「良かった! 特にラスト5分の名シーンは鳥肌もの!!」フェイブルマンズ Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
良かった! 特にラスト5分の名シーンは鳥肌もの!!
スティーブン・スピルバーグ監督の幼少期から映画監督を目指すまでを描いた味わい深いドラマ
昔から映画雑誌などで語られてきた、スピルバーグ監督の辛かった家庭事情とピーターパン症候群、ユダヤ系として経験してきたいじめの実態を背景にしていながらも作品自体は暗くならず、爽やかでエネルギッシュ、最後はとても前向きな気分になれる後味がいい作品、"このストーリーを語らずにキャリアを終えることはできない"として撮った監督の想いがひしひしと伝わってくる味わい深い名作として完成されています
映画に詳しくなくても多くの人がスピルバーグ監督の代表作 「ジョーズ」「未知との遭遇」「インディ・ジョーンズ シリーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク シリーズ」といった映画史上に燦然と輝く名だたる作品群を知っていて、SFファンタジー/アドベンチャー色が強いため、そっち方面の監督と思われているかもしれませんが、本人としては人間ドラマで大成したいと思ってきた人、
本作はその原点に迫ると共に人を描きたかった監督の愛情あふれる演出に感嘆します
監督を投影したサムを力強く演じたガブリエル・ラベルさん、苦悩する母親を演じたミシェル・ウィリアムズさん、二人の熱演が印象的
特にサムが8㎜カメラのファインダーを覗きこむ姿にワクワクしました
そして個人的に一番好きなシーン
スピルバーグ監督が本格的に映画監督を目指すきっかけとなったエピソードが描かれるラスト、サムが出会うのは当時既に大巨匠だった「駅馬車」「リバティ・バランスを射った男」「捜索者」などで有名なジョン・フォード監督、アイパッチに葉巻を燻らしものすごい剣幕でまくし立て、構図について二言三言、助言する僅か数分のシーンですが、その熱量の凄いこと・・・
全身鳥肌ものだったのと、身体中に力が入り、まさに"息をのむ"とはこのことだなと実感しました
そのフォード監督を演じたのは「ブルー・ベルベット」「デューン/砂の惑星(1984年)」のデヴィッド・リンチ監督、本編中は誰か分かりませんでしたがエンドクレジットで判りました
今は亡き超大物監督を現代の超大物が圧巻の演技で魅せる最高に粋な演出、間違いなくスピルバーグ監督の新たなる代表作として語り継がれることでしょう
個人的には本作の後、TVドラマ映画「激突!」で注目され「続・激突! カージャック」で劇場用長編映画監督デビューし続けて「ジョーズ」「未知との遭遇」・・・とヒット作を次々と世に送り出していく続編をいつか撮ってほしいとも思いました