「これぞ映画」バビロン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ映画
最初から最後まで夢中で引き込まれて、先がどうなるのか、待ち遠しい
1シーン1シーンだった。
アカデミー賞7冠映画を楽しめなかった反動なのか、
充実して幸福感に包まれる映像体験が出来た。
バビロンとは紀元前25世紀の都市「バビロニア」の名称。
「繁栄と混乱そして衰退」を現している思う。
1920年後半から1930年初めのハリウッド創世記。
サイレント(無声)映画からトーキーと呼ばれる映像と音声が同期した映画に
変わる映画黎明期。
サイレント映画の大スター・ジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)
そしてスターを夢見る田舎娘ネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)の
隆盛と衰退を見届けるメキシコ人の付き人のマニー・ドレス
(ディエゴ・カルバ)の視点を通して語られる。
冒頭のジャック主催のパーティーの無軌道・淫乱・狂熱の馬鹿騒ぎ。
デイミアン・チャゼル監督って、こんな映画撮る人だっけ?
と思いつつ「過剰なイメージの洪水」を楽しむ。
サイレント映画の撮影風景も珍しくて嬉しい。
カメラを10台壊して借りに行くマニー。
日没前に慌てて撮影する緊張感や高揚感が胸を熱くする。
一方、お下品と持ち前の勘と度胸でスターダムにのし上がるネリーだったが、
トーキーになるとその無知なガサツさや声の悪さが、悪目立ちして、
だんだん酒とドラッグに溺れていく。
見ているマニーはキノフィルムの重役になり、なんとかネリー元のスターに
カムバックさせようと奔走するものの、裏目に出てネリーはヤクザの
イカサマ博打で大金を借金する羽目になる。
ネリー役のマーゴット・ロビーの美しさ野生味が最高でした。
誰もが目を奪われるし、惹きつけられるし、吸い込まれます。
お下劣最高!!
ゲロ噴射最高!!
ジャック・コンラッド役のブラッド・ピットも良かったです。
マーゴット・ロビーに喰われた感はありますが、
ブラッド・ピットが存在しなければ《屋根のない家》みたいなもの。
栄枯盛衰。
それが大スターの誰もが通る道。
それにしても製作にもクレジットされている
ヤクザ役のトビー・マグワイア。
異彩を放っていました。
死臭さえ漂わせる退廃感。
イッちゃった男・モラルのない男・腐りかけの自己。
貴重なバイプレイヤーになったものです。
ネリーが毒蛇に噛まれるシーンの顛末。
トビー・マグワイアの怪しすぎる洞窟の地下での狂宴。
マニーとネリーののメキシコ国境の逃避行の結末。
黒人トランペッターのシドニーの演奏。
(そして彼を傷つける黒炭・・・差別)
心に刻まれるシーンの多いこと。
ネリーは無声映画では輝くスターでも、トーキーになれば、
知性や教養の無さ、育ちの悪さのコンプレックスから、
自分は無用と分かったんだと思う。
咲き誇る花、
タワワになった果実、
酒池肉林、
そんなものがガガーッと崩壊する様。
デイミアン・チャゼル監督は言う。
アメリカ映画業界の初期、
無声映画からトーキーの移行期に自殺やドラッグの過剰摂取による、
死が頻発した。
《派手な生活、野心、情熱、向こうみず》が、産んだ結果。
今の時代も、スターの心は高揚から奈落を行き来し、
そんな悲劇をファンも何処かで愉しんでいる。
今も昔も少しも変わらない
【ハリウッドの悲劇】
映画ファンには大ご馳走の映画。
(私の偏愛映画に確定)
音楽も映像も大胆な迫力で、映画ならでは!の興奮。別世界へでかけたような気分になりますね。
レビュー拝見して、また、いろんな別世界へヒューっと飛んでいきたい気分です^_^
マーゴットロビーは髪型工夫がなさすぎです。こんな髪型の人1920には世界に一人もいません。明らかに2023キューティクル。愚痴ですみません。昔の女性は髪あんまり洗わないハズです。愚痴ですみません。
ありがとうございました。華麗なるギャツビー はオートブルおつまみ不足でしたが、本作はオードブル酒ともなし、人が集まって何も飲食物もなく、トイレも狭いでしょうから、何が楽しいのか ❓と思いました。思い出したようにゲロ画面で料理があってビックリでした。若干の「消え物」は費用かかりますが、パーテイは 飲んで、食べて がベースだと思うので疑問でした❓トーキー時代は現物を見れば・・髪型持ち物服装からして2022バージョンでした。ありがとうございました。