劇場公開日 2023年1月20日

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「重いエンドロール」ヒトラーのための虐殺会議 norinoriさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5重いエンドロール

2023年2月27日
iPhoneアプリから投稿

エンドロールの劇場の雰囲気が異様だった。
音がない。文字だけが暗い画面を流れていく。席を立つ人は誰もいない。
きっと、ひとりひとりが深く考えている。今見たものは一体何だったのか、と。

エレガントな邸宅で整然と進められた議論。こんなに洗練された会議で決められたことが世の中を動かすのはもっともだ。私のような凡人はそんな風に感じる。
ただその議題がおかしい。 「増えすぎた●●をどう処理するか」 ●●は在庫や二酸化炭素ではない。人間なのだ。
組織の歯車にはまってしまったとき見失うものはなにか。糾す勇気を持つことは無理なのか。そもそもなぜそんな組織が生まれてしまったのか。

この映画の優れたところは、記録に沿って歴史の一コマを「粛々と」再現したところ。歴史やビジネスの教材にもなりそうだ。
しかし、これはただの教育映画ではない。
エンドロールまで無音を貫いた製作者の美意識が、強烈なメッセージとなって観客を揺さぶるってくる。
恐ろしい映画だと思う。

この会議で冴えに冴えた有能ぶりをみせつけたハイドリヒやアイヒマンの末路は衆知の通りだ。
若い才能の使い道を間違えさせたものは何なのか。今でも考えは止まらない。

norinori
りかさんのコメント
2023年4月19日

おはようございます
初めまして。
やはり、ヒトラーでしょうか。
優秀であるが故、時勢を見て有利なとこにつく。人間としての倫理観が徐々に無くなっていくのも顧みずに。
またお教えください。

りか