劇場公開日 2023年1月20日

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「有能で凡庸な「悪」による戦略会議中継」ヒトラーのための虐殺会議 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5有能で凡庸な「悪」による戦略会議中継

2023年2月28日
iPhoneアプリから投稿

本作にエンタメ性は微塵もなく、淡々と議論が進行していく。
おそらく当時のドイツでもっとも優秀な官僚、軍人たちによるトップの会議。テーマはユダヤ人の今後のホロコーストについて。

彼らの議論があまりにもビジネスライクなので、ホロコーストの恐怖感が全く伝わってこない。議論する彼らも目標の使命感に囚われ、立ち止まっての倫理観はそこにはない。人間としての想像力と共感力の喪失。

工程の分業化と不可視化によって、人間の道徳や尊厳よりも目標遂行の達成度合や効率化が重視されていく。リソース(弾薬)の確保と全ヨーロッパでの目標達成(約1千万人)の観点から、任務執行は銃殺からガス室処置へと大きく転換する。

そしてアイヒマンの冷徹な軍事官僚としての有能さが光る。まさに凡庸な悪の極み。

大昔のよその国だけでおこなわれた史実と捉えては、そこから何も学ばない。

atsushi
りかさんのコメント
2023年4月19日

こんばんは♪
フォローしていただき、コメントもありがとうございました😊
上は自分がしないから立案命令し、下は上が言うから仕方なくする、いろんなエゲツない事はこのように進められているのでしょうね。職場でも〜?怖いですね
また今後ともよろしくお願いします🤲

りか
Mさんのコメント
2023年4月4日

「あまりにもビジネスライク」まさにその通りですね。
一瞬「何の会議だったかな」と思わせてしまうあたりが、逆に怖くなりました。
感情の起伏の揺れもなく、進行役アイヒマンの有能(?)さが引き立ちました。
この会議に欠けている「何か」に気づかないと、また私たちは同じ過ちを犯すことになるかもしれません。

M