンスパートを取り込みつつ描いた、愛と抱擁の作品だった。 ・物語構成 スピルバーグ監督の半生を取り入れた自叙伝作品。幼少期に両親と映画を観た事で、映画の魅力に取り憑かれ、母親から貰ったカメラで日々自主制作映画を撮るサミー。ある日、カメラに映っていたある場面が家族の絆に亀裂を入れる...。といったあらすじ。 スピルバーグ監督が映画業界人になるまでの経過をフィクションの設定と物語ベースの中でも随所に感じられる細やかな脚本だった。特に親の視点主軸で進む本作は、無垢な少年と、仲の良い家族を形作る事に常に徹する親の視点の違いを描き分けられていると感じられた。 個人的には、幼少期の頃から本格的な映画づくりをしていて、家族やボーイスカウト、学校のプロムパーティなどの多人数の環境で披露して生活してきたという部分に現在の"巨匠"となる部分の片鱗を感じられて嬉しくなった。 意外だった要素にサスペンスパートがある。家族のある秘密に気づいてしまう、往年の昼ドラ的展開。この展開は予想していなかったので、素直に驚かされた。 この事実を知った後の家族への接し方についても、スピルバーグ映画らしさを感じられて感動した。 他にもユダヤ系出身である事に対する迫害についても、監督自身の経験から描かれていると思われるイジメ描写に生々しさを感じられた。 ・スピルバーグ印 スピルバーグ監督ならではの、美しい場面作りは今作で健在で観やすかった。 総評 スピルバーグ監督の原点を垣間見れる傑作。監督自身の物語としてだけではなく、観客も共感できるメッセージ性の強い物語に没入できた。
他の作品をもう一度見かえしたくなった。
劇中のサムの体験のひとつひとつがスピルバーグのの作品に影響を受けているのではないかと思えた映画でした。まだまだ話は続くので、ぜひ続編を期待したいです。
主人公のサミー少年が、両親に連れられて初めて映画館で映画と言うもの...
主人公のサミー少年が、両親に連れられて初めて映画館で映画と言うものを鑑賞し、衝撃を受け、その後の人生に大きな影響を与える様は、自分自身にも少し当てはまり、とてもワクワクしました。誰しも、人生で大きな影響を受けたであろう作品との出会いがあり、彼の衝動や、この上手く表現しがたい高揚する気持ちは共感できるのでは・・・? 物語は、いかにしてサミー少年が映画製作に人生を捧げるようになるか、家族との物語を中心に描かれており、特に芸術的センス面で非常に影響を受けた母親との描写は印象的。反対に、映画製作を単なる【趣味】と決めつけ、現代社会に無くてはならない、当時は最新鋭のモノづくりに多大な影響をもたらしたであろう父親との関係も印象的。 1960年代以降のアメリカ社会の描写にも、とてもワクワクさせられた作品でした。 それにしても、彼の映画製作のセンスは、あの時代のかなり幼い時期に既に確立されていることは、非常に興味深かったです。本作鑑賞後、改めて彼の代表作を観ると、新たな発見があるかもしれないと感じます。
想像してたのと違ったが、、、
試写会にて初めて視聴しましたが、生い立ちエピソードは短めで初監督作品から現代に至るまでのエピソードをメインだと勝手に思っていました、、、。 そしたスティーブンスピルバーグ監督の壮絶な家族関係に正直びっくりという言葉しか出て来ませんでしたが母をきっかけに今至ると思うととても考え深い作品だなと思いました。 続編を期待したいですがなさそうです、、、。
ひたすら映画愛を語る青春時代を描く作品かと思いきや、シリアスな家族...
ひたすら映画愛を語る青春時代を描く作品かと思いきや、シリアスな家族を描く作品でもあった。芸術を愛することができる人間とそうでない人間、それぞれの葛藤が痛いほど伝わってくる深みのある物語でした。ミシェル・ウイリアムズとポール・ダノが素晴らしい演技でした。落ち着いた色調も懐かしい感じで良かったのと、何と言ってもラストの大監督の登場に鳥肌が立って点が甘くなったかも。。
ノスタルジックで映画愛あふれる作品でした。どの登場人物の視点で観る...
ノスタルジックで映画愛あふれる作品でした。どの登場人物の視点で観るかによっても印象が変わってくると思います。それぞれ個性的な父母などキャスティングも良かったです。何といっても最後のあの大物役をあの監督にやらせるセンスにときめきました!
偉大な映画監督が少年だった頃
フェイブルマン家はユダヤ人の家系。戦後まもなく生まれたサムは家庭の都合で引っ越しをすることが多く、差別を受けることもあるが優秀な電気技師の父親のお陰で物質的には裕福だった。幼い頃に見た映画というものに惹かれすぐに見様見真似で映画作りを始めるサム。サムが監督し、妹や友達が演者、出来上がった作品はコミュニティ内で上映会をする。そんな充実した日々がやがて終わりを告げる……という、スピルバーグ監督の自伝的作品。 スピルバーグ監督、母と同世代で、物心ついたときには既に偉大な映画監督であったので「どんな少年時代を過ごしたのか?」など考えたこともなかった。母親から受け継いだ芸術的資質と、突然家族の形が変わってしまったことがスピルバーグ監督の優しくてファンタジックな作品として現れているのかなと思った。 齢70を過ぎても子供の頃の孤独や葛藤というのは消えないのかな。となんだか少し怖くもなったが、様々な経験が映画に生きているし、映画作りを通して昇華するしかない。そういう業の深さも感じて、スピルバーグ監督作品が好きな人は勿論、創作活動と日常生活とのバランスを見つめ直したい人にもオススメの作品です。 ところでガブリエルラベル、冴えないスティーヴロジャースみ(CGで縮んだくりえばみ)がありません?すごく気になってしまった……。
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