「今だから向き合うべきこと」ヒトラーのための虐殺会議 ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
今だから向き合うべきこと
ヴァンゼー会議
1942年1月20日
ナチス政権下のドイツ
ヴァン湖(Wannsee)のほとりの
別荘に集まった内外政の主要閣僚
によるほんの90分の間に行われた
「ユダヤ人虐殺計画」のための会議
ヒトラーが演説で国民に宣言した
「ユダヤ人問題の最終的解決」を
徹底化するためもので
その冷酷さから「金髪の野獣」
と呼ばれた親衛隊大将
ラインハルト・ハイドリヒが
権限の掌握と各所へ徹底するために
部下のハインリヒ・ミュラー
アドルフ・アイヒマンらと
行ったのである
映画は本当に
会議「だけ」でBGMすらなく
淡々と行われてそして結論して
淡々と終わっていく異色のもので
あまりの映画としての味気なさが
逆に異常さをいやがおうに
演出していると感じたのが
印象的である
そもそも
ヒトラーは神聖ローマ帝国「ヲタク」
であり世界都市ゲルマニア構想
なんてのもユダヤ人排斥なんてのも
そうした思想から来るもの
「ムチャぶり」なのである
というのも
ナチス政権下のユダヤ人政策は
財産没収やゲットーへの疎開等は
行われていたものの
第二次世界大戦下であり
軍需工場の稼働や物資輸送などの
合間で行うには余りに負担が多く
「後回し」になっていた
図式的にはゲットーにあぶれる
ユダヤ人の「処理」を推し進める
親衛隊側が内務省・総督府の面々を
説得するような図式となる
その会議参加した内政側の
内務省次官シュトゥッカート
4カ年計画省次官ノイマン
(ナチスは4カ年計画の国家再生計画を
国民に約束していた)らは
「減少した雇用はどうするのか」
「優秀なユダヤ人も輸送するのか」
「ドイツ人との夫婦子供はどうするのか」
「軍事物資の輸送の合間にどうやるのか」
「第一次世界大戦で共に戦ったユダヤ人は」
など様々な問題をハイドリヒにぶつけます
内務省の法解釈を越えたものだからです
内務省の人々は「最終的解決」が
意味するものを虐殺だと薄々わかっています
だから国民感情も考慮するし
ヒトラーの言うことがハッキリ
矛盾していることも突きます
占領下のユダヤ人の総数は1100万人
にもなり銃で昼夜休みなく
射殺していくと480日かかる
とまで言って批判します
この映画を観ているとあまりに
ユダヤ人のに対する人権意識が無いので
だんだん言ってることがマシだとか
相対的に考えてしまいがちですが
皆おかしなことを言っています
最初から1/4の血統のユダヤ人とか
考えずにただ断種すればよいか
とんでもない事言ってます
そしてハイドリヒは各意見を聞いた上で
アウシュビッツでガスでやります
作業もユダヤ人にやらせてそいつらも
後でガスでやるのでドイツ人の心は
痛みません
なんて言ったらなんと内務省の人も
そんなんで納得してしまうのです
結局自身の立場からお役所的な
感覚でしか考えていないところも
おおいに絶望的に感じるシーンでした
○○はヒトラーだとか言い張るの
界隈は大好きだけど世界共通の悪人
とかってレッテル貼りが大好きですが
どうしてそうなってしまったかを
歴史から辿ることが現代人の責任です
それが本当に
戦争や人種差別や虐殺を本当に
人類がやらないようにするためのね
目下中国によるウイグル人へのもの
ロシアとウクライナ
世界は変われるか?
変われないのか?