「ウルトラセブン」55周年記念 4K特別上映のレビュー・感想・評価
全3件を表示
あ~、楽しい!!!!!!
TVシリーズの以下の5話のデジタルリマスター版を劇場でやる、というだけの企画。いいね。楽しいね。
川崎チネチッタでの劇場鑑賞。をを、気合が入っているな。300座席と比較的大きな、かつ音のいいスクリーンで公開してきた。今日は初日夜ということもあって、今回はたった15名で贅沢に観たけれど、きっと明日から毎回満席だろう。(たぶん…)
第7話「宇宙囚人303」
第26話「超兵器R1号」
第37話「盗まれたウルトラ・アイ」
第48-49話「史上最大の侵略(前後編)」
さて、各話にどんな星人と怪獣が出ているか、あなたにはわかりますか?
俺は小さい頃、題名を聞いたら怪獣を言えるというそのことだけが自慢だったからね(Q~セブンに限る)。かろうじて今でも言えるね。キュラソ星人、ギエロン星獣、?、ゴース星人とパンドン、だね。あれ、一つ言えてないね。へえ、マゼラン星人(名前はマヤ)だったのか。巨大怪獣好きの自分にとってハマらなかった回ではあるとはいえ、即座に言えなくなっているのは、ショックだなあ。
TVシリーズ映すだけなので当然主題歌から始まるよ。今回観て、やはり自分は怪獣の造形が好きなんだなあ。だから、星人が中心のウルトラセブンよりも怪獣が中心のウルトラQウルトラマンの方が好きなのだなあとあらためて感じた(同じ理由で「仮面ライダー」もはまってないしね)。
ただし、主題歌、とくにそのオープニングはウルトラセブンがいいね。俺の胸をときめかす音楽だ。主題歌の背景にはスタッフやキャストの氏名。あ~いいなあ。「監修 円谷英二」 の六文字。そして 「キヌタラボラトリー」という文字も。小学生だった俺にも読めるカタカナだったから、「大きくなったら円谷プロに入りたいな。だめならキヌタラボラトリーに入りたいな」 と思ってたことを思い出す。円谷プロのあった世田谷区砧は、小学生の俺にとって 「いつか行ってみたい」 と毎日思い描く あこがれの地。キヌタラボラトリーって、そもそもなんの会社だっただろう?(参考:現在は「光映新社」という東宝系列の機材会社。最初は東宝現像所、社名変更してキヌタラボラトリーになったが、1973年に現在の名前になった際にラボ作業は終了しているそうです)
ところで、なぜこの5話だったんだろう。さては、悲しい話、考えさせられる話特集だろうか?
① ある星からの凶悪犯罪者を地球人が探し出してやっつけ、その星との今後の平和的交流が期待される話、
② 異星人から地球を守るために開発した超兵器のテストで破壊した惑星から、その惑星にはいなかったはずの生物が飛来してひどい目にあってしまい、兵器の開発競争はただ苦しいマラソンだからやめようと反省、決心する話、
③ 地球破壊を円滑に進めるためにセブンの変身を妨害すべく送り込まれた異星人が自分は作戦のために犠牲にされたことを知る悲しい話、
④⑤ もう地球を守る体力はないのだけれどそれでも戦うセブンを見て、人間があらためて頑張る話。
なんか共通するものがある感じはする。ただ、こういう 「考えさせられる話」 であれば、自分としては「ノンマルトの使者」はやはり必須なんじゃないかと思っちゃうなあ。(我々より先に地球に暮らしていて人類によって海に追われた種族ノンマルトが地上を奪い返そうと仕掛けてきて壊滅する話)
俺の中での3大悲しい話は、ウルトラマン 「幻の雪山」(ウー)、ウルトラセブン 「ノンマルトの使者」(ガイラス・ノンマルト)、帰ってきたウルトラマン 「怪獣使いと少年」(ムルチ・メイツ星人) だから。(ウルトラマン 「故郷は地球」(ジャミラ)もあるか・・)
今回の5話(のうち前半3話)は、「悲しい話」に加えて「当時、あまりお金がなかったことを示している話」なのかな。
怪獣が突然現れて対処する、というウルトラQ、ウルトラマンの設定に比べ、意志(悪意)ある存在が地球の外から地球にやってくるというウルトラセブンの設定はやはり難しいようで、シナリオのさまざまな箇所で「あれ?」 と感じることはあった。でも大人だからそんなことがわかるわけで、宇宙人との戦いを通じて、争いとは? と考えさせ、できるなら争わないですめばいい、と子供に考えさせたウルトラセブンは、やはり意義があったんだなあと当時子供だった自分は思う。
おまけ1
脚本上であれ? という部分はそれこそ山のようにあるね。書かずにはいられないよ。
「次にまた電波がきたら録っておけ」(え、いままでは録ってないんかい!?)
「素性がわからない。攻撃して爆破せよ」(って、そんなあなた理不尽な)
「3,000人の警察が探しているから大丈夫だ」(と言ってる間に3人警官が殺されてんじゃん)、
まあ、数えればきりがない。やはり宇宙人設定は怪獣設定に比べて極端に難しいんだろうな。
おまけ2
指令室の(地図を広げていると思われる)机の上に、"T定規" が。敵の進路をみるために、T定規で線を引くってことが当たり前だった時代なんだねえ。
おまけ3
最終回の、ダンがアンヌに「僕がウルトラセブンなんだ」 と告白するシーン。白黒で影絵のように表現されるシーンはあまりにも有名かつ自分の記憶にも鮮明に残っているシーンだが、あらためてみてみるとほんとにワンカットだけなんだね。どれだけ印象的だったんだろうってことかな。
おまけ4
「盗まれたウルトラ・アイ」 に登場するマゼラン星人マヤを演じた吉田さん(ゆり)、当時高校2年生、この作品がデビューか。美人だったんだね。(ただし当時小学生だった自分にとって、そのことはなんの価値もありませんでした)
脚本の面白さ
ウルトラセブンのエピソードから5話が選ばれて上映されんの。「なんで、この5話?」感もなくはないけど、どのエピソードもまあまあ面白いからいいんだよね。
オープニングのキャスト観てたらキリヤマ隊長が先頭で、役者の格として中山昭二さんが上だったのかなと思ったよ。
《宇宙囚人303》
ホラーっぽいの。怪獣の姿は一部しか見せずに、どんどん人間が殺られていっちゃうっていう。
いざ現れた怪獣はそんなに恐そうでもないのが肩透かしなんだけど。
セブンがやっつけて、最後にダンが『正義は一つだ』って断言するんだけど、この辺が、大きな物語がまだ生きていた時代の話だと思ったよ。今だと『悪にも悪の事情がある』みたいな話の方が多いしね。
《超兵器R1号》
核開発競争がモチーフの話だね。
ダンの『血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ』という言葉や、アンヌの『人類はそんなに愚かなんでしょうか』という言葉でR2号の開発を止めるってラストで、めでたし、めでたし……って、そんなわけねえだろ!と思ったな。
これ人類は『生物はいない』って前提でギエロン星をR1で爆破してんだよね。『そしたら生物いました!』って話で、ゴメンで済む話じゃないんだよ。本気でお詫びすんなら地球を爆破しないと。
それでギエロン星人が地球を攻めてくるんだけど、セブンがやっつけちゃうっていう。ひどいよね。全部悪いの地球人じゃん。
それで『生物はいない』って宣言した科学者が『私はギエロン星人を憎む気にはなれません』って言うんだけど、そうじゃなくて土下座して謝れって。『万死に値することをしてしまった』って話だろ。
この辺の都合の良さがセブンが作られた時代っぽくて良いなと思いました。
一方で、R1という強い兵器を持った強い相手には弱者は蹂躙されてしまい、文句も言えない。実はR1を持つことには正当性があるのではというテーマと真逆のことも感じたな。
《盗まれたウルトラ・アイ》
地球征服を企むマゼラン星人がウルトラ・アイを盗み『任務完了、迎えをよこせ』と打電するんだけど、マゼラン星の人々はウルトラ・アイを盗んだマゼラン星人もろとも地球を破壊することに決めたっていう酷い話だね。それを聞いたマゼラン星人はウルトラ・アイを返してくれる。
ウルトラセブンの時代は、まだ、権力というかでっかい力を持ったものを信じてない感じなんだな。
《史上最大の侵略》(前編)(後編)
ウルトラセブンの最終回はいつも号泣するんだけど、今回は比較的落ち着いて観たよ。
これ展開と演出がすごいんだよね。だから号泣させられるっていう。今回はシーケンスをけっこう覚えてたから耐えられた。
『もう一回、変身したら死ぬぞ』と言われているのに、セブンは変身してしまう。仲間を守るためなんだよね。炎に包まれたキリヤマ隊長たちを観て、救うために変身する。
診療所でレントゲン検査されそうになってダンが抜け出したシーンで、史上最大の作戦で基地中がてんやわんやになってる中でアンヌが『ダン!』って出てくるシーンもカッコいい。
そして少年に助けを求めると、少年がウルトラ警備隊に憧れてるのもいいね。
そんななか『彼だってウルトラ警備隊の一員だ。自分の命より地球を救うことを優先するはずだ』を聞いてダンの心が固まる。
そこに出てくるアンヌ。『地球人だって宇宙人だっていいじゃない』はいつ聞いてもすごい。宇宙人とか関係ないんだよ。
戦うセブンを見て『ウルトラセブンは、私たちのダンだったの』とアンヌが言うタイミングも凄い。タメがないんだよね。ズバッと言う。ここカッコいい。
あと、史上最大の作戦が進行していくなかで、ニューヨーク、パリといったそうそうたる大都市が地中爆弾で壊滅させられるんだよね。『でも東京のこってるからいいや』というノリがすごい。ニューヨークやパリをやられた時点でかなり人類側の負けでしょう。
そんなこんなでウルトラセブンは去っていき、今後地球はどうなるのか。帰ってきたウルトラマンが来るから大丈夫だね。
今でも地球人を愛してくれるだろうか?
4K上映で鑑賞。
ウルトラシリーズの中でも、洗練されたSF設定と強いメッセージ性によって今尚高い人気を誇る「ウルトラセブン」。
何話かを摘み食い程度にしか観たことがなく、今回セレクトされたエピソードは全て観たことがありませんでした。
なので、この機会はとても嬉しかったです。
○宇宙囚人303
宇宙の通り魔との攻防戦がスリリングでした。ウルトラホーク1号の空中ドッキング・シーンに手に汗握りました。
○超兵器R1号
「血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」…
冷戦時の軍拡競争をモチーフにした物語なのに、現実に戦争が起こっている今観ても全く色褪せないメッセージ性に戦慄しました。放送から55年を経ても尚、人類は全く変わっていないのかと考えたら、いつの間にか泣いてしまっていました。
○盗まれたウルトラ・アイ
宇宙人でありながら地球を守ろうとするダンと、地球で生き続けることを拒否するマヤの対比が胸に迫って来ました。
侵略したいと思われる星にならないとな…
○史上最大の侵略(前・後編)
戦いのダメージが蓄積し、命の危機に瀕したセブンが、ゴース星人の侵略に最後の力を振り絞って立ち向かう…
光線もまともに撃てず、ふらふらになりながらアイスラッガーを武器に戦う姿を応援せずにはいられませんでした。
愛する地球人のために命をかけたセブンの想いを胸に、地球防衛の決意を新たにしたウルトラ警備隊の面々…
最終回に相応しい胸熱の展開に心震えました。
宇宙人であるにも関わらず、地球とそこに住む地球人を深く愛し、自らの危険をかえりみずに数多の侵略者と戦ってくれたウルトラセブン。時に裏切られ、時に傷つくことがあっても、決して我々を見限ることの無かった彼の強さには、学ぶべきことがたくさんあるように思いました。
セブンが現在の地球を見たらどう感じるだろうと、ふと考えてしまいました。「今でも地球人を愛してくれるだろうか?」と…。セブンにまで見限られたら、それこそ我々は終わりなのかも…。そうならないように、頑張っていかねば…
全3件を表示