葬送のカーネーションのレビュー・感想・評価
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クローブ(karanfiller)とカーネーション(Karanfil)はトルコ語で同音異義語
2024.1.18 字幕 京都シネマ
2022年のトルコ&ベルギー合作の映画(103分、G)
亡き妻を故郷に運ぶ夫と孫娘を描いたロードムービー
監督はベキル・ビュルビュル
脚本はビュシュラ・ビュルビュル&ベキル・ビュルビュル
原題は『Bir Tutam Karanfil』で「ひとつまみのクローブ」、英題は『Cloves & Carnations』で、「クローブとカーネーション」という意味
「クローブ」は香辛料の一種で、劇中で二人が女性からもらうもの、「カーネーション」は劇中でハリメはお墓に刺す植物(の模型)のこと
物語の舞台は、トルコのアナトリア南西部
最愛の妻を亡くしたムサ(デミル・パルスジャン)は、孫娘のハリメ(シャム・シェリット・ゼイダン)を連れて、故郷のシリアを目指して旅をしていた
妻を納めた棺をヒッチハイクで運んでもらう
映画の冒頭は、おしゃべりな二人組ユルマズ(バハドュル・エフェ)とコルクマズ(タシン・ラーレ)の車に乗る二人が描かれ、結婚式の行列に巻き込まれる様子が描かれる
行き先の違う二人は、道の分岐点で二人と棺を下ろし、ムサたちは途方に暮れた
ムサはハリメが持っていた木のおもちゃのタイヤの部分を外し、棺に設置して引き運ぶことになった
その後二人は、羊飼いのコバン(イート・ヤゲ・ヤザール)に食べ物を分けてもらったり、トラクターの運転手(セルチェク・シムシェック)に乗せてもらって、近くの村へとたどり着く
そこにいた大工(フラート・カイマック)は「棺のまま国境を越えることはできない」と言い、遺体を「段ボール箱」に移し替えることを提案する
そして、知り合いハヴヴァ(エミネ・チフチ)の車に乗せてもらい、その知り合いの男(セルカン・ビルギ)などの助けを受けて国境までたどり着く
だが、国境警備隊に「遺体」を運んでいたことがバレて、その男もムサもハリメも拘置所に入れられてしまう
指揮官に呼ばれたムサは「妻との約束」を語るものの、その思いは叶わず、トルコ国内の墓地に埋葬されることになったのである
映画のラストは、国境の鉄条網を越えるムサが描かれ、彼はある結婚式の新郎の席に座る様子が描かれて終わる
おそらくは「若き日の自分」を重ねてのものなのだが、それをハリメが見ているということは別の意味があるようにも思える
物語は、ほぼ喋らないムサとハリメが描かれ、周りの人が死ぬほど喋りまくるという構図になっていた
冒頭の二人組のおしゃべりはほぼ無意味だが、中盤のラジオの音声、後半のハヴヴァの言葉はそれなりに意味がある
特にサイード・ヌルシーの言葉を引用し、「死は終わりではなく、来世への入り口」という言葉は、ハリメの死生観を育てるのに必要なものとなっている
サイード・ヌルシーは、クルド人のスンニ派イスラム神学者で、コーランの一編である「リサレ・ヌール・コレクション」を著し、6000ページにもわたる解説書を書いた人物である
また、赤いカーネーションの花言葉は「純粋な愛」「真実の愛」という意味があり、かつて「お墓に備えるのは白いカーネーション」だったが、今では赤やピンクなども使われている
ハリメは祖母の似顔絵を墓標にして、そこにカーネーションを備えるのだが、これまでにハリメの絵を否定してきたムサは、そこでは何も言わずにそれを見守っていたのは印象的だった
いずれにせよ、トルコからシリアに戻るという内容で、彼らがトルコに避難した背景などは描かれていない
シリアはハリメの両親が死んだ場所であり、彼女はそこに戻りたがらなかったのだが、ムサは彼女を強引に引き連れていた
ムサとしては、妻との約束を果たしたかったのだが、シリアは戦争が続いているというセリフがあったので、おそらくは「シリア内戦」の時期にあたるのだと思われる
内戦下のシリアに戻ることは死を意味するのだが、ムサにとっては「そこで死ぬこと」に意味があるように思える
それゆえに彼は、ハリメをトルコ側に残して行ってしまったのかな、と感じた
睡眠2時間&カラダお疲れ&昼食後だと寝る。作品と武蔵野館さんゴメンナサイ。
昼食後13:05の回、睡眠不足&肉体疲労で見たら睡魔に勝てず、予告編から寝てて気がついたら始まってた。
その後もちょくちょく寝る。でかいトラクターのところ、大工さんのところ、洞窟の焚き火と棺桶に寝たところ、警察のところ、最後のフェンスのところ、全て目が覚めたらすでにその場面だった。そしてその場面の途中でまたいつの間にか眠っている。全部起きてたのはエンドロールのとこだけだ。つまり映画館に寝に行ったようなものである。
なのでレビューどころか、ホントはここに投稿することさえおこがましい。
以上。
トルコの郊外、雪が舞う寒々しい荒野、 ある老人が、孫娘を連れて、亡...
トルコの郊外、雪が舞う寒々しい荒野、
ある老人が、孫娘を連れて、亡くなった奥様の棺桶を引きながら郷里に帰ろうとする、道中の物語。
とても寡黙な二人、
道中に出会う人々が世話してくれてもぎこちなく、
徐々に進むものの、様々な出来事に阻まれて。
最後の場面の、二人それぞれのご判断、意志が強く突き刺さってきました。
この映画は、大画面だからこそ、凄みが出てくる作品だとみえました。
道中の景色が、ひたすら雄大、荒涼として。
道路端のポールは、豪雪地方ならでは。
殆ど喋らない二人ですが、映像から伝わることが沢山、
お二人の表情、少女が描く絵、通りすがりの人々のやり取り etc. で伝わってくる、
重厚な鑑賞体験でした👀
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