オレンジ・ランプのレビュー・感想・評価
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若年性認知症に対する社会の認知度向上 をテーマにした啓発ドラマです。認知症の人と共に暮らせる社会を作りましょうと呼びかけています。
上映中の作品一覧を見ていて目についた作品。
認知症がテーマの実在の家族をモデルにしたお話。
うーん。重そうな気もするけど観ておきたい気も…。
そんな訳で鑑賞です。
主人公は只野晃一(和田正人)。39歳。
奥さんは真央(貫地谷しほり)。
中学生と小学生、二人の娘。4人家族。
ある日、バームクーヘンを買って帰宅する晃一。
「みんなの好きなものを買ってきたぞ」
娘たちから歓喜の声が上がる。
…がそのあと直ぐに
「パパ。また同じ? 昨日も買ってきたのに」
” あれ? そうだったか? 本当に? ” と晃一。
” 沢山食べられるからいいじゃない ” と真央。
ちょっとした笑い話で終わると思っていたのだが。
これが認知症の症状とは、まだ誰も知らない。
晃一の行動に、怪しいものが増えてくる。
” お客様との打合せを忘れてすっぽかす ”
” すれ違ったお客様に挨拶をしない ”
” 電話の相手のことが思い出せない ”
真央と一緒に病院で診察をうける晃一。
いくつかの検査を終えて、出た診断は…
「若年性認知症」
その日から、晃一と真央の生活が一変する。
すぐに色々と調べ始める真央。
ネットで病気を検索する晃一。
とりかくやれることをやってみよう と真央。
心配する余り、晃一の行動を制限し始める。
会社でも、晃一の仕事が後輩たちに振り向けられた。
” もう俺は終わりなのか ”
そんなとき、真央が耳にする。
認知症本人が集まる相談会の事を。
背中を押されて真央と共に出かける晃一。
その相談会に出席していたのは「家族」では無く
「認知症の人たち本人だけ」であった。
それぞれが工夫しながら日常の生活を送っている。
” 認知症になったからといって、人生の終わりではない ”
そう気付いた晃一。
そんな晃一を見て、真央もまた気がつく。
” 出来ることまで取り上げてしまうのは間違っていた ”
” 本人が困ったときだけ、周りが助ければ良い ”
そしてそのためには何よりも
その人を理解することが必要。何が出来て何が出来ないか。
頼めることは力を借りよう。
一人で悩んではダメ。
家族のみんなの力も借りよう。
ご近所の人も協力してくれる。
職場の同僚の支えも心強い。
みんなが普通に認知症の人を支える世の中を作りましょう。
簡単ではなくとも、きっとできる。
そういった事を思わずにはいられない作品でした。
観て良かった。
※明日は我が身… ホント・_・;
◇あれこれ
■ドキドキ
冒頭の場面にドキドキしました。
認知症の検査キット(?)。箱の中には5つのアイテム。
”これは?” ”腕時計”
聞かれたものを答えていく。よしよし。大丈夫。
と、追加の質問。
”中に入っていたものを5つ答えて"
" え… "
全ては出てきませんでした…。 -_-;
■忘れてしまうことの長短
お気に入りの映画や小説。
新鮮な気持ちで何度でも楽しめそうです。
これはコスパ良さそうです。・_^
北欧風の素敵な作品…と思い込み、繰り返し
"ミッドサマー"を観に行ってしまう…。 @_@ キャァァァァ
これはとても嫌かも…
■苦しい時は声を上げよう
認知症の人に対してではなく
これは「支える側の人達へ」の助言でした。
苦しかったら苦しいと声を上げよう。
本人にも、周りに伝えよう。
何ごともないフリで接していた相手が
見えないところでもし泣いていたら…
うーん それはキツイ。
◇最後に
タイトルの「オレンジ・ランプ」。
何を指すのか分からないままお話が進み、
エンディング近くになった頃に
ようやく何なのかが分かりました。
さらに公式サイトをみて「オレンジ色」が
認知症のシンボルカラーであることも知りました。
世の中知らないことだらけです。
色々と考えさせられる作品でした。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
評価が高いようだったので観にいきました。 ある日、一家の大黒柱で働...
評価が高いようだったので観にいきました。
ある日、一家の大黒柱で働きざかりの夫が若年性アルツハイマー病を罹患してしまい、難局を乗り越えながら改めて家族の絆を確認する話しなんだなぁ、と想像していました。
そんな感じです。
ただ、冒頭のシーンは現在の家族の状態から描かれていたのはなかなか新鮮味があってよかったです。
教材映画みたいな雰囲気でした。
これはいけません!涙腺ゆるゆる人間には危険です!
実生活でも父が認知症との診断されて色々な意味で覚悟を決めたのが20年近く前。でも全然許されるレベルのわがままに家族揃って対応していました。昭和一桁生まれの頑固な、亡き母に言わせると『まるで明治時代の男』だった父は家族に迷惑をかけまい、と思ったのでしょうか、数年で他界してしまいました。
同じ頃、親戚にも夜中に徘徊してしまう方がいて人ごとではありませんでしたが、いつしか自分自身がそんな年代に近づいている今日この頃、この作品のような若年性認知症のこともメディアでは知ってましたがこの作品がそれを題材にしたものとはなんの前知識なく観ました。何しろ『オレンジランプ』という言葉さえ初耳でしたから。このところ映画館で鑑賞できるタイミングが土曜日の朝イチ回なので、たまたま(運良く)観た感じでした。
最初は和田正人さんと貫地谷しおりさん以外メジャーな役者さんが出てないなぁ、くらいのレベル。市民ランナーの妻から「箱根駅伝の選手だったんだよ、和田さんって!」そう聞いて池井戸さん作品にたくさん出てるいい役者さんだなぁ、なんて。貫地谷さんも10年くらい前の『しら雪姫殺人事件』以来かな。唯一メジャーと言えるのは主人公のお父さん、元『ずうとるび』(『みかん色の恋』笑点で座布団ためて結成したんだっけ?誰も知らないですよね?)の新井さん、くらいかな???
とにかくノンフィクションに近いお話なのに様々な人たちに支えられて、生きる価値を見出した主人公。そして家族はもとより会社の人たち、認知症の仲間たちなどなど、とにかくいい人ばかりで涙ものでした。なかでも特に帰り方がわからなくなった主人公にバス停まで案内してくれたり、若い女性も降りるバス停まで教えてくれたり、主人公がニコニコ顔で帰宅したシーンは感慨深いものがありました。
色々な映画を観てきましたが『偏見』や『先入観』がいかによくないことか教えられ考えさせられます。老若男女観て感じてほしい作品です。もっと大々的に宣伝して欲しいですね。偶然とはいえ観てよかったです!
他人事では無いと実感させられました。
貫地谷しほりさんの演技が本当に素晴らしいと思いました。39歳で認知症と言う、思いもがけない事になってしまった主人公さんが繰り広げる物語ですが、実際のとこ、挫けてしまい絶望になりがちですが、貫地谷しほりさんと和田正人さん夫婦が手と手をとりあい、時にはぶつかりながらも、二人で乗り越えて、いろんな意味でポジティブに容量良く生きてく様が描かれているのに感涙致します。胸が熱くなりました。最後に家族(子供達)もお父様の事を尊重して大切に思ってくれるとこに泣けます。おすすめ映画です。是非、観てください。
再スタート。
39歳という若さで若年性認知症と診断された妻と娘が二人いるお父さんの話。(実話)
もの忘れがひどく、同じ事を繰り返すで病院に診察へ、診察結果は若年性アルツハイマー型認知症、病気を患った本人だけでなく周りの家族、仲間、会社の人間が病気へ向き合うストーリー。
作品観ての率直な感想は他人事ではないし、恐い病気ですよね...記憶が薄れる、記憶がなくなるって、もし自分がこの病気を患ったら生き地獄だなっと思ってしまうと思います。何も知らない私からすると。
ただ作品を観て思ったのは、病気を患った本人は諦めるのではなく、出来る事は自分でやり出来ない事は強がるのではなく人へ助けを求める、また周りの人間は心配だからといって特別扱いや何でも取りあげるのでなく普通に接してあげる事が病気の進行を遅らせるのかなと思った。何もさせないのもよろしくないですしね。
本作は若年性認知症の話でしたが、私の両親は健在、でも両親のどちらかがこの病気を患った時に私はちゃんと向き合えるのか心配。
【”思いやりという小さな灯。”若年性アルツハイマー型認知症に罹患した敏腕営業マンの深い喪失感と再生していく様を描いた作品。それまでの認知症に罹患した方への誤った考えを、修正してくれた作品でもある。】
ー 映画で観た来たアルツハイマー型認知症者の描き方は、「ファーザー」「アリスのままで」を始めとして、悲壮感漂う事が多い。
邦画でも、高年齢者のアルツハイマー型認知症の描き方は、矢鱈にヒステリックに家族に怒鳴り散らしたり、矢張り暗いトーンで描かれている事が多い。
それが、いつの間にか(幸いにも、近くに罹患した方が居ないため、実態を知らない。)刷り込まれていた事をこの映画を観て、認識した。-
◆感想
・最初に、この映画の出演者の演技は貫地谷しほりさんを除いて、素人っぽい。(ホント、スイマセン。)敢えてなのかは分からない。只、それが却って現実味を帯びたのは確かである。
・鑑賞理由は、余り描かれて来なかった若年型認知症に罹患した方の実話ベースである事である。39歳と言えば、私よりも若い。可なりキツイシーンも多数あるだろうと思いながら、劇場へ行ったが、その予想は裏切られた。
・主人公の只野(和田正人)は、当然悲嘆にくれるのであるが、彼の妻、真央(貫地谷しほり)が心を痛めながらも、表面上は実に明るく夫に接するのである。
そして、只野も掌に”怒らない!”とペンで書くのである。
■印象的だったシーン
1.元サーファーだった夫を持つ夫人(中尾ミエ)が楽しそうにサーフィンをする夫を見て言った言葉。
”認知症の人は、感受性が高いの。だから、家に閉じこめて周りが悲壮感一杯になると、暴れだすの。”
ー これは、知らなかったな。成程。-
2.只野が、会社帰りに家に帰る道が分からなくなった時に、近くの女性に”私は認知症です”と書かれたカードを見せ、男性や若い女性の助けもあり、無事に家に着くシーン。
ー ”周りに、頼れば良い”と言う考え。年配の女性がTVで”認知症だった事が分かったら、生きていけない。”と言っている事と、真逆である。”認知症は隠してはいけないのだな”、と学ぶ。-
3.只野が勤めている、ディーラーの社員たちも皆、彼に優しい。だが、それは只野が努力している姿を見ているためである。
ー 座席を記したモノ。後輩に営業マンのノウハウを記したモノを渡すシーン。-
4.只野が久しぶりにフットサルに参加した時に、仲間達に若年性アルツハイマー型認知症に罹患したと告げるシーン。
ー 仲間が、”俺たちはお前の事を忘れない。居なくなったら世界中、探してやるよ!”と只野に声を掛けるシーン。
只野が罹患する前に、如何に仲間や会社の同僚に慕われ、好かれていたかが分かるシーンでもある。人間関係の構築は、病に罹らなくても、とても大切なことなのであるなあ。-
5.真央が娘二人に、只野が若年性アルツハイマー型認知症に罹患した事を告げるシーンからの、居なくなった只野(実は家に居た。)を真央が必死に探すシーン。そして、娘達もやって来て・・。
ー そして、只野と真央が二人になった際に、二人で口を揃えて言う只野のプロポーズの言葉。”何があっても、ずっと傍に居て下さい。”
”覚えて居てくれたの。”と言って泣き崩れる真央の姿。-
<今作は、私のそれまでの認知症の概念を変えてくれた作品である。
そして、2025年には5人に一人が認知症になると言われている高年齢化社会の中で、私達がやるべきは、認知症に関わらず、”困っている人には声を掛ける”という当たり前の事を地道に、愚直に実践する事なのだと、改めて思わせてくれた作品でもある。>
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