劇場公開日 2023年3月31日

「映画化の典型的な失敗例」映画ネメシス 黄金螺旋の謎 アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0映画化の典型的な失敗例

2023年3月31日
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鑑賞方法:映画館

テレビシリーズの締めに映画化というのが最近の流行りになっているようだが、それに値しないシリーズも多い。本作はその典型である。この程度の内容であればスペシャルドラマで十分であり、わざわざ金を払ってまで見に行く必要が感じられなかった。

主人公の特異性は冒頭でサラッと説明されるが、他のキャラたちは一切説明されないので、テレビドラマを見ていることが前提である。道具立ても荒唐無稽で、リアリティなど求めても無駄である。他人の夢を自由に操るばかりか、起きている者の視覚を奪って別な映像をみせられるのであれば、小娘一人騙すのに使うなど愚かの極みであり、実質的に国を乗っ取ることや、プーチンにウクライナ侵攻をやめさせることも朝飯前であるはずだ。

何度も執拗に見せられる悪夢と言い、やたら残虐な場面が多い。殺害される人物の理由の描き方も不十分で、果たして彼らが殺される必要があったのかは全くの謎でしかなかった。人の命の扱いの軽さは、1970 年代の連合赤軍の活動家のように軽く、見ていて非常に不愉快であった。殺人の残虐さだけがやたら強調されており、他の場面のコミカルさとは全く溶け合わなかった。

キャスティングは非常に贅沢で、ほんのチョイ役に有名俳優を配していたりしたが、勿体無いと思うばかりであった。広瀬すずの見せ方も一面的で、何故彼女がここまで大切にされているのかがよく分からなかった。そもそも、あれほど大事にしていたデータの正体が何だったのか結局不明のままというのは詐欺ではないかと思った。

道具立てが仮面ライダーより荒唐無稽で、その解決法も結果も不十分というのでは、見る価値があるのかと思わせられた。製作陣がこれでホントにいいと思っているのだったら、映画の面白さや映画化の意義について根本から考え直すべきだろうと思った。
(映像3+脚本1+役者1+音楽1+演出2)×4=36 点。

アラ古希